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【コラム】中国現場体験記(58) 内モンゴルの草原と北京の軍民共用空港 

中国ビジネスレポート コラム
奥北 秀嗣

奥北 秀嗣

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2012年11月21日

中国には55に上る少数民族と多数民族である漢族が居住しています。他にも新疆ウイグル自治区ハームー村に住む、少数民族には指定されていないトワ族などもいます。今回は、内蒙古(内モンゴル)自治区および少数民族のひとつであるモンゴル族について紹介します。

1.北京の南苑空港
内モンゴルにあるフフホトへの旅行を思い立った筆者は、北京首都国際空港発フフホト行きの飛行機チケットを予約しました。ところが、旅行会社がチケットの手配を漏らしていたため、予定の便は満席となっていました。
このままではスケジュールの変更をしなければならないため、旅行会社に何か代案がないかと問い詰めたところ、
「北京にはもう一箇所、空港があります!」という回答が返ってきました。

北京市には北京首都国際空港のほかに、南苑空港という、民間航空会社としては、中国聯合航空のみが利用する小さな空港があったのです。実はこの南苑空港は人民解放軍も利用する施設であるため、そもそも北京市の地図にも載っていません。空港の入り口には、「軍事区域、立ち入るべからず」という看板がかかっていました。

南苑空港がどこにあるか分からなかった筆者は、タクシーで向かうことにしました。北京首都国際空港に向かうときは高速道路を北東に向かうのですが、この時は一般道を南へ南へと進みました。南苑空港は、北京市内の南方にあるレトロ感の漂う小さな空港でした。

南苑空港までの所要時間も分からなかったため、ずいぶん早く到着してしまいました。そこで、離陸までの時間を食堂で過ごすことにしました。
食堂の場所を係員に聞いてみると、向かい側の建物にあると教えられました。
教わった場所には、裸電球が薄く灯り、明治時代だか、大正時代だかに紛れ込んだような気持ちにさせる、非常に“レトロ”な食堂がありました。周りにいた中国人客たちが食べている定食を筆者も注文し、アルミの盆にご飯、おかず数種類とスープを乗せてもらいました。後々、この内モンゴル/フフホトへの旅ではここの料理が一番おいしかったと、しみじみ思い返すことになります。

2.いざ、内モンゴルの大草原へ
北京首都国際空港では見たことがなかった、翼に特徴のある中国聯合航空の飛行機に乗った筆者は、一路、内蒙古自治区の省都/呼和浩特(フフホト)に向かいました。飛行機が上昇したと思ったら、すぐに下降し、1時間もかからずにフフホトへ到着しました。フフホト空港から大草原に向けて出発しました。大草原での乗馬は、中国人にも大人気の観光コースです。車は草原地帯をさらに奥へと向かって走り続けます。

(1)大草原での乗馬
広大な草原は、区域を分けて経営管理されており、乗馬、宿泊用のパオ、モンゴル式食堂、モンゴル相撲・モンゴル競馬の観戦が、ワンセットになっていました。
筆者の目的地にも、モンゴル族の移動住居/パオが点在していました。車を降り、事務所に向かうと、モンゴル族の人たちが出て来ました。筆者を取り囲み、歌を歌いながら、ひとしきり踊り、酒を勧めてきます。歓迎の儀式です。一気に飲み干さなければなりません。一口飲んだ時、馬乳酒の独特の風味と高いアルコール度が喉と鼻に流れ込み、むせ込みそうになりました。

この年は雨に恵まれなかったため、草原とは名ばかりで、土の上に色の悪い草が薄く生えているだけでした。思い描いた、緑に茂る大草原ではありませんでしたが、早速、乗馬をすることにしました。先頭ではモンゴル族の民族衣装を着た男性が、草原にやってきた客を数組にまとめ、先導します。

「あなたはモンゴル族ですか?」
 筆者は民族衣装を着た男性に聞いてみました。
「いや、漢族です」
「・・・・」

男性はモンゴル族の格好をした漢族でした。周りにいた地元民と思しき人たちも、その多くは漢族だったようです。内蒙古自治区の都市部にはモンゴル族よりも漢族の方が多く住んでいるとは聞いていましたが、なんだか北京オリンピックで各民族の衣装を着た人たちによるパレードを思い起こしてしまいました。

一通り、草原地帯のはずの場所を乗馬し、モンゴル族の住む家にも訪問しました。こういったコース全般が、完全に観光地化されていました。

雲南省シャングリラ、新疆ウイグル自治区ウルムチやハームー村でも、現地の少年やトワ族と一緒に乗馬したことがありました。その時に感じた爽快感は、残念ながらこの内モンゴルではありませんでした。甘粛省敦煌でラクダに乗りましたが、やはり完全に観光地化されていたため、楽しくなかったのを思い出しました。その後、モンゴル相撲やモンゴル競馬を見学しつつ、満点の星に包まれた夜空を楽しみに、夜になるのを待ちました。

(2)大草原での夕食
パオ近くの夕食会会場(モンゴル式食堂)は、台湾から来た修学旅行の高校生で溢れかえっていました。子羊が丸焼きにされて、高校生たちに配られていました。
内モンゴルは砂漠が多く、土壌も痩せているため、野菜が育ちにくい環境にあります。魚介類などもほとんど見かけませんでした。そのため、この食堂の主な料理は、羊肉や羊の乳から作った乳製品でした。お酒も、羊や馬の乳から作った独特の風味の、アルコール度数の高いものでした。

(3)そして星空
内モンゴルの草原で見る星空を楽しみにしていた筆者の横では、台湾人の高校生たちが大々的に焚火をしながら、大音量でのディスコタイムを楽しんでいました。
(焚火のせいで、星が見えにくい・・・)

渋々、彼らのディスコタイムが終わるのを、トイレ臭いパオの中で待つことにしました。谷村新司さんがその素晴らしさに感動して「昴」を作ったという内モンゴルの星空が見られる、と楽しみにしていました。
しかし、その日、実際に目の当たりにした大草原を覆う星空は、筆者が子供の頃に田舎で見た星空と大差ありませんでした。どういうことか、内モンゴルとは相性が悪かったのかも知れません。

続く


内モンゴルの大草原 ・・・草がない

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