一、契約前に注意すべき問題点

１、まず、契約方式と契約の相手を慎重に選ぶ必要がある
プラント設備は、よく複数のメーカから購入する必要がある。この場合、各メーカーと個別に契約するか、或いは一社と一括契約をして、この契約の当事者が各関連設備のメーカーと契約するかをまず決めることが必要である。設備が海外から輸入する場合、主要設備の輸入代理商社と契約することも考えられる。
プラントの設計も依頼する場合、まず、設計依頼契約を締結して、設計が確認されたうえ、正式にプラント設備の売買契約の入札、交渉を開始する方法が安全と言える。
契約相手当事者を選ぶ場合、特に契約履行能力、資金能力はあるかを考察する。さもないと、契約条項をいくら厳密に約定しておいても、相手が違約すると有効に違約責任を追及できないからである。
契約当事者に必要な関連ライセンスを有しているかも調べる必要がある。できれば、契約履行担保、保証などを要求する。また、中国の現地会社と契約する場合、経営範囲に、技術コンサルティングなど、プラント設備購入プロジェクトにおいて必要な内容が含まれているかをチェックする。
特に特製の設備を購入する場合、引渡し前の支払い比率が比較的に高いので、特に相手の履行能力を調査する必要がある。場合によって、相手に対し、簡略なDD調査を行う必要も検討しておくと良い。
２、選定された相手の実績の現場を考察する必要がある

二、契約条項の交渉のポイント

１、設備の性能、規格と技術仕様などを、なるべく具体化して、契約の技術付属書面にする。
２、各設備の工場内に搬入する時期のコントロールは非常に大切である。遅延となると、プロジェクトの進捗に影響を来たすが、あんまり早期となると、工場に搬入できない可能性があり、この場合、倉庫と物流費用が別に発生してしまう可能性がある。
３、引渡条件を明確にしなければならない。できれば、引渡手帳というかたちにすることが考えられる。また、手帳を契約の付属書面にする。
４、違約に関する条項に違約金の具体的な金額を定める。
５、トレーニングの質を保つ為、技術トレーニング条項に、技術者リストなどの事項を記入する必要があるかを検討する。また、技術トレーニングの開始時間、終了時間なども記入する。
６、アフターサービスに関する条項に、対応してくれるまでの時間、サービス期限も記入する必要がある。
７、購入先とサービスの提供先のライセンスに関する書面を契約の付属書面にする。
８、関連する設備、技術の知財侵害リスクは相手の担当者の責任であることを明確にする必要がある。
９、試運転後、仕様書に記載された基準に達していないのは、自社の設備の問題ではなく、プラントオーナーの基礎工事の問題だと主張してくる可能性があるから、インフラ工事の約定にも注意する必要がある。
１０、値段交渉と支払い方式の交渉をかならず同時期に交渉してください。特別の事情がない限り、支払いは設備の引渡状況とプロジェクトの進め状況に応じて行うべきである。各段階に交付すべき技術資料の引渡もその段階の支払い条件の一つにする。また、プロジェクト完成後の保証金の比率もなるべく高く設定するのが良い。

三、契約履行時の注意事項

１、契約履行中、検査、機械試運転、原料を投入した試運転、性能テスト、引渡などの各段階に行われた事実と合意、特に、相手の契約不履行の事実または、双方が契約内容に対する変更の合意など、すべて書面による記録を残し、双方の責任者にサインしてもらわなければならない。相手が書面確認に協力してくれないことを防ぐ為、サインをする期間を定めておく。そうすることにより、もしもこの期間内に相手の担当者が確認のサインをせず、反対する意向も示さない場合、相手が書面を承認したこととみなされることになる。
２、輸入契約なら、延払いになっているか、外貨管理局に延払い契約登記する必要があるかをチェックする。
３、海外からの特許或いは技術ノウハウにかかわる技術移転が生じる場合、関連法令の定まった期間内において登録あるいは届出を行う。
４、相手側の当事者により契約不履行が生じた場合、中国法の一般時効は２年間となっているので、時効の問題に慎重に注意を払う必要がある。