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【日本】省エネルギー設備投資に活用できる補助金について-第2回

アジアビジネスレポート
松本 寿

松本 寿

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2015年1月9日

2回目は、誰がこのような補助金をくれるのか?また、誰がもらえるのか?どのように申請するのか等についてご説明します。

1.誰がこのような補助金をくれるのか

補助金の交付元(この稿では「補助元」と言います)の大きなものは「国」です。
具体的には、経済産業省や環境省、国土交通省などが予算を組んで補助金を交付してくれます。
ここで重要なのは、その交付の流れですが、これには大きく分けて3つのパターンがあります。

★パターン1:省庁が直接、補助金の公募を行って交付するパターン

このパターンでは、省庁が直接、補助金の公募・交付を行います。
例えば、環境省の補助金であれば、環境省のホームページに補助金の公募が公表され、同時に申請上の注意(「公募要領」、「公募規定」等の名前が付いています)、公募に関する提出書類等も公表され、これに従って環境省に直接、補助金を応募して、補助金の交付も環境省から直接に行われます。

交付の流れが重要であるのは、「補助金が欲しい場合にどこを探せば補助金の情報が得られるか」に関係するからです。環境省が直接公募する補助金の情報は環境省のホームページを見ていれば得られます。

★パターン2:省庁が補助金の交付団体を決めて、交付団体を経由して公募を行うパターン

このパターンでは、補助金の公募・交付は省庁ではなく交付団体から行われます。
省庁は予算を交付団体に渡して、補助金の公募・交付業務は交付団体にお願いします、と言うパターンです。
例えば、経済産業省・資源エネルギー庁の予算で交付される「エネルギー使用合理化等事業者支援補助金」(通常「エネ合:えねごう」と略されますが、省エネ設備投資に関する補助金では横綱クラスの大型の補助金です)は、平成26年度は「一般社団法人環境共創イニシアチブ」(通常「SII:えすあいあい」と略されますが、これもまた横綱クラスの補助金交付団体です)から公募・交付されました。

面白いのは、この補助金交付団体(SIIなど)が主として競争入札によって決定されることです。
経済産業省の入札情報を見ていると、時々このような補助金の交付団体を募集する入札が行われているのを見つけることが出来ます。
交付団体としては、前記の「環境共創イニシアチブ(SII)」以外に、省エネルギーセンター、建築研究所、野村総研、三菱総研などがあります。これらの交付団体は補助金の公募・交付にかかる事務費を省庁から受け取って公募・交付業務を行っています。(公募・交付が交付団体のお仕事なのです!)
また、競争入札で決定される関係上、いつまでも同じ交付団体が補助金の募集・交付を行うとは限りません。
この辺りは注意しておかないと、補助金の募集を見逃してしまうことになってしまいます。

このパターンの補助金の情報の入手方法は2通りあり

A:補助金の交付団体にあたりを付けて、交付団体のホームページを見る。
例えば、エネ合の募集情報を探すためには、SIIのホームページを見ます。

B:大元の予算を持っている、省庁のホームページを見る。
通常、交付団体を経由して補助金を公募する場合でも、大元の予算を持っている省庁のホームページにも補助金の募集を行うことについての情報が公表されます。
この方法のデメリットは、省庁のホームページには補助金の募集以外にもたくさんの情報が公開されるので、補助金の情報だけを選り分けて探しだすことが困難と言うことです。
逆にメリットは、先に説明したように、補助金の交付団体が競争入札等で変更になった場合にも補助金の公募情報が確実に得られるということです。(例えば、SIIのホームページだけを見ていると、SIIが交付団体から外れた場合には補助金の公募情報を見逃す可能性があります)

★パターン3:省庁が県、市町村などに予算を交付して、県、市町村が補助金を募集するパターン、
もしくは、県、市町村が独自予算を組んで補助金を募集するパターン

このパターンでは、補助金の公募・交付は県や市町村から行われます。
例えば、環境省が「グリーンニューディール基金」という予算を組んで県、市町村に財政支援を行い、県、市町村がその基金を活用して各自治体に所在する企業等に省エネ設備導入の補助金を交付するケースがあります。このパターンでわかりにくいのは、自社が所在する県、市町村にそのような補助金があるかどうかです。
このパターンでは、環境省のホームページからどこの県、市町村に基金を財政支援したかはわかりますが、各自治体がそれをどのように使用するを追いかけるのは困難です。(各自治体が自治体所有の施設の省エネ改修や太陽光発電の導入に基金を使用するケースもありますので、基金があるからといって、補助金が募集されるかどうかは確定しません)

このような補助金を探すには

A:県、市町村のホームページを丹念に探してみる。
B:直接、県、市町村の担当と思われる部署に問い合わせてみる。(産業課とか環境政策課などの部署が担当するケースが多いと思います)

が有効と思います。

★その他のパターン

その他にも、民間団体やNPO法人などが補助金を募集するケースもあると思いますが、非常に稀だと思われます。当社もこのような補助金についてはお手伝いした実績がありません。何か事例がありましたらご教示いただければと思います。

2.誰がこのような補助金をもらえるのか

誰がもらえるのか(補助金をもらう事業者を「補助対象事業者」と言います)は補助金によって少しずつ違いますので、その点は第4回以降で説明する各論でお話しますが、おおまかに言って
■法人(会社や医療法人、社会福祉法人、学校法人など)
■個人事業主
が補助金に応募できます。

