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ログイン2011年7月26日
残業代を計算する際、日本では基本給をベースにしますが、中国では、基本的に「正常業務時間における賃金」を基準とします。しかし、この「正常業務時間における賃金」の解釈と、労働契約で「正常業務時間における賃金を基本給とする」と約定した場合の効力については全国的な統一見解がなく、各地の地方立法または運用に任されているのが現状です。以下、福州市の状況をご紹介します。
現在、福州市には、「正常業務時間における賃金」について明文化された規定がありませんが、福州市の労働仲裁機関が、近年来、労働仲裁を通して次の見解を示しています。
①労働契約に「正常業務時間における賃金」を基本給とする旨が盛り込まれていても効力はない。
中国の他の大部分の地域ではこれが認められているのですが、福州市では、この点につき、労使双方による合意の効力が否定されています。
②標準時間制を採る場合の1時間あたりの残業代の計算基数は、「(月の賃金総額―賞金―特別手当)/21.75/8H」で計算される。
ここでいう月の賃金総額とは、一ヶ月間に従業員が得た金銭的報酬の総額を指します。これには次の項目が含まれます。
(1)時間ベースで支給される労働報酬
(2)出来高をベースに支給される労働報酬
(3)各種手当
(4)賞金、ボーナス
(5)特殊な場合に支給される賃金
一般的に、賃金総額には残業代も含まれますが、この計算式は、「正常業務時間における賃金」のためのものですから、残業代は賃金総額に算入されていません。ただし、個人負担の社会保険料、住宅積立金、個人所得税は含まれます。
また、従業員に対する支給のうち、以下のものは賃金総額に計上されません。
(1)出張時の食事補助金
(2)欠食の場合の補助
(3)異動時の旅費および赴任手当
(4)従業員の発明などに対する報奨金
(5)労働保護に関する各種費用
賞金には、毎月支払われるものと年中、年末ボーナスが含まれます。特別手当とは役職に応じた手当です。
この残業代の計算式によると、仮に、会社の賃金構成が、基本給、賞金、特別手当からなるのであれば、残業手当の基数は基本給ということになります。
以上から、残業代の計算基数に基本給を採用することをお望みの場合、次の2点を提案します。
(1)福州市では現時点で、労働契約において「正常業務時間における賃金」を規定しても効力はないという見解を示しているが、他地域の状況と今後の全国的な政策統合の流れを考慮し、「正常業務時間における賃金を基本給とする」旨の文言を労働契約に盛り込んでおく。
(2)労働契約に基本給のみが規定されていて、実際の支払い月給が基本給を超える場合、基本給、賞金(中国語:奨金)、特別手当(中国語:職位補貼)、残業手当(中国語:加班費)の四項目に分け、別々に給料支払い確認書面にサインしてもらう。
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