こんにちわ、ゲストさん

ログイン

【中国深読みコラム】第8回~日系企業の成功例と失敗例~

中国ビジネスレポート コラム
松本 健三

松本 健三

無料

2014年5月30日

現在、中国には約23,000社の日系企業が進出し、日本からの輸出、現地での開発・設計、現地生産・販売、或いは加工貿易で日本や第三国向け輸出に従事しています。この数はアジア最大のタイむけ日系企業進出数4,000社と較べてみても圧倒的ですが、中国に進出している外資企業約40万社や、1,000万社以上ある中国企業との競争で、日系企業が勝ち抜くのは容易なことではありません。今回は成功例と失敗例を挙げ、中国進出の参考にしていただきたいと思います。

<失敗例>

1)日本製携帯電話→ガラケー全滅(中国市場シェアほぼゼロ)。
日本:携帯電話登録と過剰機能 VS 中国その他:SIMカード。
成功企業:98~11年→ノキア(11年まで30%で1位、12年2位24%)。
スマートフォン時代→韓国サムソン(世界シェア30%1位、ノキア3%7位)。
明暗:低価格~高価格帯のサムソンVSノキアOS切り替え失敗。

2)日本製薄型テレビ→ソニー・シャープ:4Kテレビの市場投入遅れ。
中国市場は13年度世界市場100万台の半分=50万台の市場。
韓国サムソン・LG及び中国TCLに価格面でも追随できず完敗。
東芝(大連)は13年末で中国撤退(残る海外工場はインドネシアのみ)。

3) 日本製白物、デジタル家電→機能過多・高価格
(中国市場総敗北, 13年8月14日三洋電機最後の拠点、安徽省合肥工場米ワールプールに売却)。
成功企業:シーメンス製洗濯機(中流以上のどこの家庭にもある)。
青島ハイアール同様ドラム式→入れるのは衣料品とは限らない→現地市場調査不足。

4) 日本製軽自動車→長安鈴木(アルト、13上半期10万台シェア1%)と→天津ダイハツ(シャレード、13上半期7万台シェア0.07%)
シャレードは1998年20万台で第2位→現在では歴史的使命の終焉。
中国消費者の欧米高級志向と国土の大きさの違いと急速な道路インフラ整備。

<成功例>

1)サントリービール上海市場(2,000万人):シェアNo.1の33%。
1984年中国事業開始、10工場、7,800万ケース、売上(12年):300億円。
成功理由:価格(3.5元)、味(薄味)、民営販売流通網、飛行船CM。
13年4月2位の青島ビールと上海・蘇州限定で合弁:三得利青島設立。

2) ヤクルト:02年中国進出後現在1日300万本の販売量(日本1,200万)。
全国17省市直営販売24拠点、スーパー・コンビニ・ネットで販売。
成功理由:差別化(中国産の乳酸菌飲料にはない乳酸菌シロタ株)。
健康ブランドイメージ戦略、消費者と直接対面宣伝(富山の薬売り方式)。

3)ダイキン:市場を創造する決断。1位米国、2位中国(2兆円市場)。中国空調最大手珠海格力(1.6兆円)にインバーター技術を無償提供し、その普及と共にダイキンの販売も30%アップ(12年2千億円)上海・蘇州。→小判ザメ作戦。

4) 大気汚染対策商品:シャープ:前年同月300%増、ダイキン250%増。
パナソニック40%増の販売台数(13年1-2月)+卓上型加湿機能付きの空気清浄機を中国R&Dの若い女性メンバーで現地開発・現地販売。

5) 三菱電機の昇降機部門(エレベータ)は12年度中国市場トップ。
年間世界需要100万台、中国市場48万台。三菱電機7万台(シェア15%)。累計出荷台数40万台。11月武漢中心(438m、88階)向け85台一括受注。

以上、いくつかの例をみてきましたが、成功であれ、失敗であれ必ず原因があります。日系企業であることの有利・不利の見極め、現地市場の徹底調査、欧米企業や中国系企業と戦う世界市場との認識で、日系企業の奮闘を期待したいと思います。 

以上

(1,553字)

ユーザー登録がお済みの方

Username or E-mail:
パスワード:
パスワードを忘れた方はコチラ

ユーザー登録がお済みでない方

有料記事閲覧および中国重要規定データベースのご利用は、ユーザー登録後にお手続きいただけます。
詳細は下の「ユーザー登録のご案内」をクリックして下さい。

ユーザー登録のご案内

最近のレポート

ページトップへ