例えば、エネ合(エネルギー使用合理化等事業者支援補助金)の公募要領には
■事業活動を営んでいる法人及び個人事業主
と記載されており、また、Q&Aからは
■医療法人、学校法人、地方自治体、社会福祉法人、宗教法人、NPO法人も申請可能と読み取れます。

補助金の門戸は大きく開かれていると言えるでしょう。

3.どのように申請するのか

補助金の申請方法は補助金の公募を公表しているホームページを見ればわかります。
通常、ホームページには、補助金の公募を行う旨、補助金の概要、公募期間等と同時に
・公募要領:公募に関する説明。熟読すれば全部書いています。

・公募様式:公募時に提出する書類の様式です。通常、エクセルとかワードのデータで公開されます。

・よくある質問と回答:Q&Aです。熟読する必要があります。

・交付規定:交付に関する正式の規定です。契約書の約款みたいなもので、これに従う必要があります。
などが公表されています。

この中の「公募要領」に従って「公募様式」を元に申請書を作成します

作成にあたっては、通常下記のような項目を記載する必要があります。
1.申請者がどのような事業者なのか
2.どのような決算内容なのか
3.どのような設備を導入するのか(図面、見積等を含む)
4.今までのエネルギー使用量の報告
5.設備導入によって見込まれる省エネ量の計算
6.事業に係る予算の内容と申請する補助金の金額

さて、問題は「申請書を自分で作成できるかどうか」です。
この点については、少し掘り下げながら次回ご説明いたします。

★速報コーナー(タイムリーな情報がある場合、速報でお知らせするものです)
年明け早々に、平成26年度の補正予算が成立する見込です。
現在の予定では、2015年1月下旬に国会に補正予算案提出、2月中旬に成立の見込ですが、この補正予算の中で、省エネ設備投資に関する補助金が織り込まれる予定です。
詳細は未確定ですが、急な募集なので競争率が低くなり、補助金が通りやすい可能性が高いことが見込まれます。詳細が分かり次第お知らせするようにいたしますが、省エネ設備投資を検討されている方は、早めに準備されることをお勧めいたします。
お急ぎのご質問等があれば、メールを頂ければ、なるべく対応できるようにいたします。

★Q&Aコーナー
メールでいただいたご質問を中心にQ&A形式でお答えいたします。

Q1:自社所有の店舗の照明設備をLED照明設備に改修することを計画しています。
工事費用は全部で1,200万円程度で、メーカーから提出された提案書では年間400万円程度の省エネが可能となっています。この場合、
①補助金の申請は可能でしょうか?
②可能である場合、どの補助金を申請すればいいでしょうか?
③補助金をもらえた場合、後日、返さなくてもいいのでしょうか?

A1:一般の事業会社様のようですので、いただいた情報に基づいてご回答いたします。

①補助金の申請は可能と思いますし、多分、通ると思います。
一般的にLED照明に改修した場合、投資回収年数は3~4年程度です。
今回のご相談では、工事費用1,200万円/省エネ金額400万円=3年ですので、補助金は十分通ると思います。(投資回収年数は補助金の採択にあたっての重要な審査項目の一つです)

②「一般社団法人環境共創イニシアチブ」からの募集が予想される「エネルギー使用合理化等事業者支援補助金」(エネ合)での申請がよろしいかと思います。
この場合、補助率が通常3分の1ですので、工事費用1,200万円×1/3=400万円程度の補助金が期待できます。
もし、所在地の県、市町村の補助金があればそちらの方の申請が簡単かもしれません。ただ、通常、県、市町村の補助金は上限額が少ない(300万円程度)なので、補助金額はエネ合の方が大きい場合が多いと思います。

③一部の補助金を除くと、一度交付された補助金の返還を求められることは通常ありません。
例えば、今回エネ合で400万円が交付されたとして、予想以上に省エネ実績が上がり、毎年500万円の省エネが行われたとしても、返還を要求されることは通常ありません。

但し、
・申請時に申請した省エネが達成できなかった場合
・虚偽の申請等を行った場合
・交付後に対象設備を廃棄、売却、他の用途に使用等を行った場合
などには返還を要求される場合があります。
この点については、「公募要領」、「交付規定」に記載されていますので、熟読して厳守する必要があります。

また、「申請時に申請した省エネが達成できなかった場合」については、
・申請時に確実かつ安全性を持った省エネ計算を行うこと
・対象設備の使用について、省エネに留意した使用を行うこと
(いくら最新式のLED照明に改修しても、照明を点けっぱなしでは、省エネの達成は望めません)
・対象設備の使用エネルギー量の計測を確実に実施し、省エネの達成状況をフォローすることなどに注意することが重要です。

ご質問等がありましたら下記のアドレスまでお知らせください。個別のお返事は難しいと思いますが、なるべく本稿のなかでご回答できるようにしたいと思っております。
株式会社エナジーテックinfo@energytech-jp.com

※)記載しました内容は、作成時点で得られる情報を基に、細心の注意を払って作成しておりますが、その内容の正確性及び安全性を保障するものではありません。当該情報に基づいて被ったいかなる損害についても情報提供者及び当社(株式会社エナジーテック)は、一切の責任を負うことはありませんので、ご了承ください。

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