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従業員寮に関連する法的責任

中国ビジネスレポート 法務
王 倩

王 倩

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2013年3月21日

【事例1】 寮で殴られた
同じ工場に勤めていた二人(AとB)の従業員が個人的なことで口論となり、退勤後、Aが友達を三人呼んで、当時寮にいたBに暴行を加えた。当該従業員(B)は顔や腹部を殴られ、負傷した。

加害行為は寮内にあるが、私的関係に起因しているため、会社に連帯責任はなく、労災にもならないと考えられる。
 
【事例2】 寮で盗難
ルームメートの夜勤の隙をついて、彼の銀行カードを盗み、事前に知り得たパスワードを利用し、ATMで3000元おろした。

窃盗が発生したとき、加害者である従業員は既に退勤し、事業の執行には関連の無い行為であるため、会社に雇用者としての責任はない。
しかし、窃盗者が外部の第三者であり、寮のドアや窓から部外者が容易に侵入できる場合であれば、寮を提供した会社にまったく責任がないとは言い切れない。

【事例3】 寮で火災
Cさんはある会社の従業員で、清明節の休日に、当時同じ会社を既に辞めていたDさんと、会社の管理人の許可を得て、寮で一緒にビールを飲んでいた。その時にタバコの火が布団につき、酔っ払った二人がその煙で窒息死してしまった。二人の親戚は会社の事務所に泊まり込み、総経理に損害賠償を求めようとした。会社はその圧力で、弔慰金を出したが、さらに高額な賠償金が要求され、訴訟するまでに至った。

CさんとDさんの親戚は、会社が雇用者としての、寮の安全管理を怠ったために、二人が死亡したとし、この二人の死に対して会社が責任を負わなければならないと主張した。

では、会社に責任があるのだろうか。まずは会社と寮に住む従業員との法律関係から検討していく。

会社が部屋を提供する場合、会社と従業員の間に賃貸借関係が生じることとなる。会社は、賃貸としての義務を履行しなければならない。その義務は「契約法」に規定されている。また、賃貸人の過失により、賃借人の財産、身の安全に損害をもたらした場合、「権益侵害法」に従い、責任を負うべきである。

事例3に、会社は寮に住む従業員に対し、日頃の安全教育や事故発生時の対応義務があるけれども、火災の一番の原因はやはり二人の不当行為であるため、損害については相当に過失相殺されるということになると考える。そうなると、会社は主要責任を負う必要は無いが、補償責任を負うことになると思われる。

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