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ログイン2011年11月28日
概要:
本文は、現行の「不正競争防止法」、「製造物責任法」等の法律中の虚偽表示に関する規定をもとに、虚偽表示の概念及び認定基準を簡潔に紹介し、虚偽表示という行為に適用される行政処罰措置を簡潔に分析するものである。
本文:
本文では、虚偽表示の概念及び認定、虚偽表示と虚偽宣伝の違い、虚偽表示に対する行政処罰等の方面から、虚偽表示行為について簡潔な分析を行う。
1.虚偽表示の概念及び認定
現行法は、虚偽表示に対し明確な定義を行っていない。「不正競争防止法」(全国人民代表大会常務委員会、1993年12月1日から施行)第5条の規定では、「事業者は、次の各号に掲げる不正な手段を用いて市場取引に従事し、競争相手に損害を与えてはならない。……(四)商品に認証標識又は著名優良標識等の品質表示を偽造又は盗用し、原産地表示を偽り、商品の品質を誤認させる虚偽の表示を使用すること。」とされている。(以下「第5条第4号」という)。第5条第4号の規定については、実務において、次の2通りの見解がある。
I:1つ目の見解は、虚偽表示には、「①商品に認証標識又は著名優良標識等の品質表示を偽造又は盗用する」もの及び「②原産地表示を偽る」もの、という2つの方面のみが含まれ、「③商品の品質を誤認させる虚偽の表示」とは、①②をまとめたものであるとするもの。
II:もう1つの見解は、①②③は並列的な関係にあり、虚偽表示には、その3つの方面が含まれるとするもの。
実務取扱上では、虚偽表示には3つの方面が含まれていると考える工商行政機関が多い。この点について、国家工商行政管理総局は、2007年に「『不正競争防止法』第5条第4号に列挙された行為以外の虚偽表示行為を如何に判定するかについての回答」(国家工商行政管理総局工商公字〔2007〕220号)を公布し、「商品上に商品の安全基準、使用上の性能、用途、規格、等級、主要成分および含有量、製造年月日、有効期限、品質保証期間など商品の品質と関係のある内容について虚偽表示を行う」行為を、明確に虚偽表示行為の1つとして定めた。それは、上記のIIの見解における③つ目の方面の内容に対する具体的な解釈として理解することができる。
地方立法の次元では、例えば、「上海市不正競争防止条例」(上海市人民代表大会常務委員会、1997年8月13日改正)第10条で、次の虚偽表示行為を具体的に列挙している。
(一) 認証標識、著名優良標識等の品質表示を偽造又は盗用し、取消された品質表示を使用すること。
(二) 特許標識を偽造又は盗用し、既に失効した特許番号を使用すること。
(三) 品質検査合格証明書、許可証番号、製造批准証書番号又は製造監督機構を偽造又は盗用すること。
(四) 商品の原産地、製造地、加工地の表示を偽造又は盗用すること。
(五) 商品の性能、用途、規格、等級、製造成分および含有量について虚偽表示を行うこと。
(六) 生産日、安全使用期限及び失効日を偽造し、又は期日について曖昧な表示を行うこと。
2.虚偽表示と虚偽宣伝の違い
虚偽表示と虚偽宣伝は、一定の共同点がある。例えば、いずれも「虚偽」という客観性と「人に誤認させる」という結果を有し、人に誤認させる内容には、いずれも「品質、製造成分、性能、用途、生産者、有効期限、原産地」等が含まれている。両者の違いは、主に以下の通りである。
I:「虚偽表示」とは、事業者が直接に商品に虚偽の表示を行うことをいう。虚偽宣伝とは、事業者が間接的に広告又はその他の方法にて商品の品質等について虚偽の説明を行うことをいう。
II:虚偽表示の対象は、商品品質だけであり、サービスの提供は対象外である。虚偽宣伝の対象には、商品の品質とサービスの提供の両方が含まれる。
実務において、両者の混同を招きやすい行為は、商品のパッケージに虚偽表示を行うことである。単純に文面から判断するならば、商品のパッケージは商品に該当しないため、パッケージに虚偽の標識を行うことは、虚偽表示に該当しないことになる。このような認識はやや偏りがあり、多くの工商行政機関は、認定を行う際には、通常、具体的な状況を踏まえて総合的な判断を行う。もしも、ある種類の商品(例えば、酒、飲料、米、小麦粉、鉄筋等)の品質に関係する内容を直接に商品上に表示できず、その剥離不可能なパッケージ上にしか表示できない場合、当該行為は「商品上」に表示したものと見なし、その表示中に虚偽の内容があれば、通常、虚偽表示があったものとして判定し、処理する。
