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BtoBビジネス(事例紹介)

中国ビジネスレポート マーケティング
牛田 賢

牛田 賢

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2013年8月19日

①商品の販売 :与信と決済条件に関して
→日本(上場)企業の中国現地法人J社が中国の中小企業A社(売上規模:数億RMB)に自社商品を販売するケース
 
 中国企業A社との取引を開始する際、日本企業の中国現地法人J社はA社に対し与信枠を設定する。J社が与信枠を設定する際、日本本社と同様のプロセスにて調書(ダンレポートなど)を取得し更にA社に対し決算書の提出を要求する。
一方で中国企業A社には、取引開始前に新たなサプライヤーに対し、決算書を提出する商習慣はない。
中国においては取引時の「先払いor後払いの比率と支払い時期」を交渉するのが一般的であり、「決算書(※1)を提示するorしない」に関する交渉を受けることは馴染みがない。

Ex.初回取引時は前金100%にてスタートし取引を繰り返す中で後払い比率を設定(与信枠を設定)する。
初回取引時に前金100%が難しい場合は「発注時30%支払い、出荷前30%支払い、納品後30日以内に残り40%支払い」などと交渉する。このケースでは取引全体の40%が信用取引になる。この取引を実行するか否かは、企業各々の経営判断による。(※2)

ビジネス上のパワーバランスにより交渉の難易度は変化する。
一般的に日本企業(自社)の商品が中国企業にとって魅力度が高ければ有利に交渉を進め易く、代替えが利く商品の場合、交渉を有利に進めることは難しい。

中長期的に取引及び回収を円滑に進めるためには、中国的なアプローチではあるが、時間をかけて(1年~数年間)中国企業A社の経営トップと、日本企業の経営トップが良い関係(個人的に親しい関係)を築き、「A社にとって特別扱いの存在になること」が現実的且つ効果的な手法である。

※1)中国の中小企業において、財務諸表の信憑性が不透明(二重帳簿の存在)であるケースが多い。
※2)当社がビジネスに関与している繊維・アパレル業界では、前金+納品後30日~60日以内での支払いが行われている。
但し、商品品質、納期遅延などに関するクレームにより、支払いを遅延されるケースは存在する。
別の例として、上記A社ではない中国の上場企業C社の支払条件は、前金は30%のみで、納品後30日以内に30%、納品後90日以内に残り40%支払い、である。


②サービス提供 :ビジネスモデルの転換
→日本の中小企業Y社が中国企業B社他にコンサルティングサービスを提供したいと考えるケース

 中国企業B社へ日本の中小企業Y社がコンサルティングサービスを提供し、そのサービス提供の対価として料金を徴収したいと考える場合、日本と同様のアプローチで、ビジネスを成立させることは至難の業である。
中国では上場企業を除きコンサルティングサービスなどの「目に見えないもの(実体が存在しないもの)」に対し、料金を支払う商習慣・文化が無い。
また、一般的に日本企業と中国企業はビジネスのスタイル(意志決定スピード、事業性を見極める期間、計画性、緻密さ、重視するポイントなど)が、大きく異なる。
更に、日本企業Y社が持つノウハウは日本マーケットで通用する(或いは、通用してきた)ものであり、中国マーケットで即、通用するものではない。
※日本で通用するものが中国でそのまま通用すると考えるのは、多くの場合適切ではない。

日本企業Y社は、中国マーケットにおいてはアプローチの仕方を変えた方が賢明である。
具体案としては、
a)アウトソーシング業務の中にサービスを組み込む
b)サービスをパッケージソフト化(商品に組込む)して販売する
c)販売力があり日本側のサービスに価値値を見出す現地パートナーを発掘し、そのパートナーに出資するなど。

また、参入前に準備すべき事項(原則論)は、
1.中国マーケットを知り、自社が参入すべきセグメントを定義する
2.競合他社のサービスを知り、自社の強み・弱みを認識する
3.事業開始に向けたスキームを立案し、実現可能性を追求する
である。

日本企業Y社にとって、ターゲット市場での競争ルール・常識が違うため、現地の事情に即した「あるべき経営判断」をすること自体が難しい。
一案として、Y社は上記の原則論に従い、自社は商品及びサービス開発の領域に特化し、中国マーケットを良く知り、且つ販売力のある現地パートナーとの協業を模索したい。

以上。

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