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中国ビジネス展開のチェックポイント 第10回【中国での社会保険負担②】

中国ビジネスレポート 労務・人材
田畑 泰朗

田畑 泰朗

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2012年11月5日

はじめに
前回は本地都市戸籍従業員の社会保険について解説いたしました。今回は上海市においてそれ以外の従業員を採用した場合の取り扱いについて説明いたします。

Ⅱ.外地人、非都市戸籍保有者の社会保険制度
(1)    変遷
① 2005年以前
2005年以前は、外地戸籍、非都市戸籍保有者は原則として社会保険に加入することができませんでした。つまり、企業は本地都市戸籍人を採用する場合に比べて、同等の手取り額を与える場合は半分近くのコストでこれらの人員を雇用できたと言うことです。
② 2005年の改正後2009年まで
2005年より外地戸籍保有者、非都市戸籍保有者も社会保険に加入することになりましたが、保険額・保険待遇ともに本地都市戸籍保有者と比べると大変に低い水準となっていました。

以前の都市保険(本地都市戸籍保有者)と総合保険(それ以外の戸籍)

年保険は本人給与が基数(上限=市平均の300%、下限=市平均の60%)
総合保険は一律、市平均の60%

この表では単純にパーセンテージの比較だけではなく、注意書きの計算基準に注目するとさらに保険額に相当な差があることが理解できます。

③ 2009年の改正後2011年まで
2009年の改正で、45歳未満の外地都市戸籍保有者も本地都市戸籍保有者と同等の社会保険に加入することとなりました。45歳以上の外地都市戸籍保有者と非都市戸籍保有者の保険額・待遇は低いままに抑えられていました。  
④ 2011年からは45歳以上の外地都市戸籍保有者も本地都市戸籍保有者と同等の社会保険加入をすることとなりました。非都市戸籍保有者に対しては5年間の経過措置がありますが、2015年には本地都市戸籍保有者に近い保険額と保険待遇が受けられることとなります。 

非都市戸籍保有者に対する経過措置
 

 
2015年以降は基数上限
(市平均給与の300%)、下限(同60%)
 

また2015年以降どこかの段階でさらに待遇差がなくなり一本化されると予想されます。

(2)    企業として注意すべきこと
① 特に中国に早い段階で進出し、歴史の長い企業ほど、過去の制度がそのまま残っており、新しい社会保険制度に社内の制度が対応しておらず、特に外地戸籍、非都市戸籍保有者に対して社内保険手続きを行わせなかったり、企業負担分を支払わなかったりするケースが見受けられます。これを放置するとこれらの従業員から不満が出て大きな労働紛争や、当局からの強い指導を受ける原因となります。
② 最低賃金付近の従業員であればあまり影響はありませんが、中間管理層に多くの非都市戸籍保有者の従業員がいる会社の場合、2014年から2015年になる時点で、社会保険の企業負担額が急に上昇することになりますので、人員計画、経営計画などを作成する際に十分な注意が必要です。
③ 非都市戸籍従業員と複数年の雇用契約を締結する際には、支給総額が一定額ですと社会保険個人負担額の増加にあわせて手取額が減少します。当該従業員がそれでよければ問題ありませんが、このあたりを事前によく話し、企業、従業員ともに納得のいく契約を締結しておくことをお勧めします。 

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