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【コラム】中国現場体験記(71) 夏場、チベットにやって来る出稼ぎ医師と高山病に効く点滴

中国ビジネスレポート コラム
奥北 秀嗣

奥北 秀嗣

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2013年11月18日

3.重慶から夏場だけやって来る出稼ぎ医師と高山病対策の点滴

ポタラ宮などチベット仏教寺院やチベット人のことは別途紹介するとして、ここでは高山病にスポットを当ててみます。

チベット人ガイド:「高山病がつらそうですね。日本人のお年寄り、特に女性はは高山病にとても強いです。むしろ40歳代までの元気な男性のほうが、ひどい高山病になりやすいです」
元気な友人:「僕はおっさんだから、もはや酸素は必要ないからね。カ、カ、カ」
筆者:「・・・・・」
チベット人ガイド:「日本人男性はよく高山病になりますが、点滴を打ってもらうとすぐに直りますよ。でも高いです」
筆者:「いくらですか?」
チベット人ガイド:「人民元札なら2,500人民元、日本円札なら、3万円です(注:2012年当時の価格)。もっと安く済ませようと思えば、人民病院に行けばよいですが、かなりの時間、並ぶ必要があります。私の知り合いで、何度も日本人に点滴を打っている医者がいます。彼女ならホテルに来て点滴を打ってくれるから、大変な思いをして、病院で待つ必要はありません」
筆者:「打ちます!今すぐ電話をして下さい!せっかくチベットまで来ていて、こんな状態では台無しです。背に腹はかえられません!」
チベット人ガイド:「打つのは一人ですか?」
 
 その夜、チベットの観光シーズンである夏になると、重慶から出稼ぎに来ているという漢族の女性医師が、早速点滴を持ってホテルまでやって来ました。高山病患者である我々は、それぞれの部屋で点滴を打ってもらうことになりました。
漢族の女性医師:「●?△×!■・・・」
筆者:「?」
 
 重慶訛りがきつく、何を言っているのか不明でしたが、しばらく考えると、次のように言っていることに気付きました。
漢族の女性医師:「気分はどう?どこが悪い?お腹はくだしている?」
筆者:「頭がひどく痛く、首が重く、腹の調子が悪く、トイレが非常に近くなっている」
漢族の女性医師:「典型的な高山病ね。ここに来る前に、上海から来た漢族男性にも点滴を打って来たけど、海抜の低い地域から来る人は、漢族も日本人も同じく高山病になるわね。点滴を打ってから、1時間もすれば気分が良くなるわよ。薬も持って来させるわね」

 点滴を室内に置かれたライトに引っかけて注射を打ち、すぐに友人の部屋へ行ってしまいました。出て行くとき、オートロックがかからないように、ドアに障害物を置き、開けっ放しにして行きました。中国の観光地に行行くと気づきますが、どういうわけか、漢族はホテルの部屋のドアを閉めずに騒いでいることが多く、またそれを誰も気にしないのでした。

 結局、点滴が終わるまで1時間を要し、大きな注射器で3本分の液体が投入されました。
漢族の女性医師:「どう調子は?」
筆者:「頭痛も首が重いのも治った!気分良好だよ!」
漢族の女性医師:「お腹の調子を整えるための整腸剤も出した。こちらは効くまでには時間がかかるけど、点滴は即効性があるからね。発票(領収証)はどうする?正規の治療だから、保険(海外旅行保険)に入っていれば、保険は効くけれど」

 筆者は、高地にあるチベットに行くということで、日本の病院にて事前に予防ができないか調べていました。しかしながら、このような点滴による治療があることは知りませんでした。激しい下痢による脱水症状を治すための点滴の存在は知っていましたが、打ってもらえばすぐに高山病が治るという点滴があるとは思いもよりませんでした。

筆者:「おかげで気分爽快だよ。こんなことなら、チベットに到着早々に点滴を打ってもらえば良かった!」
チベット人ガイド:「全員が全員に効くわけではないけれどね。私がガイドした日本のお客さんの中には、チベットに来て、4日間、毎晩点滴を打っていたけれども、昼間一度も観光に行けなかった人もいたよ。高山病予防のためには、お風呂には入らず、シャワーも浴びないことだね。次にまたチベットに来たら、到着早々に点滴を打ってもらうと良いよ」

 中国人の医者にかかったことがない方には、チベットで中国人の医者から点滴を打ってもらうなんて危険だと思われる方もいると思います。筆者も、内心、少々びくついた気持ちもありましたが、勇気を出して打ってもらって良かった、と思うほど効果のある点滴でした。

以 上

Vol.71 ポタラ宮の入り口 高山病の状態で登っていくのはフラフラ
※ポタラ宮の入り口 高山病の状態で登っていくのはフラフラ

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