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日本のサービスはアジアで通用するのか

中国ビジネスレポート マーケティング
森辺 一樹

森辺 一樹

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2013年2月19日

我々日本人が世界に誇れるものの一つに“質”の高さがある。これは決して製造大国日本が誇る様々な製品や技術の質の高さだけではなく、日本企業が提供するサービスにも同じことが言える。日本のあらゆる企業が提供するサービスは“質”が高い。

海外に住めば、日本程あらゆる業界でサービスの質が高いと感じる国は無いことが良く分かる。スーパー、コンビニ、レストラン、アミューズメント施設、ガソリンスタンド、ホテル、銀行、航空会社、公共施設とありとあらゆる場面でその質の違いを実感する。「日本だったらこうなのに。。。」と嘆くこともしばしばだ。

では、この質の高いサービスをアジアにそのまま持っていけば成功するのだろうか。それには少し気をつけなければならない。まず、日本と海外のサービスに対する大きな違いは、「海外では、良いサービスは無料ではない」ということだ。日本で我々が受ける質の高いサービスは全て無料であり、日本では1億2,000万人が平等に同じ質のサービスを受けられる。お金持ちも庶民も受けるサービスに表面上大きな違いは存在しない。

しかし、海外では、そうではない。より質の高いサービスを受けようと思うと、より高いお金を支払うのが当たり前だ。従って、余計なサービス料を払わなければ、提供されるサービスも普通であり、それが日本の質より低いというだけのことだ。そして、それがサービスを提供する側も受ける側も当たり前になっており、不満を抱く人など居ないのだ。

例えば、レストランに行った際、食事の始まりから終わり迄、一人のウェイターが色々と気の利いた働きをしてくれる。これにはチップというサービス料が発生する。ホテルでルームサービスをお願いすれば、ベットメイキングをお願いすれば、そこにもチップが発生する。そもそもこの“チップ”という考え方が特別なサービスに対する料金なわけだ。

また、海外で銀行に行けば、必ずと言って良い程、「プライオリティー・レーン(優先レーン)」が用意されており、ある一定額以上の預金がある顧客は、長い行列に並ばなくて済む。日本でも、外資系の銀行は皆そうなっている。更には、ある一定額以上の預金をしない顧客からは、毎月口座維持費用すら取る。同じことを日本の銀行はやらない。

このように、日本と海外ではサービスに対する考え方が大きく異なる。そして、日本で万人に提供される質の高いサービスを、アジアの一般庶民が皆も求めているとは限らない。反対に、お金持ちは、日本の質より更に質の高いサービスに慣れており、日本の万人向けのサービスでは満足しないのだ。サービスの“質”だけを武器にアジアへ出ることは禁物だ。

(2012年4月 執筆)

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