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【コラム】中国現場体験記(55) ハルピンで出会った運転手と旅行会社のタメ口従業員

中国ビジネスレポート コラム
奥北 秀嗣

奥北 秀嗣

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2012年10月9日

2010年2月、筆者は春節明けのハルピンに行きました。ハルピンの氷祭りの氷は既に溶け始めていましたが、昼間でも寒いという感覚を通り越し、体全体が痛く感じるほどの気温でした。

1.北京の旅行会社
2010年の春節前、ハルピンへの旅行を思い立ちました。ハルピンは中国の最北とも言える黒竜江省の省都です。北京からは比較的近く、1泊2日で氷祭りと雪祭りの両方を見ることができることが魅力でした。

普段の旅行では、代金が安く、融通無碍な中国現地系の旅行会社を利用するのですが、今回は日系の旅行会社を試すことにしました。中国現地系の旅行会社の場合、何度も値段交渉のやり取りが必要となるうえ、現地でのスケジュールも納得がいくものに仕上がるまでに時間がかかるため、予定に間に合わない恐れがあったからです。

普段起用している中国現地系の旅行会社には、日本人従業員はいませんでしたが、日系の旅行会社には、日本人従業員がいました。現地駐在員やその家族を担当していたようです。筆者と友人がこの日系旅行会社の店舗を訪れると、中国人従業員が何をしに来たのだろう、という感じでこちらを見つめてきました。

筆者(中国語):「Zさん(中国人従業員)はいますか?」
中国人の別の従業員(中国語):「彼女は会社の内勤になったので、今はいません。旅行のご依頼ですか?」
筆者(中国語):「そうです」
従業員(中国語):「少々お待ちください。日本人担当者が担当いたします」
日本人店長らしき男性(日本語):「いらっしゃいませ。担当者に代わります」

こうして出て来た日本人担当者と話を始めたところ、どういうわけかスケジュールを作るのに手間取り、なかなかうまく行きません。少々業を煮やした筆者は、この旅行会社の内勤になったという中国人従業員に代わって欲しく思いました。
この中国人の女性従業員は、こちらが大まかに希望を言うと、すぐに納得できるプランを立ててくれる有能な人でした。ところが、彼女が話す日本語が接客で使うのには全く相応しいものではありませんでした。具体的には、日本のふざけた若者のような口調で、「あのさ~、・・じゃない?だからさ~」と話すのです。初めて聞いたときは、正直いらだったのですが、中国語で話しをしてみると、非常に感じの良い女性に変身したのです。恐らく、彼女の日本語は、学校で正式に学んだのではなく、周りにいる日本の若者の言葉を真似て勉強したのだと思います。内勤になった理由も、このあたりにあるのかも知れません。

2.ハルピン空港
日本人担当者相手に四苦八苦しながらも、何とか春節明け早々のハルピン空港に降り立ちました。空港の出口では、あらかじめ手配しておいた運転手が待っているはずでした。
荷物をピックアップして、運転手を探しましたが、すぐには見つかりませんでした。しかし、こういうことは良くあることなので、あらかじめ旅行会社から運転手の携帯電話を聞いておいたのです。

筆者:「もしもし?着いたけど、どこにいるの?」
運転手:「えっ?!もう着いたの?早いね!今から行くから待っていて!」
運転手の「今から行く」という言葉が多少引っかかりましたが、まあ中国だから、こういうこともあるだろうと思い直し、空港で待つことにしました。
幸い、しばらくすると運転手が迎えに来ました。
しばらく走っていると、運転手はスケジュールの確認を始めました。
運転手:「あなたたちは、スキーをしに来たのだよね?」
筆者:「ん?スキーじゃないよ。氷祭りと雪祭りを見に来たのだよ。」
運転手:「えっ?!俺はスキーと聞いているけど。ちょっと待っていて」
車を路肩に止め、運転手は旅行会社に電話を掛け始めました。
運転手:「もしもし?今お客さんを乗せたのだけど、彼らはスキーじゃなくて、氷祭りに行くと行っているけど?・・・。ちょっと待って」
運転手は携帯から口を離し、筆者に向き直りました。
運転手:「あなたたち名前は?」
筆者:「奥北にBだけど」
運転手は再度、携帯で話し始めました
運転手:「奥北とBと言っているけど。えっ!・・・。分かった」
何が分かったのだろう、と思いました。すると、
運転手:「やけに早く空港に着いたなと思ったら、あなたたちの運転手は別の人だったよ。俺のお客さんはまだ着くはずないもの」
筆者:「えっ?でも、旅行会社のスケジュール表に書かれている運転手の名前と携帯番号は、あなたのものでしょ?」
運転手:「確かにこれは俺のだけど、あなたたちの運転手は違う人だよ」
北京の旅行会社が、運転手名と携帯番号を書き間違えた、ということが分かりました。
運転手:「とりあえず、今晩泊まる予定のホテルに連れて行くよ。そこで待っていたら、あなたたちの運転手が迎えに来るから」
日系の旅行会社といえども、郷に入っては郷に従えなのか、油断大敵でした。ふつふつと怒りが込み上げてきた筆者は、北京の旅行会社に電話をしました。すると、日本人の店長が電話に出ました。
筆者:「あのね、これでもし中国語が話せなかったら、どうしたの?大変なことになっていたよ」
日本人店長:「今日の夕ご飯は会社持ちにさせて頂きますのでご容赦ください」
筆者の目がキラっと光り、一気に怒りは収まりました。

3.ホテル
ホテルのロビーで待っていると、本来の運転手がやって来ました。
運転手:「どこに行っていたの?俺は空港でずっと待っていたのに」
筆者の心の中:「嘘ばっかり・・・」

4.    夕食のはずが・・・
ようやく移動手段ができましたので、早速、観光に出かけました。
運転手:「今日は昼と夜、何を食べる?」
筆者:「何がおいしい?地元料理屋で一番おいしいところが良いな」
運転手:「ハルピンは東北料理とロシア料理が有名だね」
筆者:「夜は値段が高ければ高いほど良いな。どうせ、旅行会社持ちだから」
運転手:「ああ、それだけど・・・。夕ご飯ではなくて、昼ご飯になったから」
筆者も中国化していたかも知れませんが、この日系の旅行会社も中国化していました。しかし、だからといって負けてはいられません。昼に値段高めのロシア料理、夜はどこで食べても値段は高くならない東北料理を食べに行くことにしました。ロシア料理屋では、「ビールなんて水。酒は白酒」という東北人の運転手の声を無視して、ハルピンビールを全種類持って来させ、キャビアだの何だのと遠慮なく食べました。約束通り、支払いは運転手が行い、後で会社に請求するための領収証を貰っていました。

夜は東北料理屋に入りました。東北料理はどこに行っても大皿料理で食べきれないほど出てくるのが特徴です。東北人の男は縦にも横にも大きいのがモテるとのことで、食べる量も半端ではありませんでした。運転手の勧めに従い、目の前で白酒を燗にしたものを飲みました。大きな盥の中に熱湯を入れて燗をした白酒は、においだけで酔いそうで、東北地方に来たことを感じさせるものでした。

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