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ログイン2003年7月18日
<マクロ経済> 中国という国に関しては、その巨大さと奥深さの故に分からないことが多い。 しかし、まさか国としての基本的な力量を示す貿易額に疑いを抱く人は少ないのではないかと思う。事実、多くの専門家達が中国の貿易額なるものを引用し、「中国は脅威だ」「中国こそがデフレの元凶だ」「日中貿易の問題の一つに貿易インバランス問題がある」などと論陣を張っている。しかし、そこで引用されたデータの信憑性はいかがなものか?もし、そのデータが実態を正確に反映していないとしたら、ゆゆしき事態と言わざるを得ない。 筆者は、従来より経済統計、貿易統計上、香港をNIEC四地域の一地域として扱い中国と切り離すことに反対している。その理由は、主として二つある。 一つ目は、経済活動は今や政治行政上の境界を飛び越えてグローバルな広がりを見せている。従って、経済活動の実態を把握しようと思うなら、政治行政上の境界にとらわれ過ぎると実態に迫ることが出来ないと考えるからである。具体的に言えば、中国内陸で生産された商品が香港を経由して世界各地に大量に輸出されおり、また世界各地より香港を経由して世界各地で生産された商品が中国内地に輸入されているが、この実態を正確に把握出来なければ、中国経済の実態や実力が正確に測れないことになるからである。 二つ目は、今後日―中―米の貿易摩擦は激しさを増して行き、それを回避するために話し合いが幾度となく行われるであろうが、その際、それぞれの国が自分に都合の良いデータを持ち出して来て自国に有利な発言を試みると大いに危惧するからである。そうでなくとも解決が難しい問題が、話し合いの前提となる数字があやふやであるために、更に紛糾の度を深めてしまうことを危惧するからである。特に、日本、アメリカは香港を含めた中国の貿易額、貿易実態に関し十分研究しておくべきである。 ここに提示するのは、筆者がインターネットで得たデータをまとめたものである。
1.中国、香港の貿易総額 ◇中国・香港を別個とした場合 (2002年 単位:億米ドル)
中国と香港を独立した国として扱うとこのような数字が得られる。 人口700万程度の香港の貿易額が中国や日本にそう見劣りしないことが分かる。この二つの国の貿易額を単純に足すと、10,285億ドルと、とてつもなく大きな数字が現れて来てしまう。誰もこれが実態を表した数字であるとは思うまい。
(2002年 単位:億米ドル)
中国と香港間の貿易取引を国内取引とみなし、中国対外経済貿易部の統計における中国から香港への輸出額、香港から中国への輸出額を中国、香港のそれぞれの貿易総額より差し引いたものを加算すると、上記の数字が得られる。 中国(含香港)の貿易総額は日本をかなり上回る。
(2002年 単位:億米ドル)
2.と3.の違いは、何と2,000億ドルにも達するのである。この違いをもたらした原因は、中国と香港の統計数字の隔たりにある。
◇中国、香港を一つの国とみなした場合(3) (2002年 単位:億米ドル)
今度は、少し工夫して、中国の貿易総額から対外経済貿易部統計上の中国香港間貿易額を引いたものと、香港の貿易総額から香港政庁統計上の香港中国貿易額を引いたものを足してみた。そうすると、中国(含香港)の貿易総額は日本の貿易総額をやや上回るものとなった。 この辺が、最も実態に近いのであろうか?それにしても、一体中国と香港の数字の食い違いはどこから来ているのであろうか?
数字の隔たりは、香港と日本間にも存在する。
然るに、 中国と香港を加えると、
とグッと近づく。将来、日中間での貿易摩擦が激化するようなことになれば、どの数字が正しいかをめぐって議論が交わされることになるのではないか?
数字の隔たりは、香港と米国間にも存在する。
然るに、 中国と香港を加えると、
とグッと近づく。 こちらも、日中間同様、自国に有利な数字の模索が始まるのではないだろうか? (7月2日記) |
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