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【コラム】中国現場体験記(95) 2階から落ちてくるゴミ、どこでもトイレ

中国ビジネスレポート コラム
奥北 秀嗣

奥北 秀嗣

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2016年4月22日

中国で生活をしていると、信じられないところからゴミや危険物が落ちてくることがあります。また、通常は考えられない場所で小用を足す人も見かけます。今回は、中国におけるゴミのポイ捨てとトイレで出会った驚きの経験に関する現場コラムです。

1.2階から落ちてくるゴミ
  
 筆者の家族がマンション敷地を歩いていると、空から火のついたタバコが降ってきました。あと3歩前に進んでいたら、頭にタバコの火がつくところでした。

 筆者は北京市にも住んでいたことがありますが、ここ湖北省武漢市では、北京では気づかなかったことに気づかされることがあります。そのひとつに、喫煙者が路上に火がついたままのタバコを捨てることです。火を足で踏み消すことはしませんし、そのまま街頭にあるゴミ箱の中にタバコを捨てます。「火事になるだろ!火傷するだろ!」と突っ込みを入れたくなります。

 武漢市に住むある方が、自宅マンションで布団を干そうとしていました。すると、上から火のついたタバコが降ってきて、布団の上に落ちたと言っていました。自宅マンションのベランダでタバコを吸うだけでなく、外に投げ捨てる人が少なからずいるのです。

 他にも、筆者の目の前にレンガが落ちてきたことがあります。確かにその場所近くは工事作業中ではありましたが、下に道を歩く人がいるかどうかを確認することなく、平気で高層からポイ捨てをする習慣には閉口します。

 北京に居住していたとき、日本企業や日本人向け飲食店も入る雑居ビルのエレベーターに以下のポスターが張ってあったことを印象深く覚えています。「2階からゴミを捨てるな」という啓蒙ポスターです。2階にいる人が、タバコ・食べ物・生ゴミなどを窓からポイ捨てする画が描かれたものでした。「文明のある生活をしよう」という啓蒙ポスターは中国中あちこちにありますが、この2階からのポイ捨てをやめようポスターを初めて見たときには驚愕したものでした。

2.どこでもトイレ

 中国では、ゴミのポイ捨てだけでなく、どこでもトイレを済ませるという悪習があります。筆者はあるとき、広州市のフェリー乗り場にあるトイレに入りました。小用を済ませていると、隣に中国人がやってきて小用を始めました。しかし、そこに便器はありません。手洗い場です。河南省?河市では、ある火鍋料理屋のトイレで小用をしていたところ、やはり便器ではなく、掃除用の貯水場に小用をしている人がいました。外の木陰にでも立って済ませた方が、よほど清潔で後から使用する人も困らないだろうと思ったものでした。

 他にも、子供向け病院では待合室の床の上で子供にトイレをさせている人も大勢いるという話しを身近で聞きました。実際にその光景を病院で見たある日本人女性は、本当にたまげたと言っていました。

3.まとめ

 いわずもがなですが、中国の誰もが上述のようなことをするわけではありません。日本の26倍の国土を誇り、56もの民族を抱える中国では、たいへん大きな地域差があります。

 たとえば、新疆ウイグル自治区に近い甘粛省敦煌市は清潔な街です。甘粛省蘭州市から敦煌市までを走る夜行列車「敦煌号」の中では、洗面所やトイレでの乗客のマナーの良さに、中国初心者である筆者の家族は目を丸くしていました。また、敦煌市内も、砂漠(鳴沙山等)があるため砂っぽいものの、武漢市で連日目の当たりにする「かーぺっ!」という痰吐きから逃れる必要もありません。武漢市ではお約束の、スープの入った麺を歩きながら食べ、食べ残しを道端に捨てるという行動も、敦煌では見かけませんでした。中国でも有数の貧困地域である貴州省でも、想像と違った街の清潔さに、驚いたことがあります。公共マナーについては、「中国はこういうものだ」とは一概には言えず、非常に大きな地域差が見られます。
 
 中国人の中にも、観光地のレストランで上半身裸で食事をし、大声を出しながら食べ残しやゴミを床に捨てるグループに目をひそめる人たちも多くいます。「○○省人だけど、彼らのああいう習慣は恥ずかしいと思う・・・」と口にする人たちもいます。中国では、インフラ・ハードだけでなく、人・ソフトも今後どんどんと変わって行くのでしょう。

以 上

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