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ログイン2012年3月27日
アジア市場で商品を販売する際、最も重要となるのが国別に異なる流通構造の理解だ。特に消費材となれば小売流通の構造を確りと理解しなければ商品は売れない。日本の流通構造の例に習えば必ず失敗が待っている。
小売流通は大きく分けて2種類存在する。一つがTraditional Trade(伝統的小売)で、もう一つがModern Trade(近代的小売)である。伝統的小売とは、昔ながらの家族経営型の小さな小売店のことを指す。一方で近代的小売とは、スーパーやコンビニ等、チェーン型や大型の現代的な小売を指す。日本のような近代国家は流通の大半が近代的小売で占められている。しかし、アジアは国毎にその構造が異なる。
例えば、広大な国土に13億人を抱える中国の場合、小売流通は既に近代化しており、業種、業界にもよるが、消費材の約6割は近代的小売を経由して売られている。百貨店や量販店、コンビニは都市部の至る所に存在し、消費者はそこで商品を買うことが普通になっている。対して、同じく広大な国土を持ち、12億人の総人口を誇るインドの場合、こちらも業種、業界にはよるものの、近代的小売を経由して売られる割合は僅か5%で、95%は伝統的小売を経由している。これが消費材市場における中国とインドの絶対的な差なのである。人々の生活が豊かになると、流通は近代化し、近代的小売が流通の大半を占めるようになる。近代的小売市場に商品を流通させるのと、伝統的小売市場に商品を流通させるのではやり方も違えば、労力や投資が必要なのは圧倒的に後者だ。要は、伝統的小売市場は、市場が近代的小売化するまでの間、長らく投資が必要となる。日本企業が最も不得意とする領域だ。しかし、逆に、中国の様に既に近代化がある程度進むと、今度は競合も多く、参入がなかなか難しいのも事実である。従って、その市場を本気で席巻しようとすると、伝統的小売市場の内から投資をしていく必要があるのだ。
東南アジアも一括りにはならない。全11ヶ国の内、市場として価値があるのはシンガポール、マレーシア、インドネシア、タイ、ベトナム、フィリピンの6ヶ国だ。内、シンガポールとマレーシアは、国、業種、業界によるが70%~90%は近代的小売市場である。逆に、タイ、インドネシア、ベトナム、フィリピンの近代的小売市場は10%~30%なのである。東南アジアでも国によってこれだけの差が存在する。
市場の大半がまだ伝統的小売市場であるにも関わらず、いくら近代的小売へ積極的に販売活動を行なっても市場シェアは上がらない。これらアジアの市場を狙う際、その国が今、どちらの小売市場にあるのか。そして、今後それがどのような時間軸で近代化していくのかを確りと加味した戦略を立てなければ成功はない。どれだけ商品が良くとも、流通構造を軽視して、その市場での成功はあり得ないのである。
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