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中国人社員の目に映った日本、日本人、日本企業(2)

中国ビジネスレポート 労務・人材
田中 則明

田中 則明

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2004年3月24日

<労務・人材>

中国人社員の目に映った日本、日本人、日本企業(2)

田中則明

M君―(2)

◇日本の品質に対する意識とサービスに対する意識

 品質の良し悪しが最も端的に現れるのは商品においてである。私は帰国前にいくつかの電子機器を購入し持ち帰りたいと考えており、いろいろと価格を調べてみた。すると、同じモデルでも商店によって価格が異なること、いやそれどころか、かなり価格差が大きいことが分かって来た。
 そこで、日本人の同僚に価格差が品質の差を意味しているのかと尋ねたところ、同僚は、胸を張って、品質は同じ、違いなどないと断言したが、まさにその通りで、彼の答えは正しかった。
 それだけではなく、私が買った電子機器は、大変精巧に作られているのみならず、設計上多方面に亘ってユーザーの使い勝手に配慮したものであった。このことより、私は、日本人が日本製品に対して有する品質面の自信の程、より優れた品質を追求するという気持ちを日本人の誰もが持っていることを痛感した。

 日本のサービスに対する高い意識も同様に各方面に見られる。店頭ではどのような問題であっても、店員が懇切丁寧に説明を行い、また終始その態度は礼儀正しい。電車の切符を買ったり、電車の乗り換えを行う際、必ず周囲に詳しい案内図があり、どこの駅に行く場合の運賃も明示されており、乗客はその図さえ参照すれば良い訳で、この上なく便利である。更に、町の通りでも周辺地域の地図が簡単に見つかり、その地図上には、商店、学校、道路、トイレ、ごみ捨て場、電話ボックス等が示されている。こんな具合で、誰も道に迷う心配をしなくて済む。

◇日本のチームスピリットがもたらす効率

 私は日本に半年しか滞在しなかったが、それでも、日本人のチームスピリットがどういう働きをしているかつくづく感じ取ることが出来た。もし、アメリカがその開放的なスピリットにより他国の優秀な人材を引き付け高度な文明社会を築いているとするなら、日本はその際立ったチームスピリットが高度な文明社会を成り立たせていると私は見る。
 日本での研修期間中に私は次のような発見をした。即ち、社員個々人にはかなり能力格差があるが、しかし、いかに優秀な社員が入って来ても、その人が優越感を周囲に撒き散らすことがないので、その分、能力が劣る社員も余り引け目を感ぜずに済むという雰囲気が出来ており、皆が会社から与えられた仕事に安心して励んでいるのだった。このようなチームスピリットがあるからこそ、商品を産み出す各プロセスにおける品質が保証され、それゆえに極めて質の良い商品が生まれて来ているのであった。
 実は、最初は、私は日本人社員の個人的な能力は特に高いとも思わなかったし、時として、うるさい事を言うなー、と感じることもあったが、しまいには、この団結力が本領を発揮して生み出す効率性の高さに身震いを禁じ得なかった程だ。
 また、私は日本の研修中に、日本の会社では、社員にとって、あれは出来ない、これは出来ないということはなく、そういった気持が社員の自信につながっており、且つ、自分から積極的に新しい技能を学ぼうという気にさせているということに気付いた。

(つづく)

(2004年2月記・1,297字)
心弦社代表 田中則明

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