なお、「不正競争防止法(改正案)」(意見募集案、今後正式的に公布される法律とは必ずしも一致しない可能性がある)第6条では、「事業者は、商品又は商品包装上に認証標識、著名優良標識、地理標識等の品質表示を偽造又は盗用し、商品の品質、製造成分、生産者、原産地、有効期限及び購買者による商品の選択・購買に影響を与えるその他の事項について、虚偽の表示又は人に誤認させる表示を使用してはならない。」と定められている。現行の「不正競争防止法」第5条第4号と比較すると、当該改正案は、虚偽表示の範囲を「商品」から「商品とパッケージ」へと拡大している。当該改正案に基づくならば商品のパッケージに、商品の品質に関する内容について虚偽表示を行うことは、虚偽表示行為を構成することになる。商品の品質関連内容とは関係がないが、人に誤認させる虚偽の表示を行うことは、従来の実務取り扱い通り、通常、虚偽宣伝行為を構成する。
3.虚偽表示に対する行政処罰
「不正競争防止法」第21条の規定に基づくと、認証標識、著名優良標識等の品質表示を偽造又は盗用し、原産地表示を偽り、商品の品質を誤認させる虚偽の表示を行った場合、「製造物責任法」(全国人民代表大会常務委員会、2000年7月8日改正)に照らして処罰される。
「製造物責任法」第53条の規定によると、「原産地を偽造した場合、他人の工場名、工場住所を偽造又は盗用した場合、認証標識などの品質表示を偽造又は盗用した場合は、是正を命じ、違法に生産・販売した製品を没収し、違法に生産・販売した製品の商品価値金額と同額以下の罰金を併科する。違法所得がある場合は違法所得の没収を併科し、情状が重い場合は営業許可証を取り上げる。」とされており、即ち、「不正競争防止法」第5条第4号に規定する①商品に認証標識又は著名優良標識等の品質表示を偽造又は盗用する及び②原産地表示を偽る行為については、「製造物責任法」第53条の規定に照らして処罰を与えることができる。③商品に商品の安全基準、使用上の性能、用途、規格、等級、主要成分および含有量、製造年月日、有効期限、品質保証期間など商品の品質と関係のある内容について虚偽表示を行う行為については、「製造物責任法」では、相応する処罰措置を明確には規定していない。この点については、同様に「製造物責任法」第53条の規定に照らして処罰を与えるという見解も存在し、また、「製造物責任法」第54条の規定に照らして処罰するとの見解も存在する。実務においては、上記の2条の規定に照らして、異なる行政処罰が下された事例がある。
地方立法の次元においては、例えば、「上海市不正競争防止法」第27条の規定に基づくと、虚偽表示行為に関する処罰として、公開に是正し、違法所得及び不正競争行為のために利用した道具を没収し、違法所得の1倍以上3倍以下の過料を科することができ、情状が重い場合は、違法所得の2倍以上3倍以下の過料を科することができる、とされている。筆者の理解では、ここにいう違法所得は、「工商行政管理機関行政処罰事案違法所得認定弁法」に照らして認定することができ、即ち、違法に商品を生産することによる違法所得は、違法に生産した商品の全ての売上から商品原材料の仕入価格を控除した後の金額で計算し、違法に商品を販売することによる違法所得は、違法に販売した商品の売上から販売商品の仕入価格を控除した後の金額で計算することができる。
以上をまとめ、中国法律は、虚偽表示について規定を行っているが、各規定は、完全に調和の取れた、合致したものではない(法条競合が存在する)ため、実務においては、工商行政機関が上述の行為の認定を行う際には、非常に明確な基準はなく、各工商行政機関によって、同一行為に対する判定が異なる可能性があるため、適用される法的根拠及び処罰措置も必ずしも同じであるとは限らない(工商行政機関によっては、罰金を多く取ろうという目的から、処罰措置の重い行為として処理する可能性がある)。虚偽表示を行っている疑いのある企業の対応が適切であれば、処罰措置の相対的に軽くなる法律を適用される可能性があり、即ち、ある程度処罰が軽減される可能性がある。
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