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中国人社員の目に映った日本、日本人、日本企業(12)

中国ビジネスレポート 労務・人材
田中 則明

田中 則明

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2004年11月14日

<労務・人材>

中国人社員の目に映った日本、日本人、日本企業(12)

田中則明

Zさんは、【日本人の四つの精神】として、「仕事を大切にする気持ち」「サービス精神」「品質を重んじる精神」「自律精神」を挙げて、自国と比べて優れた面のみを取り出しています。今回は、そのうちの前二者の部分を訳出しました。Zさんの日本滞在記を読むと、「淳風美俗」という、あまり最近では耳にしなくなった言葉を思い出します。日本人が守るべきものが、そこに見えているという気がします。

Zさん―(2)

【日本人の四つの精神】

1.日本人の仕事を大切にする気持ち

 日本に到着したその日から、この国の雰囲気を嗅ぎ取ることになりました。国全体が、大変秩序だっており、とても清潔で、人々は忙しく、生活のテンポが大変速い。けれども、時間がたち、より深く知るにつれ、日本人が私に見せてくれたものは、「仕事を大切にするとは、どういうことか」ということでした。
 
 日本人のこの仕事を大切にする気持ちは、仕事の段取りをきめ細かく行うという行為の中に如実に現れていました。私自身は、仕事上ではほとんど先輩中国人の○○さんとばかりやり取りをしていましたが、日本人の社員たちの仕事に対する姿勢は、よく見て取れました。

 普段は誰もが無駄口をたたかず、仕事に没頭していますが、一旦問題が起きると、すぐに打ち合わせを行い、それこそ、次のステップをどういう風に、どのような時間割で行うかを詳細に話し合います。日本人の時間に対する観念は強く、それは、出勤退社時間についても、一つ一つの個別の仕事についてもそうでしたし、また、業種を問わず共通していました。朝の5時に電車で出勤したり、夜中の12時に退社したりしたこともありますが、驚いたのは、電車に乗っている人がいつも多いということでした。

 また、別の見方からすれば、日本人の仕事を大切にする気持ちは、どの仕事についても大変真面目にやるということだとも言えます。計画を立てる際に毎分毎秒まで立てないと気がすまないのです。また、まず何よりも、自分がやるべき仕事を果たそうとしていました。

2.日本人のサービス精神

 日本においては、どういう場合にも、「恥をかく」おそれがないのです。なぜなら、どこにも詳しい説明があるからです。新幹線に乗っても、全てのシートの背に何号車かが明示されているし、最寄りの号車のトイレ、ゴミ箱、電話の位置が、男の人、女の人の図柄や、タバコの図案の上に×印をして示してあります。また、日本語、英語の説明文もあります。

 日本の地図は、実に親切に描かれています。一筋、二筋路地を歩けば、必ずと言ってよいほど周辺域を示した地図があります。これらの地図は、上が北といった簡単なものではなく、空中写真方式のもので、見る者はたちどころに、前に何があり、後ろに何があり、右手、左手に何があるか分かってしまいます。どんな方向音痴でも理解できるものです。

 日本の食は、必ずしも全ての中国人の口に合うとは限りませんが、日本のレストランの料理は、安心して食べられます。どのレストランにも蝋で作った料理のサンプルが入ったガラスケースが置かれていて、それを見れば、どんな料理か、形や量まで一目瞭然です。また、実際に出てくる料理はサンプル通りのものです。ガラスケースに入っていない料理も、店の中に写真付のメニューがあり、値段はいくらで、どんな料理かが一目瞭然です。

 日本滞在期中に二度ほど遠出をし、道が分からず、日本人に道を尋ねたことがあります。尋ねられた人は、それこそ懇切丁寧に教えてくれました。口で説明して分からないとなると、紙を取り出して描いてくれます、あるいは、描いた地図が良くないと言っては何度も描き直し、こちらが、はっきりと理解するまで説明してくれるのでした。
 さらにもっとこちらの理解を超えることとして、道を尋ねてからずいぶんと歩いて来てしまったのに、あとから車で追いかけて来て、目的地まで送り届けてくれたことです。「親切とは何か?」をしみじみと感じました。

(2004年11月記・1.655字)
心弦社代表 田中則明

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