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裁判例のご紹介:会社の営業ライセンスが取り消された後、従業員は二倍賃金を主張できるか。

中国ビジネスレポート 法務
王 倩

王 倩

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2015年1月20日

出所:浙江省高裁

【事実概要】

Aは2010年10月6日、Bの設立した浙江省のあるプラスチック工場に雇われたが、双方は労働契約書を締結していない状態であった。その約一か月後の2010年11月12日、プラスチック工場の工商登記が抹消された。2011年8月17日、給与支給の問題で、Aはプラスチック工場と労働関係を解除して労働仲裁を申し立てたが、受理されなかった。Aはその後、Bに対して、入社してから一か月後に当たる(最初の一か月は労働契約を結んでいなくても、この期間は猶予期間とみなされるので、罰として二倍賃金を支払う必要は認められていない為)2010年11月から2011年8月までの二倍賃金、並びに経済補償金を求めて、所轄の人民裁判所に提訴した。

【判旨】

裁判所は本訴において、会社は営業ライセンスを取り消された場合、その出資者が訴訟の当事者にあたり、雇用者の関係責任を負担することになります。会社登録が抹消された後の期間についての、労働契約未締結に対する二倍賃金の請求は、会社の主体不適格によって、認められなくなります。

【解説】

適法経営ライセンスを有しない会社は、行政処罰を受けていても、引き続き雇用責任を持たなければなりません。ただし、雇用責任の範囲は『労働契約法』第九十三条に挙げられた労働報酬、経済補償金、賠償金及び損害賠償に限られる為、拡大解釈をする事は妥当ではありません。従って、会社登録が抹消された後は、労働法上の労働関係に該当しないことから、二倍賃金の支払いは認められなくなります。

以上

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