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中国人社員の目に映った日本、日本人、日本企業(14)

中国ビジネスレポート 労務・人材
田中 則明

田中 則明

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2005年1月6日

<労務・人材>

中国人社員の目に映った日本、日本人、日本企業(14)

田中則明

 Zさんは、【日本人の四つの精神】として、「仕事を大切にする気持ち」「サービス精神」「品質を重んじる精神」「自律精神」を挙げて、自国と比べて優れた面のみを取り出しています。今回は、締めくくりの部分です。

 文中で、日本の女性達の「無用心バッグ」に言及しておられますが、そう言われてみれば、中身スケスケのバッグは、一昔前には日本でもあまり見かけませんでしたよね。日本の女性たちにどういう意識の変化が起きたのでしょうか?

Zさん―(4)

【日本人の四つの精神】

4.日本人のセルフ・コントロール

 日本は地下鉄が大変に発達した国で、東京でも大阪でも地下には空洞が広がっており、地上のどのビルから入って行っても地下鉄の駅に辿りつくようになっています。少し離れた都市に行くには、高速の新幹線で行けます。が、ごった返している地下鉄でも、新幹線でもゴミが散らかっているのを見たことはありませんでした。

 また、乗客達は、手に手に新聞紙や空き缶を持って降車し、種類別に分けられたゴミ箱に捨てる光景にしょっちゅうぶつかりました。また、こんな光景もよく目にしました。それは、子供が電車に乗り込んで来て坐ってから窓の外を見たいという時、親が、子供の靴を脱がせ、座席を汚さないよう気を使っているというものでした。

 行列は、日本の名物です。公園で遊ぶのにも列を作ります。レストランで食事をするのにも列を作りますし、トイレでも列を作ります。道で「もよおしてしまった」人は、トイレの入り口で列を作って並びますが、一人でも人が並んでいれば、その後ろに並びます。そして、一人出てくれば一人入ります。その落ち着いて辛抱強く待っている様子からは、風雲急を告げるといった雰囲気は感じられません。また、エスカレーターでも並びます。皆自然に左側に立ち、右側はエスカレーター内を歩いて登る人のために空けておきます。

 街で見かけるもので面白いのは、若い女性たちのバッグにファスナーが付いていないことです。バッグの中に入れた携帯電話、サイフ、カメラ等が外から一目瞭然なのです。彼女らは、こういったバッグを抱えて込み合った地下鉄に乗ったり、にぎやかな街に出るのです。

 これと似たような景色に、東京、大阪の地上地下に軒を連ねたコンビニがあります。店内に置ききれず、商品を店の外まで陳列していますが、従業員が見張っていないどころか、盗難防止磁気や盗難防止ゲート等の設備はなく、お客が商品を自分でカウンターに持って行きお金を支払う仕組みになっているのです。

 もちろん、日本は完全無欠の世界というわけではありません。事実、あまたの社会問題が山積しています。しかし、この経済的に高度に発達した社会の背景に、我々が本当に学ぶ価値のあるものがあるのです。それは、言ってみれば、必ずしも物質的なものを投入しなくとも、精神的に最大限の努力を惜しまないという意識があれば、その意識が最終的には測り知れない物質と精神的豊かさを生み出すということです。私は、これこそ、我々が今後の仕事と生活において、活かすことのできる貴重な教訓だと考えます。

 最後に、この3カ月間の研修を通して、私にも、少しづつ日本人特有の勤勉さと精緻さ、また、これこそが日本を発展させたものであることが理解できてきたような気がします。今後、仕事において、ここで学んだ専門知識と仕事に対する真摯な精神を十分発揮したいと思います。自分を信頼し、このような機会を与えてくれた会社に感謝します。また、私をサポートしてくれた同僚たちにも感謝します。そして、社員全員が一丸となり、この会社がますます発展することを願って止みません。

(2005年1月記・1.465字)
心弦社代表 田中則明

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