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新広告法実施後、絶対的表現のレッドラインに触れてはならない

中国ビジネスレポート 法務
邱 奇峰

邱 奇峰

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2016年4月26日

新広告法実施後、絶対的表現のレッドラインに触れてはならない

「史上最も厳格な」広告法と称されている新「広告法」が2015年9月1日から正式に施行されて以来、中国政府主管部門は絶対的表現を使用した広告を取り締まり、違法広告を多数摘発している。本稿では、典型的なケースをいくつか挙げて、絶対的表現の定義、具体的な表現形式及び使用時に注意すべき事項などについて、論じるものとしたい。

一、典型的なケース

1. 江蘇省において初めて新「広告法」違反となった広告

2015年9月1日から3日までの期間において、江蘇省の某テレビショッピング番組で、「70周年軍事パレード記念紙幣」、「軍事パレード記念切手」などのコレクションに関する広告が放映された。司会者がコレクションを紹介した際に「唯一」などの用語を使用したため、この行為は新「広告法」規定に違反するものであるとして、国家工商行政管理総局によって、違法広告リストに組み入れられた。同広告は新「広告法」実施以来、江蘇省における初めての違法広告である。

2. 虚偽宣伝の疑いをかけられた携帯電話の広告

2015年9月、某携帯電話会社が掲載した広告で使用した「最もよい」、「トップスクリーン」、「世界一流」などの用語が虚偽宣伝であるとの実名での通報を受けて、北京市工商行政管理局海淀分局が立件調査を行った。

3. インターネット広告が監督管理下に組み入れられた

東莞の某電子製造有限公司はオンライン旗艦店を開設し、同オンライショップのウェブサイト上で「最高級装備の重低音Bluetoothスピーカー」、「最高の音声体験」などの広告用語を使用した。当該会社は広告で絶対的表現を使用したとして、現地の工商機関は当事者に対して過料20万元を科す予定であった。

前述のケースはいずれも広告で絶対的表現を使用したことで行政処罰に処されたものである。旧「広告法」と比べて、新「広告法」では広告主による広告での絶対的表現使用行為に対する罰則(過料)を大幅に強化している。旧「広告法」では、広告主に対して広告費用の一倍以上、五倍以下の過料に処するとしていたが、実践では、広告主が自ら広告を製作し、オフィシャルサイトで宣伝するケースもあり、この場合、広告費用を算出することは不可能であるため、旧「広告法」規定の広告費用の一倍以上、五倍以下で処罰金額を正確に算出することはできなかった。このような状況に対処すべく、新「広告法」では罰金金額を「20万元から100万元」と定め、政府主管部門が違法状況の深刻度合いに従い、自由裁量で罰金金額を決めることができるようになっている。

二、法律、実践面での解釈

新「広告法」では、絶対的表現を使用した広告に対する罰則を大幅に強化しているため、企業は宣伝を行う際に特に注意が必要であり、処罰を受ける危険性のある用語は避けなければならない。しかしながら、現法律規定では、「広告法」及びその他関係法律はいずれも「絶対的表現」の内包及び外延について具体的に定めていないため、「絶対的表現」とは何か、どの表現が「絶対的表現」にあたるかについて、明確な規定又は解釈説明はない。

法律上、「広告法」で明確に使用が禁止されている絶対的表現は「国家級」、「最高級」、「最佳(最もよい)」だけであり、他の宣伝用語については、「物事の状態を最高な状態にあると表現する誇張的表現」に該当し、その描写の程度が前述の3つの用語に近い場合に初めて絶対的表現に該当すると判断される可能性がある。

工商部門による法執行実践では、一般的に「広告法」で明確に使用が禁止されている「国家級」、「最高級」、「最佳(最もよい)」の意味と同じ又は似ている用語はいずれも絶対的表現であるとみなされている。法律規定の不周延性により、工商部門において広告で使用されている表現が「絶対的表現」であるかどうかを判断する際に、一定の自由裁量の余地が与えられていることに注意が必要である。

三、具体的表現形式及び使用時の注意すべき事項

以下では比較的よく見受けられる「絶対的表現」について、いくつかまとめている。

「最」が含まれるもの:
最高級、最佳(最もよい)、最高、最低、最具(最も~を備える)、最新技術、最先進科学、最大程度、最好(最高)、最大、最先(最も早く)、最時尚(最もおしゃれな)、最受歓迎(最も人気な)、最便宜(最安値)、最新、最先進(最も先進的)、最新科学、最新技術、最先進加工工芸(最先進加工工程)など。

「一」が含まれるもの:
唯一、全網銷量第一(全オンライン売上高第一位)、第一(NO.1\Top1)、独一無二(唯一無二)、一流など。

「級/極」が含まれるもの:
国家級、世界級、宇宙級、頂級工芸(トップクラスの工程)、極品(極上品)、終極(究極)、極致など。

「ブランド」と関係のあるもの:
第一品牌(トップブランド)、金牌(金メダル)、王牌(切り札)、領袖品牌(領袖ブランド)、領導者(リーダー)、締造者(創始者)、至尊、巓嶺(頂点)、之王(~の王)、王者など。

「虚偽性」を帯びるもの:
万能、永久、前無古人(かつて誰もなし得なかった)、史無前例(今まで前例のない)、特効など。

以上は比較的よく見受けられる「絶対的表現」をまとめたものである。もっとも、「絶対的表現」を使用すれば全て「広告法」規定違反となり、処罰に処されるというわけではなく、例外もある。工商部門の実践における観点をふまえ、「絶対的表現」は以下の4つの状況下では、例外として通常、合法的に使用することができる。
1. 同一ブランド又は同一企業内の製品の説明に利用し、例えば、最大間取り、最小サイズ、最新製品など、範囲を限定し、尚且つ客観的且つ真実の状況である場合、合法的に使用することができる。
2. 企業の経営理念又は目標追求を表現する場合、例えば、「顧客第一、信用第一」、「最高の安全性を追求する」など。
3. 固定用語の一部分、例えば、最高法院、超級聨賽(プレミアリーグ)など。
4. 序数詞又は数量詞として事実に基づき使用する場合。序数詞として使用する絶対的表現には例えば、首発(初の)、首映(初上映)、首播(初放送)、首家(初の)、首款(最初の)、第一、最早成立(最も早く成立)などがある。数量詞として使用する絶対的表現には例えば、独家代理(独占代理)、唯一授権(唯一権利を付与された)などがある。

新「広告法」では、「国家級、最高級、最佳(最もよい)など」の用語を使用してはならないと明示しているだけで、具体的に列挙していないため、絶対的表現について解釈の幅が広くなっている。また上述で取り上げた用語はいずれも実践で法執行部門から比較的よく注目されている用語であるため、企業が広告を掲載する際、上述の用語は慎重に扱うことが望ましい。もっとも、「絶対的表現」の例外状況にあたる場合には、原則的には合法的に使用することができる。

(里兆法律事務所が2016年2月16日付で作成)

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