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外商投資企業撤退の手順およびよくある問題に関する簡潔な分析

中国ビジネスレポート 法務
邱 奇峰

邱 奇峰

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2015年7月27日

外商投資企業が中国から撤退する理由は、主として経営不振による重大な欠損、企業経営期間満了、コスト的にその他の国と比較した場合の競争力の喪失、外国投資者の投資戦略の変更、中国の外商投資政策の転換などである。いかにして適法に、支障なく中国から撤退するかは、撤退企業が考慮せざるを得ない課題となっている。本文では外商投資企業撤退の手順について簡潔に紹介し、撤退においてよく見られる問題について簡潔に意見を述べる。

一、外商投資企業撤退の主な手順

外商投資企業撤退の主な手順は、以下の表に示す通りである。ただし、撤退の理由が異なれば(例えば、経営期間満了による終了或いは繰上げ解散)、手順にも違いが生じる。

番号 必要事項 備考
1 株主会または董事会による解散の決議 「会社法」の規定および会社定款に基づき、会社の最高意思決定機関が解散の決議を下す。
2 清算チームの設立 「会社法」の規定によれば、有限責任会社の清算チームは株主から構成される。
3 商務主管部門へ清算申請を行い、初期回答を取得 「中外合弁経営企業法実施条例」第九十条第一項第(二)、(四)、(五)、(六)号、「中外合作経営企業法実施細則」第四十八条第一項第(二)、(四)、(五)号、「外資企業法実施細則」第七十二条第一項第(二)、(三)、(六)号の規定に基づいて撤退を行う場合に適用する。
4 工商部門での清算チーム届出手続きの完了 「会社登記管理条例」に従い、清算チームは設立の日から10日以内に清算チーム構成員、清算チーム責任者の名簿を会社登記機関へ届け出なければならない。
5 債権人への通知と新聞での公告掲載 「最高人民法院の『中華人民共和国会社法』適用の若干事項に関する規定(二)」の規定に従い、清算事項を会社の規模および営業地域の範囲に応じて、全国または会社登録登記地の省に影響力のある新聞上で公告を行わなければならず、具体的には各地工商部門の要求に基づく。
6 従業員の整理 「労働契約法」の規定に従い、使用者は労働者と労働関係を終了し、法に従って労働者に対し経済補償金を支払う。
7 会社資産の処分、債権債務の整理、税金の追納 通常、本段階は重要であり、その後の税務抹消手続きの処理に直接の影響を及ぼすものと思われる。
8 税関登記の抹消 「税関による通関単位の登録登記管理規定」に従い、企業を抹消する際には税関登記を抹消しなければならない。
9 地税、国税の抹消 「税務登記管理弁法」に従い、納税者は納付すべき税金、過剰に還付(免除)された税金、滞納金および罰金の清算、発票、税務登記証書およびその他の税務証書の返納を行い、税務機関の認可を受けた上で、税務登記抹消手続きを行う。
10 投資者への残余財産の分配、送金の完了、銀行口座の抹消 分配する残余財産が投資コストを上回る場合、通常、10%の所得税を納付しなければならない。
11 外貨管理局への外貨登記抹消申請 外商投資企業が清算を行う場合、外貨管理局に対し外貨登記基本情報の抹消を申請しなければならない。
12 商務主管部門への申請、正式な回答書の取得 通常、税関、税務、外貨の抹消後、批准証書を返納し、抹消同意に関する正式な回答書を取得する。
13 工商部門への企業抹消申請 法律の規定に従い、工商登記の抹消を完了した後、企業は終了し、法的主体資格を喪失する。
14 品質監督部門への組織機構コード証抹消申請、労働部門への社会保険登記抹消申請など。 「組織機構コード管理弁法」、「社会保険法」の関連規定に従い、企業終了の日から30日以内に、関係部門にて組織機構コード、社会保険登記などの抹消手続きを行わなければならない。

二、撤退過程においてよく見られる問題

1.財政補助の返還
外商投資企業は設立時に、所属業種の現地政策への合致、または現地政府の企業誘致への配慮により、一定の財政補助(なお、現在は基本的に存在しない)を享受していることが考えられる。外商投資企業が抹消の時点で、契約または政策が要求する経営期間を満了していない場合、財政補助の返還を求められるものと思われる。このため、外商投資企業は解散の決議を下す前に現地政府と協議し、財政補助返還の要否などについて確認を行うことが望ましい。

2.税務抹消
税務抹消は通常、撤退過程において所要時間が最も長く、審査が最も厳しい段階であり、処理が悪ければ、税務行政処罰が発生するリスクが存在するおそれもある。このため、特に注意が必要である。税務抹消の手順において、税務機関の実地検査は最も複雑で制御不能な段階であり、筆者は日頃企業に対し、支障なく通過するため、事前に現地税務機関との意思疎通を図り、必要であれば税理士事務所へ税務鑑定報告書の発行を依頼することを提案している。このほか、毎年の3月から5月は通常、各企業の所得税確定申告期間に該当し、税務機関は非常に多忙であるため、当該期間においては、税務抹消手続きが遅延するおそれがある。

3.従業員に対する適切な整理
外商投資企業が撤退する際、従業員の整理問題は相対的に面倒であり、従業員が企業に対し各種要求を提起し、清算進度に影響を及ぼすおそれがある。筆者の考
えでは、外商投資企業が解散を決議する前は、従業員ストライキなどの群衆事件により生産に影響が出ないよう、関連秘密保持作業を十分に行うことが望ましい。解散を決議した後は、その後の労働紛争により清算に影響が出ないよう、企業は第一に従業員との労働契約の協議解除を試み、双方で協議書を締結することが考えられる。協議で合意を得られない場合、企業は法律に従って一方的に労働契約を終了することが考えられる。

4.債権債務の処理
「会社法」第186条の規定によれば、清算期間において、会社は存続するが、清算と無関係の営業活動を行ってはならない。清算期間において、企業は債権債務を清算しなければならず、新たな営業活動を行い、新たな営業と関連する契約を締結することはできない。会社が清算する前に締結した契約については、相手方と協議の上で解除することができ、契約の履行継続を選択することもできる。差し当たり回収不能な債権については、清算に影響が出ないよう、債務者に通知した上で、関連会社へ譲渡し、関連会社からその後の支払い督促を行うことが考えられる。

外商投資企業の撤退は、更に資産設備の処分、残余財産の送金、従業員社会保険口座の閉鎖などの多方面にかかわるため、企業が撤退を決定する前に関連手続き、手順、注意点などを事前に把握し、積極的に対応することで、適法、支障ない撤退を確保することが望ましい。

(里兆法律事務所が2015年6月29日付で作成)

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