こんにちわ、ゲストさん

ログイン

中国人社員の目に映った日本、日本人、日本企業(4)

中国ビジネスレポート 労務・人材
田中 則明

田中 則明

無料

2004年5月17日

<労務・人材>

中国人社員の目に映った日本、日本人、日本企業(4)

田中則明

 今度は、2003年12月から半年間日本で研修を受けたFさん(女性)の感想文を逐語訳します。一字も手は加えておりません。
 翻訳を許していただいた会社の経営者と感想文の著者達の勇気に敬意を表します。

Fさん―(1)

 人の一生においては、環境が異なり、経歴が異なり、心情が異なれば、時間に対する感覚もかなり違ったものになって来ます。毎日目の前に現れる全ての事物がこの上なく新鮮で、周りで起きる全ての出来事が人に果てしない思いを巡らせるようなものである時、人は時間がその歩みを停止しているかのような感覚を覚え、また、新鮮なものごとがいくら多くても、それらを割りと簡単に、自分の脳裏に深く刻み込むことができるのですね。これが私が日本で半年、生活、仕事をした時の実感です。ですから、日本から帰国して既に1年2ヶ月になりますが、日本でのちょっとしたことも、はっきり覚えていますし、逆に帰国後の1年余りの時間は、あっという間に過ぎて、その間のことは何も残っておりません。

 日本に来た当初、電車に座って車窓を眺めると、遮音版の隙間から次々に背の高い建物、低い建物が現れ、そこに書かれた漢字は皆読めるもので、一時自分が異国の地にいるとは思えませんでした。もし、何が違う、と聞かれたなら、こういうところが大変きれいで、こういうところが大変小作りで、空は明るく、青く、風があっても埃がなく、道は狭く、ビルが密集していて、車は小型だが、色鮮やかで、少しの汚れもないと答えたでしょう。しかし、こういった感想は私を失望させるものでした。「これが、経済が高度に発展したといわれる日本?」と感じたからです。その一方、「我が国が先進国の仲間入りをするのももう間近だ」との愉快な気持にもなりました。

 けれども、それに続く毎日、私の周りで起きる些細な出来事は、私のこの第一印象を打ち消すようなものばかりでしたし、些細な出来事とはいえ、とても印象深いものばかりでした。このようにして、帰国時の私は日本に対して以前とは全く異なった印象を抱くようになっていました。以下、私にとっての日本の印象をいくつかの面から述べてみます。

1. 日本はテンポの速い国

 出勤第1日目、私はまだ会社に行ったことがなかったので、○○さんと9時15分に駅で待ち合わせをしました。遅れてはいけないと思い、30分も早く着きました。八王子駅の2階ロビーでした。この何も用事のない30分間に、日本がいかにテンポの速い国であるかということを思い知りました。行き交う人々は皆秩序よく整然としていたのですが、けれども誰もが忙しそうにしており、エスカレーターに乗るのに、エスカレーターの左側に立っている人は極一部分で、大部分の人は、右側を早足で駆け抜けていました。私が、初めて下りのエスカレーターに乗った時、不注意で向かい側の逆方向のエスカレーター上を歩いている人を見習ってしまったのですが、あの時、思わず胸がドッキンドッキンと高鳴ったのを良く覚えています。

  日本の「テンポ」は、ただ「速い」という一言に集約できるものではなく、皆がそれこそ一秒一刻を惜しんでいるといった面にも表れていました。私のような「閑人(ひまじん)」は周りをざっと見回しても一人もいないのでした。新聞を読む人、本を読む人、漫画を読む人、或いは、小冊子を読む人、報告書を書く人、限られた時間に睡眠不足解消をはかる人ありでした。そこには、北京の地下鉄内のように、傍若無人におしゃべりをする「閑人」はいませんでした。

(つづく)

(2004年4月記・1,474字)
心弦社代表 田中則明

ユーザー登録がお済みの方

Username or E-mail:
パスワード:
パスワードを忘れた方はコチラ

ユーザー登録がお済みでない方

有料記事閲覧および中国重要規定データベースのご利用は、ユーザー登録後にお手続きいただけます。
詳細は下の「ユーザー登録のご案内」をクリックして下さい。

ユーザー登録のご案内

最近のレポート

ページトップへ