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【コラム】中国現場体験記(35) 新疆ウイグル自治区をゆく~禾木(ハームー)村とトワ人編~

中国ビジネスレポート コラム
奥北 秀嗣

奥北 秀嗣

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2011年12月20日

(3)社内旅行の中国人グループと禾木(ハームー)村へ ~トワ人との交流~
白哈巴(バイハーバー)からホテルまで戻ってきた筆者は、たまたま目的地が一緒だった中国人の社内旅行バスに便乗させてもらい、中国の少数民族に指定されていないモンゴル系のトワ人の村、禾木(ハームー)へ向かいました。

ウルムチではウイグル族の少年と、シャングリラではチベット族の少年と、ここ禾木(ハームー)ではトワ人と、という様に、各地の民族・人々と一緒に乗馬を楽しむ事で、この瞬間、自分がまさに悠久の大地のうえに存在しているということを実感する事ができます(内モンゴルの草原でも乗馬しましたが、モンゴル族の衣装を着ている人たちは実は漢族が多く、ほとんど観光化・ショー化されていましたが、こちらは本物です)。

(4)五彩灘
翌日、アルタイに戻る途中、五彩灘に行きました。五彩灘は、強風によって浸食されたヤルダン地形で、2005年から公開されている場所です。中国で唯一、東から西へと流れる川が目の前にあります。

ただ、新疆ウイグル自治区の各地や甘粛省敦煌郊外のヤルダン地質公園などを自分の足で歩き、見てきた筆者にとっては、五彩灘の風景は、それほど新鮮には感じられませんでした。むしろ、印象として残ったのは、虫が異常に発生しており、目もまともに開けられない場所だったということです。

3.「西域をゆく」
筆者はこの旅から戻ってきた後、井上靖・司馬遼太郎共著「西域をゆく」や司馬遼太郎・陳舜臣共著「対談 中国を考える」など、偉人たちが新疆ウイグル自治区に対する思いを吐露する文章を読みました。そこからは、偉人たちの西域(新疆ウイグル自治区等)に対する大いなる憧れが読み取れました。

これら文中での各氏の発言は、35年ほど前(文化大革命の終了前)の中国を前提としたものが大半です。文化大革命時の情報統制といった特殊性の影響もあってか、「新中国」を非常に肯定的に捉え、「漢族政権はウイグルに対する非常に穏健な少数民族政策を採っている」といった発言が多くあります(本の中で、司馬氏は、北京の共産党政権のことを「新中国」と呼称し、蒋介石の国民党政権を「旧中国」と呼称している。共産党政権も同様の呼称をする)。

しかしながら、現在の漢族とウイグル族(ウイグル人)との間に横たわる問題を目の当たりにし、実際に漢族の友人やウイグルの友人から意見を直接聞いた筆者は、過去の偉人たちとは違う感想を持つことも多くあります。このウイグルの地には、複雑な問題や消し去ることができない事実、人々の感情が消えること無く今も存在しているのです(漢族のウイグル観については、「中国現場コラムvol.1,2 漢族のウイグル観、チベット観、内モンゴル観」をもご参照ください)。

ただ、政治的・文化的・気候的にも大変厳しい環境にあるこのシルクロード・西域の大地に立ち、現地の人々と直接触れ合ったとき、筆者も上述の偉人たちと同様に、日本人でありながらこの「西域」に何か因縁を感じたのでした。


※禾木(ハームー)村で揉めているトワ人

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