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特集 行政処分にどう対応するかNo.1

中国ビジネスレポート 法務
王 穏

王 穏

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2010年12月8日

記事概要

行政処分については、ほとんどの企業が「交渉は困難」と感じていますが、実際には、交渉のルールを把握し、効果的な意思疎通に努めれば、処分が軽減される場合が多く、また避けられる可能性もあるのです。

税関の処分決定に盲点はないか?

企業が税関に持つ印象は「密輸を取り締まり、違法貨物を差押え、税金を追納させ、保税貨物を厳格に監督管理する」というものだろう。企業は税関の処分決定に「恐れをなす」ことがほとんどであり、交渉では主導権を取られ、最終的に決定に屈するよりほかない。しかし、税関の処分決定に本当に一分のすきもないのだろうか。当所の経験では、税関規定における曖昧さは立法の盲点であり、また、税関職員の専門程度はそれぞれ異なり、案件の裁量基準も異なる。従って、実務においては、税関の案件への観点、処分決定にばらつきがあることから、このばらつきが企業にとっては数十万元、場合によっては数百万元の損失となるため、企業が自身の合法的権益を守れるかどうか、効果的な戦略が採れるかどうかにかかってくる。

税関の処分決定のずれは以下原因で生じていることが多く、企業はこの原因を知ることで対応法を見つけることができる。

1.税関の処分決定基準には矛盾や抜け穴がある
中国の税関に関する立法で企業の日常経営に関係する内容には、主に「税関法」、「税関行政処罰実施条例」、「税関査察条例」等がある。また、部門による規則、公告、内部文書も多量にある。税関の法律体系は複雑に入り組んでおり、企業は自身の経営行為に関する正確な準則を判断することができない。特に税関の内部文書は対外的に公布されていないにもかかわらず、税関が処分決定を下すときの重要な根拠とされ、企業としてはますます判断ができなくなる。

しかし、根拠といっても、詳細に分析すると、矛盾や抜け穴が多いことがわかる。当所で取扱った事例においても、これら矛盾を利用することで企業の処罰金額を抑えた経験がある。矛盾や抜け穴は主に以下のような場合に見られる。

1.1異なる規定で定めた同一行為への処分、処分の基準に矛盾がある。
例:A規定では、警告のみであるが、B規定では罰金が科される。

1.2異なる規定で定めた同一行為への性質認定が異なる。
例:税関監督管理対象の貨物を無断で販売した行為が密輸に該当するかどうかについて、「税関法」、「税関行政処罰実施」では定義が異なる。
 
従って、規定の矛盾や抜け穴を効果的に利用することで、企業は対応の突破口を見つけることができる。

2.税関職員の税関規定への理解、案件事実への主観にはずれがある
税関職員の専門的レベルはそれぞれ異なり、税関職員の各税関規定への理解、案件事実への主観的認識にもずれがある。

例:企業が特定減免税設備を無断でレンタルして、税関に発見された後に税金を追納しなければならないかどうか、企業の軽い過失により加工貿易業務データの入力ミスが生じた場合は高額な罰金を科されるかどうかについて、「企業の行為により税関が監督管理できなくなった場合は、処罰するべきである」ことが税関規定の本意であるはずだが、実際は、企業の多くが故意で行ったわけではないにもかかわらず、税関は重い処分決定を下すことが多い。税関職員は機械的に規定を理解しており、企業の行為を過度に認定した結果である。

従って、類似したケースにおいては交渉の余地が多くあると考える。

3.企業が貨物の価値を重要視していない
貨物価値の認定は、税関が企業行為の性質、税金の追納金額、違法所得額、罰金額を認定するときに直接影響する。しかし、多くの企業は税関から処分決定を受け取った後、人脈を利用して何とか罰金額を減らそうと精力を費やすが、実際は、罰金額を50万から30万に引き下げようと必死になるよりも、罰金を計算する根拠となる「貨物の価値」に知恵を使うほうが得策である。貨物の価値が10%下がれば、処罰基準も大きく下がり、処罰から免れる可能性もあることを意識するべきである。

4.税関職員の処分基準幅が異なる
どのような状況で重い処罰が科され、逆に、どのような状況なら軽い処罰で済むのか、処罰の軽重幅は一体どれくらいなのか。実務では交渉できる余地は大いにあり、企業が規則を把握さえすれば、有益な結果を得られる可能性がある。

以上、税関の処分決定に見られるばらつきの原因についてまとめました。次回からは具体的な問題について紹介していきます。

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