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日本企業でなければならない理由

中国ビジネスレポート 投資環境
森辺 一樹

森辺 一樹

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2011年10月10日

昨今、多くの日本企業が低迷する国内市場に見切りを付け、主戦場を成長著しい新興国へシフトしている。中でも圧倒的なのが中国だ。人口や経済成長率などどれをとっても他のアジア諸国の中では群を抜いている。中国のGDPは2010年5兆7,450億ドルと日本の5兆3,910億ドルをついに超えた。2050年の予測では、日本の6兆6,770億ドルを大きく上回る70兆7,300億ドルに達する。現在の一人当たりGDPこそ、日本の4万2,820ドルと比較するとまだ10分の1程度の4,382ドルであるが、13億という巨大な人口と現在の経済成長率を考慮すれば決して悪い数字では無いし、今後急速に拡大することは目に見えている。

しかし、日本企業は自動車や生産材など極一部の企業だけがマーケットシェアを取ることができ、その他多くの企業は苦戦を強いられている。そもそも成功している企業はなぜ成功しているのか?勿論、成功している企業とそうでない企業には、個々のマーケティング戦略に質の違いが大きく存在するが、今回は、それらは置いておき、もっと前段にあるものを掘り下げていきたい。

成功している企業には、「日本企業でなければならない理由」が必ず存在する。高い技術力を誇る自動車や生産材メーカーなどがそれに当たる。日本企業でなければ作れない、日本企業でなければ持ち得ない技術がそこにある。日本の製造業には日本企業でなければならない物理的な理由が存在するのだ。しかし、その他業種の多くは、それをわざわざ中国でやるのが日本企業でなければならない理由が無いことからのスタートであることを認識しなくてはならない。別に他国の企業でもいいし、なんなら中国企業がやる方が尚良い。日本で成功している中国企業が無いのと同じである。
 
従って、「日本企業でなければならない理由」を突き詰めることが他国で事業を成功させる上では重要となる。突き詰めても無い場合、その理由を作るしかない。理由をつくるとはいったいどういうことなのか?「スピード」と「経営資源の投資」である。例えば、外食で言えば、マクドナルドやKFC、スターバックスなどが正にそれだ。早期の進出と巨額の投資で彼らでないとならない理由を市場で作り上げた。EC(電子商取引)やSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)などのIT分野では、シリコンバレー発という強い理由はあるにせよ、それだけでは物理的理由に乏しいと考えたアマゾンもフェイスブックもスピードと投資を重視した。ユニクロは中国市場に一度は出鼻を挫かれているが、現在の戦略を見るとスピードと投資で日本企業でなければならない、ユニクロでなければならない理由を作り上げた。

わざわざ日本企業でなければならない理由が無い以上、その理由を作れなければ、誰と組もうが中国市場など絶対に取れない。「理由」をつくるための戦略を今一度追求して欲しい。

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