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労働契約更新時の注意点

中国ビジネスレポート 労務・人材
王 倩

王 倩

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2011年10月14日

Q:
最近、ある従業員との労働契約期間が満了しましたが、継続して雇用したいと考え、契約の更新を提示しました。しかし、旧契約が終了して一ヶ月が経っても、新労働契約書にサインをしてくれなかったので、やむ得ず、その従業員との労働関係を終了する書面通知を発行しました。

ところが、その従業員はその後、会社に経済補償金の支払いを求め、また、旧契約の終了後、企業が従業員との書面による新契約の締結を怠ったとして、旧労働契約終了日からの実労働対し、給料を倍にして支払えと要求してきました。当社はどう対応すればよいのでしょうか?

A:
「労働契約法」の第10条第2項に、「既に労働関係を確立しているが、同時に書面により労働契約を締結していない場合は、雇用の日から1 ヶ月以内に書面による労働契約を締結しなければならない」とあり、また、同法第82条には、「使用者は雇用の日から1 ヶ月以降1 年未満に労働者と書面による労働契約を締結しない場合、労働者に対し労働によって得るべき報酬の2 倍の賃金を支給しなければならない」と規定されています。

これらの規定から、雇用開始から一ヶ月間、企業と従業員との間には、書面契約締結交渉期間が与えられていると理解することができます。ただし、「雇用開始」が、旧契約終了後の契約更新時を含むかどうかははっきりしていません。これについては各地労働仲裁に運用が任せられているのが現状です。

実務上、この一ヶ月間の「契約交渉期間」は、あくまでも従業員が企業と初めて契約を締結する場合にのみ与えられるもので、更新時にはこのような労働契約書締結の「猶予期間」は適用しないという見解を示している仲裁員が多い。原則的には労働関係が結ばれた時点で書面契約を結ばなければならないものの、初回の雇用開始時に限っては、労使双方とも契約条項について十分に確認するチャンスがないことを考慮し、例外的に一ヶ月間の交渉時間が与えられている、というのがその理由です。

雇用開始時の交渉期間中、企業が書面契約の締結通知をしたのにもかかわらず、従業員が企業と書面契約を締結しなかった場合、企業側は、書面で労働者に労働関係の終了を通知することになります。この場合、従業員には、それまでの実労働に対する報酬を支払えばよく、経済補償金を与える必要はありません。

それに対し、労働契約更新時は、企業は事前に契約の更新日を把握しているはずであり、更新について前もって交渉を開始できるとして、あえて新契約の「交渉期間」を終了日以降に与える必要はないと見なされています。

これらの見解に基づくと、御社は、このケースにおいて、従業員の旧契約終了以降の労働に対し、二倍の賃金を支払わなければならないことになり、また、経済補償金も与えなければならないことになります。

このように、労働契約の更新管理は非常に重要です。今後の労働契約更新の対応として、契約終了日が近づいたなら、新契約(旧契約の条件と同等あるいはより良い条件)を早期に従業員に提示し、従業員が旧契約終了日までに応じなかった場合、契約終了日をもって直ちに労働関係を終了するようお勧めします。そうすれば、経済補償金を与える必要がありません。

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