こんにちわ、ゲストさん

ログイン

【中国深読みコラム】第13回~中国での営業戦略~

中国ビジネスレポート コラム
松本 健三

松本 健三

無料

2014年12月4日

11月21日の共同通信に、「東洋ゴム、佛山の合弁会社から撤退、価格競争で採算合わず」という記事が掲載されました。
同社は高品質の自動車用ウレタンシートクッションで中国市場開拓を目指しましたが、「価格重視の汎用品に圧されて取引先を十分に確保できず採算性が厳しい」(同社広報)と判断し撤退を決めたそうです。はたして同社の市場調査はどうなっていたのでしょうか?
今回は中国市場の営業展開について、改めて考察したいと思います。

中国は新興国で遅れているので日本の製品を持っていけば中国で売れるはず、といまだ多くの日本人がお考えのようですが、現実は遥かにグローバル化が進んでおり、そして様々な要素が加わり複雑です。
今回のケースも日本での取引先(顧客)が中国に行くから付いて行き、顧客よりの受注を期待していたものとおもわれますが、取引先自身も現地化する必要に迫られ、日本での仕入先以外の他日系企業や、より低価格の現地製品を採用することも最近頻発しています。特に自動車部品は戦国時代の様相で顧客が日系企業でも安心できない状況となっています。
日系企業の多くは、営業部門よりも製造部門に経営資源をより投入し、日本人向けの販促活動を優先させていますが、現地では顧客の購買部の多くは中国人が担当しており、その前提が崩壊しつつあります。

更に多くの場合、日系顧客の取引先自身が中国市場=世界市場で苦戦しており、多くの産業分野で日系企業は中国市場でシェアを取れていません。自動車の場合、トヨタ+日産+ホンダを足してもVWやGM各1社の販売台数に及びませんし、家電や携帯電話はもちろん、ビール等の食品、繊維(アパレル)、化粧品、百貨店等の卸業も欧米企業や地場(中国)企業の後塵を拝している現状です。

本コラム第8回の「日系企業の成功例と失敗例」でも取り上げましたが、成功している企業には以下の共通点があります。

1.中国市場に合致した製品がある。
2.中国で製品開発、設計、製造、販売を一貫して行っている。
3.現地トップに決裁権限が委譲されている。
4.市場を創造する決断ができる。これはダイキンの例ですが、自社の技術を競争相手に無償で提供してでも市場を取りにいく究極の決断です。
5.中国人の信頼できるパートナーがいる。
6.最後に、現地社長の最重要資質ですが、不屈の創業者精神の持主を派遣している。

中国は隣国で漢字が通じるなどつい気楽に日本の延長線に考え勝ちですが、東南アジア、南米、アフリカ等と異なり、中国は欧米企業主体の巨大世界市場であること、市場に参加する企業には改めて認識をお願いしたいと思います。

(1,104字)

ユーザー登録がお済みの方

Username or E-mail:
パスワード:
パスワードを忘れた方はコチラ

ユーザー登録がお済みでない方

有料記事閲覧および中国重要規定データベースのご利用は、ユーザー登録後にお手続きいただけます。
詳細は下の「ユーザー登録のご案内」をクリックして下さい。

ユーザー登録のご案内

最近のレポート

ページトップへ