こんにちわ、ゲストさん

ログイン

マネジメントと言う名の押し付け

中国ビジネスレポート マーケティング
森辺 一樹

森辺 一樹

無料

2014年6月26日

 私は仕事柄、一年の多くを海外、取り分け新興国で過ごす。中国、インド、東南アジア、中東、南米、アフリカと顧客のビジネスがそこにある限り国は様々である。私に課せられるミッションの多くは各国における顧客の事業戦略や販売戦略を構築することである。時には、構築した戦略を顧客と共に実行することで支援を行うこともある。
 
 良い戦略とは、様々な要素を必要とする。そしてその要素を発揮し、戦略にするために絶対に必要なものが“情報”である。正しい情報で実態を可視化できなければ良い戦略など到底立たないからだ。従って、弊社では新興国中で多くのリサーチを行っている。競合の実態や流通構造の把握など、産業調査もあれば、消費者の実態を可視化する消費者調査も行っている。

 様々な国で、その国々に合った戦略を構築する際、当然ながら国ごとに異なるお国柄が非常に大きく影響してくる。広義では、政治や経済、文化などを確りと反映した戦略にしなければならない。狭義では、企業や流通、そして消費者などを的確に把握した戦略にしなければならない。日本や先進国で通用してきた今迄の戦略などは、ベースにしかならず、残りの50%以上はその国々に合わせてローカライズ(現地化)させなければ絶対に勝てる戦略など構築はできないのだ。しかし、残念なことに、多くの企業を見ていると、未だに、日本や先進国で取ってきた戦略をベースの8、9割にしてしまっている。従って、残り1、2割のローカライズした戦略が非常に甘いまま新興国へ進出しているのだ。
 しかし、本当に難しいのは、良い戦略の構築以上にその実行である。戦略の実行が難しいにも関わらず、それ以前の戦略が甘ければ、何年無駄に頑張っても収益には繋がらない。

 仮に良い戦略が立ったと過程して話を更に進めたい。良い戦略が立ち、いざ実行となった際、どんなにその国に詳しかろうが、どれだけ流暢に言葉を話そうが、外国人である以上、日本人が新興国でできること、やるべきことは限られている。前線に立つべきは現地人であり、外国人はそれを如何にマネジメントできるかに尽きる。従って、日本人にはマネジメント力が真に求められる。

 ここまでは皆も同様に理解しているのではないだろうか。理解していないのは、自分自身がマネジメントと思っているその行為が、たんなる日本流の押しつけでしかないということだ。日本流の押しつけという名のマネジメントを気がつかず行っている日本人は少なくない。新興国の社員は日本人には気安く本音は語らない。それが押し付けの発見を遅らせる。日本人のマネージャーは絶えず、自身のマネジメントを自問自答する姿勢が新興国では求められると心から感じる。

(2011年12月 原稿)

ユーザー登録がお済みの方

Username or E-mail:
パスワード:
パスワードを忘れた方はコチラ

ユーザー登録がお済みでない方

有料記事閲覧および中国重要規定データベースのご利用は、ユーザー登録後にお手続きいただけます。
詳細は下の「ユーザー登録のご案内」をクリックして下さい。

ユーザー登録のご案内

最近のレポート

ページトップへ