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ログイン2017年4月28日
中国では、人の性格からトイレ事情に至るまで、国内においても大きな地域差があります。同じ漢族であっても、北京人と雲南人とでは違いますし、それはトイレ文化であっても同様です。一概に一括りにはできません。日本の26倍の国土、56の民族を抱える中国において、一つの地域、一つの民族だけを捉えていたのでは、中国というものを表現できないほどです。
今回は、変わり行く中国各地のトイレ文化の動きを紹介します。
1.中国のトイレ文化
トイレ文化については、日中間にも大きな相違がありますが、中国国内であっても、地域・民族により大き異なります。筆者は、実際に中国各地でトイレを利用してきました。北は黒龍江省ハルピン、カザフスタンとの国境に位置する新疆ウイグル自治区白哈巴や内モンゴル自治区フフホト、東は北朝鮮・ロシアとの国境に位置する吉林省図們、西はタジキスタンとの国境に位置する新疆ウイグル自治区のカラクリ湖、南は雲南省シャングリラ・西双板納、チベットのラサから大都市である北京・上海・香港などです。
本コラムでもこれまで数度に渡り、中国各地のトイレ事情を紹介してきました(「トイレ、トイレットペーパーと鍵」「トイレ屋商売とたくましさ」「2階からゴミ…、どこでもトイレ… 中国のマナーには大きな地域差」「チベット鉄道車内の洗面所で見てしまった驚きの光景」など)が、きれいなトイレもあれば、使用に耐えない汚いトイレもありました。“ニーハオ”トイレどころか“ダージャーハオ”トイレ(「大家好」“皆さんこんにちわ”という意味。要するに前後左右丸見えのトイレ)までありました。
中国では、通りに突き出した場所に、女性用下着が普通に干されています。また、筆者の通学していた北京の学校では、男女共用の休憩室にトイレットペーパーが置いてあり、トイレに入る人は男女問わず、自分の使用量分だけそれを手に巻き取って、トイレに持ち込む形式になっていました。「恥ずかしい」という概念の希薄さが、日中間におけるトイレ文化の違いにも影響しているようで、“恥”という文化が日中間では大きく異なるように感じます。
中国でも、時と共に、トイレ文化が変わってきていると言われています。日本など海外への旅行を通して、他国の文化を自分自身で経験する中国人が増加していることも大きく影響しているようです。
2.A級観光スポットにおけるトイレの規制強化
中国各地の観光地や登山スポットにあるトイレは、汚いという衛生面の問題だけでなく、そもそもその数自体が少ないと思うことがあります。そういった中、中国政府は、観光地の公衆トイレの数を増やすのみならず、A級観光スポットの公衆トイレについては、検査基準を満たさない場合は、営業許可を取り消すといった規制を強化しています。たとえば、2015年春節以降、湖北省は省内の264カ所にのぼる3A級以上の観光地のトイレを調査しました。その結果、公衆トイレの数が充分でない、トイレ設備が基準値を満たしていない、管理が不十分といった、観光客に不満を与えたトイレに対して、改善要求を出しました。改善しない場合には、観光地としての営業許可を取り消すとしています。新規申請に関しても審査基準を強化し、トイレが不合格の場合には、A級観光スポットとして認可されません。
3.変わらないで欲しい中国文化と変わって欲しいトイレ文化
中国でも、出来る限り観光地などの外出先ではトイレに行かずに済むよう、ホテルや自宅で済ませておくよう注意したり、水分を控えたりする人は多勢います。外には中国人自身が驚くトイレも多くあるからです。また、こういった事情は、男性用トイレに限らず、女性用トイレであっても同様のようです。筆者の知人の中にも、トイレが汚いことに対する嫌悪感だけでなく、女性の生理用品がそのまま捨てられていることへの衝撃を語る方もいました。
変わらないで欲しい悠久の中国文化が多くある反面、トイレ文化については改善が必要だと考える方も大勢います。一方、広州市に長く住むある日本人女性は、「最近、広州市のトイレが綺麗になってきた。中国のトイレは汚い!と文句を言うことに慣れていたのに・・・」と言っていました。
「向前一小歩、文明一大歩(前に進む小さな一歩は、文明を大きく一歩進歩させる)」中国の男性用トイレの小便器の前に掲げられている標語です。トイレ文化の進歩が中国各地に波及するのは、そう遠い未来ではないのかも知れません。
以上
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