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【コラム】中国現場体験記(69) チベット鉄道標高5,072mで流れる音楽

中国ビジネスレポート コラム
奥北 秀嗣

奥北 秀嗣

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2013年10月7日

軟臥の自席に戻ると、ゴルムド駅到着と同時に駅構内のトイレに駆けて行った友人が、ほっとした表情で座っていました。この友人は、結局、駅職員用の事務所棟トイレを借りて用を足したのでした。

友人:「何十分もの間、車内でトイレを利用できず、我慢を強いられた大勢の乗客が一度に押しかけたら、駅のトイレはどうせ全部空いていないと思った。だから、事務所棟に駆け込んだのだけど、1階は、1箇所は使用中、もう1箇所は故障中。2階に駆け上がるとようやく1箇所空いていたよ。客用のトイレに駆け込まなかった判断勝ちだね」
ほっとしたのか、うれしそうに事のいきさつを話してくれました。食堂車での朝食は断念したものの、昼食で食堂車を利用できることを楽しみにしている様子でした。

1.午前中はのんびりと~高山病に苦しむまで~
チベット鉄道は、この路線の最高地点、標高5,072m(車内表示は「海抜5,079m」)に向かって走ります。標高5,072m地点は、11時40分に予約していた食堂車での昼食後に通過する予定でした。午前中のこの時点では、チベット族居住地域である雲南省シャングリア(標高3,400-4,100m)で高山病(高原反応)に苦しんだ筆者も、まだまだ元気でした。青海省西寧で購入した高山病に効くという薬(漢方)の効用かと、ニンマリしていたのでした。

午前中、他の中国人グループ同様、カードゲームなどをしていると、昼食の時間になりました。食堂車に行くと、中国人(漢族)グループの男性が、高地にもかかわらず、白酒を飲みながら大声でご機嫌な声を上げていました。出て来た昼食は、料理が6種類、スープにご飯というなかなか豪華なものでした。1テーブル4人掛けで、1テーブル分で26人民元(日本円420円相当)という値段でした。魚の姿煮は、中国の他の地域同様、川魚であるため少々泥臭いものの、食べられないものではありませんでした。中国居住経験者には、満足できる味でした。

昼食を終えて軟臥に戻ると、気圧の影響を受けたポテトチップスの袋が破裂していました。


2.最高地点、標高5,072m(車内表示は「海抜5,079m」)を走るチベット鉄道
標高最高地点に近づくとアナウンスで教えてくれたり、写真撮影のために減速してくれたりするのかと思っていたのですが、そういうサービスは全くありませんでした。電光掲示板に何度か「海抜5,079m」という数字が流れたきりでした。

筆者:「チベット鉄道の海抜最高地点を通過しているのに、今流れている音楽って、中国らしくも、チベットらしくもないね」
友人:「というか、これ沢田研二の「時の過ぎ行くままに」だよ。中国語で女の人が歌っているけど、絶対そうだよ!」
チベット鉄道車内では、ずっと車内放送で音楽が流れていたり、青海省のヨーグルトの説明をしたりしていました。飛行機の中国国内線に乗ったことがある方はご存じでしょうが、一部の飛行機内では、乗客の希望を問わず、テレビの番組を見せられることになります。中国国内線とは異なり、寝台列車の軟臥内ではボリュームを絞ることはできたものの、すぐ前の廊下では音楽が流れ続けているのでした。
車内放送(中国人女性歌手):「我愛你~♪♪」
沢田研二さんが悪いわけでは全くないのですが、中国自慢のチベット鉄道、しかも最高海抜地点で流れる音楽が「なぜ沢田研二?」という感は拭えませんでした。良く言えば、細かいことは気にしない、憎めない人々、「素敵」でした。
チベットは標高も高く、水も少ない地域かと思っていたのですが、チベット鉄道から眺めるチベットの大地は湿地帯で、青々した箇所が多くありました。

以 上

海抜4,951m地点にあるタングラ南駅 
※海抜4,951m地点にあるタングラ南駅

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