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【コラム】中国現場体験記(90) レストランで発票をもらわないとプレゼントをもらえた

中国ビジネスレポート コラム
奥北 秀嗣

奥北 秀嗣

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2015年11月10日

発票は中国における請求書兼領収書です。中国は国家が発票を一元管理しており、一私人が正式な発票とは異なって出す領収書は、当事者間での金銭授受に関する証拠(+会計上の費用処理)としてはともかく、税務局からは税務上の正規の領収書としては認められないものとなります。今回は、中国が国家として、あの手この手で発行させようとしている発票の動きと逆行するかのような実務の動きについての現場コラムです。

1.発票と脱税防止のためのスクラッチくじ
レストランのようなサービス業では大型機械設備の販売のように在庫管理、売買管理が容易ではないため、比較的売上金の操作をしやすい業種と言えます。そういった業種でも発票を発行すると売上額が明確となるうえ、税務局に対して税務申告をしなければならなくなります。そのため、中国は国として、発票上にスクラッチくじをつけるなどして興味を引き、客側からも店側へ発票の発行を促すようにする試みをしてきました。筆者が語学研修生として北京に居住していたときも、このスクラッチくじで50人民元(現行のレートで、約950円)が当った!、などと言いながら、毎回、発票の発行を店側に要求していた方がいましたが、まさしく中国国家の狙いに当てはまったものでした。

【会計上の費用と税務上の損金参入】
正規の発票ではない領収証でも会計上の費用計上はできます。しかしながら、正規の発票でなければ、税務上の損金算入ができないため企業所得税が課税されることになります。

2.武漢市のレストランのプレゼントは国家の動きと逆の気が・・・
中国人の友人と訪れた武漢市の地元レストランでは、発票を何とかして発行させようとする国の思惑に逆行するサービスが提供されていました。

中国人の友人:「そういえば、この前もこのレストランに来たけれども、そのときはもったいないことをした!」
筆者:「どうしたの?」
中国人の友人:「発票はいらないから小礼物(ちょっとしたプレゼント、おまけ)が欲しい、と言えば良かった!」
筆者:「・・・?」
中国人の友人:「武漢市の大半のレストランでは、発票はいらないから代わりに小礼物が欲しいと言えば、何かしらプレゼントがもらえるんだよ。服務員(店員さん)!」
服務員:「はい?」
中国人の友人:「発票はいらないのだけど、何をもらえるの?」
服務員:「コーラかポケットティッシュです」
中国人の友人:「じゃ、ポケットティッシュ」

日本の街中で配られているようなポケットティッシュかと思って見ていると、服務員が持ってきたのは、スーパーで売っているような10個セットの立派なものでした。
中国人の友人:「こんなにもらえた!何も言わなかったら、そもそも何ももらえないのだからね(笑顔)!」
別の機会に別のレストランでも同じように言うと、王老吉(中国で大いに売れている漢方入りの清涼飲料水、中国国内線の機内でも配られる)がもらえました。

3.一体このからくりは?
中国全土で同じようにプレゼントがもらえるのかどうかまでは確かめていませんが、少なくともここ武漢市のレストランでは、多くの場合、発票を要求しない場合は店員に一声掛けると何かしらのプレゼントがもらえるようでした。レストラン側、客側の双方に、たくましさ、したたかさを感じさせられた経験でした。

以 上

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