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ログイン2012年10月18日
■中国マーケットについてのサマリー
大前提:日本とは別のマーケットであり、日本での常識・ビジネス感覚が通用しない部分が多々ある。
①中国は、一つの国であるが、単一のマーケットではない
・広大な国土を有し、地域・エリア毎に気候は大きく異なり、それぞれの文化、消費行動も同一ではない
・都市間における経済格差が大きい(大都市間においても、文化、消費行動は同一ではない)
②業界慣習、商業施設の運営手法は、日本と異なる
③概して、1店舗当りの売上規模が小さい(単位面積当たりの売上金額は小さい)
④「売れるブランド」を即座に真似し、低価格で攻勢をかける”競合他社”が多数存在する
⑤日本ブランド(企業)は、特別な存在ではない
■項目毎の説明
①単一のマーケットではない
例えば、アパレル小売業の場合、地域・エリアによって以下の項目を考慮する必要がある。
・消費者の感性(趣向性;デザイン、テイスト、カラーなど)
・体形の違いを考慮した商品のサイズ<特に東北地方>
・気候の違いを考慮したアイテム及び販売時期の調整
・消費力を考慮したブランドのポジショニングと価格設定
◆ビジネスを行う上での現実的な対処方法
ビジネス開始当初は、消費者の感性・体形・気候が日本と大差無く、購買力が高いエリアに限定する。
→例えば、上海市、江蘇省(主要都市)、浙江省(主要都市)etc。
②業界慣習、商業施設の運営
◇求められる経営判断スピード
日本本社にお伺いを立てながら(或いは、月一回の取締役会での決済を待ちながら)ビジネスを行うことは、
現地の取引先が期待するスピードに対応できず、また競合他社に後れを取る要因となる。
現地法人のトップは、現地の取引先から即断即決(内容によっては、数日以内に結論を出すこと)を求められる。
例えば「1ヵ月待って欲しい」と回答することは、企業として「やる気が無いor本気では無い」との印象を与える。
◇戦略的に「代理商」を位置づける
日本と違い、中国では「代理商」(※9/10原稿で記載済)が存在する。
チャネル戦略、在庫及び資金負担軽減、労務管理軽減などの観点から、代理商を使うか否かを検討する。
自社の現地法人が主体的にチャネル戦略を策定し、全体最適の観点から代理商を位置づけることが重要である。
◇消費者行動及び商業施設の運営
日本では、大型商業施設が新規開業する場合、施設によるオープニング販促、消費者の行動様式などにより、開業当初ほど商業施設は混雑し、売上も相応に高水準となるのが一般的である。
一方、中国では、大型商業施設を新規開業した直後は消費者が集まらず、数ヵ月~数年の歳月を経て、徐々に消費者が集まり売上が増加していくケースが一般的である。
中国の消費者の多くは、新しい物やサービスを信頼・信用するまで時間がかかる(当初は警戒心を持つ)。
信頼できる知人からの口コミや、マス広告などによる影響を受けた後、徐々にそれらを試す傾向がある。
また、日本と違い中国の大型商業施設は、すべてのテナントが同じタイミングで開店するのではなく、準備が
できた店から段階的にオープンする(施設内に工事中の店が点在したままオープンする)のが一般的である。
商業施設の将来性を考慮した上でまず場所を確保し、商業施設の集客力が一定の水準を超えるまで開店しない(=開店準備の状態を維持する)テナントもある。顧客が非常に少ない状態で店をオープンした場合、ほとんど売れないにもかかわらず商品を店内にディスプレイ(在庫)し、且つ販売員の給与・手当てを支払わなければならないため、開店しない方が損失を小さく抑えることができる、との判断である。
③1店舗当りの売上金額(単位面積当たりの売上金額にて説明)
以下の表は、日本の百貨店売上ランキングTop 20と中国の売上No.1百貨店「北京新光天地」及び上海の売上No.1百貨店「上海八佰伴」の比較である。
売上金額及び、単位面積当りの売上金額は、日本と中国で非常に大きな差がある。
※単位面積当りの売上を比較するために、日本のSC売上ランキングTop20も掲載。
テナントミックス、テナント数、外商の違いなどあるものの、客観的な事実として数値を把握し、自らの事業を組み立てる必要がある。
(注意)
各店舗の売上高は周辺店や外商その他を含む場合が多いため、単純に店舗別の売り上げにはなりません。
「伊勢丹新宿本店」が大幅に増えて、「三越日本橋本店」が大幅に減っているのは、2012年3月期決算より、
三越法人外商の売上が「三越日本橋」から「伊勢丹新宿」の売上に加算されるように変更になったため。
上記、日本の百貨店と比べると「売上/面積」が圧倒的に小さい。
以下、「SC売上ランキング(日本)」と比較した場合、郊外型SCと同水準であることが分かる。
中国全土で売上No.1及び上海で売上No.1の百貨店において、この水準である。
当社の調査によれば、中国の売上Top20の百貨店においては、「売上/面積」は大半が0.30~0.90百万/㎡の範囲である。1.0百万/㎡を超える百貨店は2店のみである。
また、売上成長率(2010年から2011年にかけて)について、中国の売上Top20の百貨店の平均値は約20%であるのに対し、日本の売上Top20の百貨店の平均値はマイナス1.8%である。
例えば、北京新光天地で40㎡の店を運営する場合、あくまでも全館の平均値(目安として)ではあるものの
年間売上金額は、0.68×40㎡=27.2百万円/年(≒2.2百万RMB/年)に成長率/年を掛けた数値となる。
④真似する競合他社<アパレル業界の例>
一般に、中国アパレル企業の企画担当者は、シーズン毎に欧米、日本、香港etcへ出張し、大量の“サンプル”を購入し、自社ブランドの企画を行う際に“参考”にする。
また、中国国内において、人気ブランドの売れ筋商品を即座に真似し、自社の追加企画商品として店頭に投入するケースも日常茶飯事である。(販売好調なブランドの商品を真似し酷似した商品を低価格で販売するなど)
ハード面(商品、内装など)は真似をされても、ソフト面(戦略、仕組み、スタッフレベルなど)で差別化することが重要である。
⑤日本ブランド(企業)=特別な存在では無い。
日本ブランド(企業)の多くは、中国マーケットでは無名ブランド(企業)である。
中国の多くの消費者及び業界関係者にとって、日本ブランド(企業)の多くは見聞きしたことのないブランド(企業)である。<車、家電業界などの大手は除く>
中国マーケットにおいて消費者の多くは、数ある海外ブランドの中の一つが日本ブランドである、と認識している。
欧州、米国、韓国、台湾、香港などのブランドと比較し、デザイン・品質はどうか、価格はどうか、を冷静に判断する。
日本において既にビジネスを成功させたブランド(企業)であっても、中国マーケットに進出する際は、「無名の新ブランド(新規事業)を立上げる」という意識を持つ必要がある。
※日本の地方都市へ事業を拡大する場合とは、「全く違う」と認識すべきである。
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