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中国人社員の目に映った日本、日本人、日本企業(8)

中国ビジネスレポート 労務・人材
田中 則明

田中 則明

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2004年8月26日

<労務・人材>
中国人社員の目に映った日本、日本人、日本企業(8)

田中則明

 日本の良い面にスポットライトを当てたFさんの見聞録の最終回です。

 Fさんにより、良い面としてここに取り上げられた部分も、読み方によっては、必ずしも万人(特に中国人)にとって良いものかどうか、という気がします。ですが、Fさん自身も、そのことは十分承知していらっしゃるのではないでしょうか?

Fさん―(5)

9.日本は品質に対する意識が格別に高い国

 日本人の「職業を生きがいにする」という精神は、世界的に有名ですが、日本製品の品質の高さも世界的に定評があります。
 日本で仕事をする中で最も感銘を受けたのは、「何事であれ緻密な計画と合理的な配慮がなされている」ということです。毎朝、出社して、アンテナハウス社製の『行先番』というスケジュール・ソフトを開くと、そこには「会社全体、部門全体の会議のお知らせ」「社員各人の就業規則や業績考課に係わる事項」「各人が取り組んでいる業務」「外出予定、ランチの予定」はたまた「一カ月後の休暇」「出張の予定」「数カ月後に予定される会社の改革案」などが掲示されています。また、これらのお知らせや通知には、詳しい内容説明とスケジュールが示されており、社員はこれを頼りに、理に適ったやり方で自分の仕事を配分できるのです。

 日本の会社では、朝は皆ほぼ同じ時間に出社し、タイムカードを打つ音が続けざまに響くことで「出勤した」という実感が湧きます。反対に夜は退社という実感が湧いてきません。なぜかというと、ほとんど誰も定刻には退社せず、遅くまで仕事をしているからです。8時、9時まで仕事をするのは当たり前で、夜あたりを見回しても、皆まだ席に座っています。
 また、仕事中は大変静かで、注意深く観察してみると、会議以外は多くの社員が一日中一言も話さずに、仕事に没頭しています。これは、通信手段が発達しているためでもありますが、ここにこそ「日本人のいささかも物事をいい加減にしない、仕事を大切にする気持ち」が如実に表れていると思います。

 また、日本人の仕事振りは大変緻密で、このことは、前から痛感していました。なぜなら、数多くの企画書、使用説明書、プロジェクト計画書に触れていたからです。

 その他、日本での半年間、使ったボールペンは、数本のみでしたが、私はすっかり日本製のボールペンが好きになってしまいました。なぜなら、これらのボールペンは、精巧に作られているばかりではなく、インクの出具合も良く、太過ぎず細過ぎずで、手にピタッとくる上に、最後まで良好な状態が続くので、その分、字がきれいに書けるからです。

 さらに、日本の商店街を歩いていると、外に置かれた商品が目立つのですが、日本製品であれば見た目にはっきりと「日本製」のシールが貼られているのが目に入ります。日本製は、必ずと言って良いほど、外国製より値段が高いのですが、日本製品は、高品質に支えられてこそ、高価格が維持できるのです。

 以上が、私が半年の間に実際に見たこと、身をもって体験したことですが、皆さんはこれを読んでどのような感想を持たれたでしょうか? 様々な感想を持たれたに違いありません。ご自分なりの感想を持たれるのは当然のことで、これを機にいろいろと考えてみていただきたいと思います。
 私が確信を持って言えるのは、「日本には学ぶべきことが多い」ということです。もちろん、私の見聞は、偏っているに違いありません。何より、日本のウィークポイントを私は見ていません。

 しかし、個人の成長過程においても、社会の発展過程においても、他の人の長所を見て、それに学び、自分を常に高めていくべきだと思います。もし、他人の欠点ばかり見ていたら、私たちに進歩や向上があり得るでしょうか?その意味において、皆様、私の見聞録の中から、何かを学び取っていただければ幸いです。

(2004年7月記・1,519字)
心弦社代表 田中則明

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