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ログイン2012年5月23日
中国のERP市場は、中国系の用友、金蝶、仁科、そして外資系のSAPやオラクルで市場の大部分を占めている。元々はSAPやオラクルといった外資系企業が中国のERP市場の先駆けで、パイオニアとしての市場形成に大きく貢献してきた。その後、市場が成長するとともに用友、金蝶といった中国系メジャーの影響力が増していった。
これら中国ERP市場の巨匠達は、元々は大手企業にフォーカスした販売戦略を取っていた。銀行、証券、保険といった金融業界や通信業界が主戦場だ。しかし、2000年代前半にSAPが他社に先駆け、中国の中堅・中小企業をターゲットとした販売戦略を打ち出したのだ。当然ながらSAPは相当な苦労を強いられた。中国の中堅・中小企業をターゲットとした場合、業種・規模・エリア別に異なる彼らの商習慣や市場環境等を深く理解する必要があったのだ。様々な面で企業に合わせたローカライズをしなければならなかった。また、中堅・中小企業がERPを必要とするレベルに成長するまでには時間も要した。しかし、この「先駆けて行う力」が中国で事業をする上ではノウハウとなるのだ。欧米企業には、業種・業界に関わらず、先駆者意識が非常に強い。「自分達が市場をリードするのだ。」という明確な意思がある。
中国のERP市場では、外資系プレイヤーを苦しめている大きな問題がある。それは会計システムだ。ERPとは会計、販売、在庫、購買、生産、人事・給与で必要な情報を一元的に管理する仕組みであるが、中国では、多くの企業が最初に導入する切っ掛けとなるのが会計の部分である。日系企業であっても、日系のERPシステムを使いながら、会計の部分だけは用友を使っているケースが少なくない。なぜか?日系企業の中国進出は、今でこそ、中国内需を狙った販売目的法人が主流となりつつあるが、そもそもは90年代から急激に増えた生産目的法人である。当時、彼らが中国法人を設立して最初に直面したのは、中国当局に義務づけられた月次での財務会計の報告であった。報告形式は省や市によって微妙に異なり、中国政府公認の会計ソフトである用友しか事実上認められなかったのだ。実際、当局の意向で頻繁に変わる報告形式に迅速に対応できていたのも用友であった。2000年代に進出した企業もその流れを引き継ぎ、多くが用友を使った。この事が、「中国政府は用友でなければ、報告を認めない。」という間違った認識を生み、今でも多くの日系企業に引き継がれている。しかし、実際は、SAPやオラクル等も中国政府の認定を受けているのだ。一度導入されるとリプレイスが難しい市場だけに、この認識は外資系にとって非常にマイナス要因となっている。
現在、中国の経済成長に伴い、ERP市場も益々熱さを増している。外資系、中国系の主要プレイヤーの経営者と話をすると、皆、口を揃えて、「これからは中堅・中小企業を狙う。特には小売、流通だ。」と言う。中国のITに対する支出は2009年度には783億ドルに達した。今後は年平均16%の成長をし、2016年には1,391億ドルに達するとも言われている。
この市場で、日系企業が日系への販売から更にステップを上げ、どう内販で戦うのか、今後も見守っていきたい。
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