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中国からの輸出貨物が知財侵害で中国税関に差止められた際の対応策

中国ビジネスレポート 知的財産
王 倩

王 倩

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2012年4月25日

Q.当社が中国国内で製造した製品を輸出しようとしたところ、知財侵害の疑いがあるとして、税関から差止めを受けました。どのように対処したらよいのでしょうか?

A.知的財産権の権利者は、「税関法」と「知的財産権税関保護条例」に基づき、税関に対して権利侵害疑義輸出貨物の差止めを請求することができますので(この場合の知財は、中国商標権、著作権と中国専利権に限定)、これまでは、この制度をどのように活用して、自社製品の不正コピー品の輸出を防ぐかが、外国企業の関心事でした。しかし、最近では、外資企業が中国で製造した製品が、知財侵害の疑いにより、税関に差止められたという例が各地で多発しています。このような場合、輸出貨物の荷送人として取り得る対応策には次のものが挙げられます。

税関から差止めに関する書面通知を受領後、まずは、必要に応じて関連貨物の状況確認を税関に申請します。

それと同時に、関連の知的財産権について、その具体的内容と権利状態を調査します。例えば、商標権の場合、中国における商標登録の図面、文字、登録商品などの具体的状況を検索します。また、専利権については、自社の技術案または意匠が、相手方の主張する専利権保護範囲に含まれているのかどうかを把握します。実際、税関による知財保護の対象とされていた専利権は、すでに終止していたという過去例もあり、専利権の法的な状態を調査する必要があります。相手の主張する権利に問題がある場合、あるいは貨物が知財を侵害していないと判断する場合、税関に書面による説明と関連証拠を提出し、貨物の差止め解除と早期通過を求めます。証拠が十分であると税関により認定された場合、差止めは解除されます。

また、権利者の許可を得て生産されたにもかかわらず、権利侵害疑義製品と間違えられるケースもよくあります。委託生産したメーカーの名称を権利者に知らせていないような場合にこのような問題が起こりがちです。この場合には、なるべく早く知財の権利者に連絡を取り、権利者から税関に説明をしてもらいます。

他に、荷送人と権利者による合意という形を取ることもできます。合意後、権利者から税関に差止めの解除を申請します。

その他、税関が、差止めを解除し、貨物を通過させる状況として、以下が考えられます。
(1)関連知的財産権が専利権であり、荷送人が税関に貨物と同価値の担保金を供する場合(商標権と著作権の場合は、この方法を取ることはできません)。
(2)税関が、貨物を差止めてから20営業日以内を過ぎても、中国の裁判所から執行協力通知を受領していない場合(その知的財産権が中国税関に知財保護登録をしておいたた場合は50営業日に延長されます。また、この場合、税関は侵害を独自に調査する権限があります)。

輸出貨物が差止められた後、税関も中国の裁判所も知財侵害の事実を認定できなかった場合、通過延期により荷受人及び荷送り人が被った損害については、請求を提起した知財権利者がその賠償責任を負います。荷受人及び荷送り人は、中国の裁判所に訴訟を提起する際、知財権利者が税関に提出した担保に対し、財産保全措置を取るよう裁判所に申請することができます。

多くの場合、権利者が一定規模以上の会社であれば、自社の中国における知財(特に中国商標権)を中国税関総署に権利保護登録しているはずですので、OEM委託生産により輸出貿易を行う際には、事前に知財税関登録のデータベースを調べておくとよいでしょう。関連商標が既に登録されていた場合は、自社が当該商標の中国ライセンシーのリストに加えられているかどうかをチェックします。自社がそのリストにない場合、商標の権利者と早期に連絡を取り、自社の情報を合法ライセンシーのリストに加えるように催促し、貨物を輸出する際、税関に差止められないよう事前に手を打っておく必要があります。

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