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ログイン2013年12月17日
中国で、「あなた何人(なにじん)?」と聞くと、住む地域によって、それぞれ「北京人、上海人、湖南人、大連人」などと答えてくれます。
中国は56もの民族を有する多民族国家です。多数民族たる漢族以外に、55にも上る少数民族がいます。国籍が中華人民共和国という意味では、漢族も少数民族も同じく「中国人」ということになります。
筆者は、チベット以外にも、中国各地の少数民族居住地域を訪れました。各地で、「あなた何人?」という質問を投げると、「北京人、上海人、湖南人、大連人」というように住む地域を答える人の多くは漢族でした。逆に、少数民族はあくまで、自分たちのルーツにこだわりがあるように感じました。それは、北京政府に融和的な南方の少数民族(土族、土家族、納西族等)よりも、チベット、ウイグル、モンゴルなどの人々の方がより強いように感じました。
漢族の回答方法からすれば、「チベット人」と言えば、チベットに住む漢族をも意味するのかも知れません。しかし、チベット族からすれば、「チベット人」と言う言葉は、自分たちのルーツを示す大切な呼称となります。「ウイグル人」「モンゴル人」という呼び方も同様です。
1.中国語(普通話)は学校で勉強するもの
中国語(普通話)は学校で勉強するものというのは、何も少数民族に限りません。筆者の漢族の友人の中にも、「子供の頃は、中国語の標準語たる普通話は話せなかった。小学校で勉強して話せるようになった」と述懐する人もいます。
チベットのラサ駅に到着した筆者を迎えてくれたのは、チベット族のガイドでした。筆者は、中国各地を旅してまわる時、ガイドを付けることはほとんどありません。新疆ウイグル自治区でも、ガイドを付けたのは、義務付けられていたクチャに行ったときだけでした。クチャは、ウイグル族居住区の中でもイスラム色の強い地域です。それにもかかわらず、ガイドは満州族でした。その他の地域、ウルムチ、トルファン、カシュガル、アルタイ、カナスなどでは、ガイドは付けず、運転手と行動を共にしました。しかし、チベットでは、全域でガイドを付けることが義務付けられていました。漢族ではない我々外国人に対する一種の監視役のような立場も、ガイドには要求されていたのかも知れません。
チベット語はさすがに話せない筆者は、中国語でチベット人ガイドと運転手に話しかけてみました。特に運転手は中国語が不得手なようで、それほど流暢ではありませんでした。
チベット人ガイド:「私たちは中国語が下手です。私は中学2年生との時から中国語を習い始めました。日本語は好きです。チベットの大学で6か月間、日本語を勉強しました。日本人の先生は2人いました。大阪人と名古屋人でした。日本語を勉強し始めたそもそもの目的は、日本に留学がしたかったからでした。でも、チベット族が外国に行くためのビザを取得することはとても難しいのです。仕方なく、日本留学は諦め、日本語を活かせる、日本人相手のガイドになったのです」
たった、6か月だけ学校で勉強したとは思えない、上手な日本語でした。
2.チベットは中国一、旅行代、物価等が高い
あるとき、知り合ったチベット人が筆者に聞いてきました。
チベット人の知人:「中国一、旅行代、物価等が高い場所はどこか分かる?」
筆者:「旅行代はチベットに行くのが一番かかるね。物価が高いのはどこかな?上海?」
チベット人の知人:「チベットだよ。チベット内は何でも高い。旅行代が高いのは、チベットの旅行会社は、チベット政府(漢族政府)に多くの上納金を支払う必要があるからだよ。だからチベットへの旅行代金は高くなるのだよ。たとえば、チベット鉄道のチケット代は決まっているものの、外国人がそのチケットを入手するためには、チケット代とは別の「手数料」が必要なのだよ」
チベットの旅行会社が教えてくれないような内容の話でした。そもそも、チベットの旅行会社の従業員の多くはチベット族であったものの、老板(社長)は長淵剛さんそっくりの漢族でした。
チベット人の知人の話は続きます。
チベット人の知人:「外国人がチベットに行くためには、チベットへの入境許可証が必要。しかるに、チベットの観光局の役人は、自分に責任が降りかかることを恐れてなかなか外国人に対する入境許可証にサインをしない。だから、サインを取得するために、多額の「手数料」が必要となる。だから、あなたがチベット
に行くには、正規の金以外に多額の金を旅行会社は支払う必要がある。必然的に、旅行代金は高くなる。物価も、輸送費なども入るため、より高くなる」
あるとき、共産党員でもある漢族の大物法曹家が筆者に言いました。
漢族の大物法曹家:「共産党が恐れていることは何だか分かるか?」
筆者:「う~ん?何でしょうか?」
漢族の大物法曹家:「外国のメディアの前での焼身自殺だよ。外国のカメラやマスコミの前での焼身自殺をする人間は許されない」
このときの話は天安門広場を想定したものでしたが、チベットで起こっている事件に接した時、またチベットで実際に敷かれていた複数に渡る厳重な安全検査実施、特にライターなど火器に対する極めて厳重な警備体制に筆者が実際に接した時、この漢族の大物法曹家が話していたことをまざまざと思い出したのでした。
以 上
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