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危険化学品安全情報コード実施の動向

中国ビジネスレポート 法務
董 紅軍

董 紅軍

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2023年6月8日

2021年12月31日、国務院安全生産委員会は「全国危険化学品安全リスク集中管理方案」を通達し、方案では「化学品登記システムのアップグレード改造の推進」、「企業別の危険化学品の種類別『1企業1製品1コード』管理の実施」を提唱した。本方案でいう「1コード」とは、危険化学品安全情報コード(以下、「QRコード」という)を指し、危険化学品のQRコード管理を全国的に順次実施していくことを告げるものであった。

1.QRコード管理の実施状況

2021年6月、国家応急管理部は危険化学品QRコードの試験的運用を率先して広東省で展開し、最初の試験都市は広州と仏山であった。同年7月、広州と仏山における試験的運用を踏まえ、広東省応急管理庁は「化学品登記総合サービスシステム及び『1企業1製品1コード』の標識化管理の運用業務の展開に関する通知」を正式に通達し、省内全域で危険化学品QRコードを正式に運用し、ユーザーと政府部門が危険化学品情報を迅速に取得できるよう、QRコードを危険化学品の内外の包装、輸送車両に印刷し、又は貼付するよう求め、QRコードを貼付していない危険化学品は、工場から出荷してはならないとした。2022年8月、山東省応急管理庁が「危険化学品の『1企業1製品1コード』の標識化管理の促進及び安全リスクの識別管理制御業務の更なる強化に関する通知」を発布し、広東省に続き、危険化学品QRコードの運用を進め始めた。

筆者の知る限りでは、現在の危険化学品QRコード管理は、危険化学品登記管理制度の実施及び延長であり、その主な役割は、ユーザーの情報取得及び政府部門による危険化学品の管理業務に便利なように、QRコードを読み取ることによって危険化学品の化学品名、中国語別名、CAS番号、登記番号、企業名、緊急相談サービス電話、注意喚起の文字、ピクトグラム、危険性の説明、救急措置、漏洩時の緊急措置、消火方法等の情報を迅速に取得し、且つ化学品安全ラベルと安全技術説明書(以下「SDS」という)をダウンロードできるようにすることである。

また、現段階では、危険化学品QRコード管理は応急管理部門に限られ、税関部門は危険化学品を輸入し、通関する際にQRコードの検査を求めてはいない。そのため、現段階では通常、危険化学品が中国市場に入る前に中国国内の輸入企業が貼付を完了させておけばよく、海外生産企業に対し、国外で事前に貼付を完了させておくよう強制してはいない。

危険化学品QRコード管理の全国的な実施について、筆者は一部地域の応急管理部門と連絡を取り把握したところでは、当該制度を全国的に実施することは既定の事実であるが、広東と山東を除く各地域での具体的な実施スケジュールはまだ明確になっていない。

2.QRコードの適用対象

QRコードの適用対象は危険化学品であり、危険化学品の生産企業、輸入企業は「危険化学品登記管理弁法」等の法律法規に従って危険化学品の登記を完了させた後、登記システムでQRコードを自動で生成することができる。従って、企業がQRコード管理制度を対応するための準備をする前に、その生産し、輸入する化学品が危険化学品であるかどうかを判断する必要がある。

中国では、主に「危険化学品名録」に基づき、危険化学品に対しての認定を行い、企業が生産し、輸入する化学品が「危険化学品名録」に収載されている場合、危険化学品に該当すると直接判定することができる。当該化学品が「危険化学品名録」から直接に見つけることができない場合は、「危険化学品目録(2015年版)実施ガイドライン(試行)」及び関連法律法規に基づき、化学品の引火点及び混合物の成分等からさらに判断する必要がある。前述の方法によって当該化学品が危険化学品に該当することを確定できない場合は、それに対して鑑定分類を行い、鑑定分類の結論に基づいて確定しなければならないことが多い。

輸入化学品については、各国の危険化学品の認定及びSDSの作成要件が異なるため、実際には、非危険化学品のSDSにも危険標識が記載されているといった状況も確かに存在する。この場合、当該化学品が直接に危険化学品と見なされてしまうかどうかについては、実務上、監督管理部門の間で見解が分かれている。つまり、形式審査のみを行い、SDSに危険標識を記載された化学品を直接危険化学品と見なす見解もあれば、実質審査に重点を置き、鑑定分類の結論を通して最終認定を行うべきだと主張する見解もある。これに鑑みて、もしも企業が自己の生産、輸入する化学品が中国で危険化学品に該当するかどうかを確認できない場合、監督管理上の疑義を生じさせることでより大きな対応コストが発生してしまわぬよう、事前に鑑定機構に鑑定分類申請を行い、その結論に従って危険化学品の登記が必要かどうかを確定するとよい。

3.QRコード管理下での企業の難題

現在、国家レベルのQRコード管理に関する規定はまだ公布されておらず、QRコード管理によって企業に重大な負担及びリスクが生じるかどうかについては引き続き関心を払う必要がある。広東、山東での試験状況を踏まえ、海外の危険化学品生産企業は以下の事項について事前に検討すべきと考えられる。

 危険化学品のQRコード管理が全国で本格的に施行し、且つ税関部門がQRコードに対する監督管理を始めれば、QRコードの貼付は、海外の危険化学品生産企業の大きな負担となる可能性がある。

現在の危険化学品登記システムは、中国国外の企業からの登録利用を受け付けていないのだが、これは、海外の危険化学品生産企業の製品について、それを輸入する国内の輸入企業が複数ある場合、これら国内の輸入企業がそれぞれ登記システムで危険化学品の登記を行い、各自のQRコードを生成する必要があるということを意味している。このような状況において、海外の生産企業にとっての難題としては、危険化学品の輸入の際に税関部門がQRコードの検査を要求した場合、海外生産企業は、国内の輸入企業が危険化学品の通関前にQRコードの貼付を完了させておくよう協力する義務が生じ、国内の輸入企業が数多く存在するような場合、海外の生産企業は国内の輸入企業ごとの製品別に異なるQRコードを貼付しなければならず、負担が以前よりも多く、重くなることは間違いない。筆者の知る限りでは、監督管理部門としても、海外企業が前述の状況においてQRコードの統一管理(即ち、海外の生産企業のQRコードのみを貼付するもの)がしやすいよう、海外の危険化学品生産企業の国内代理人制度を策定し、実施するかどうかを検討している。

前述の状況について、海外の生産企業は、取引の過程でQRコード管理制度が施行されることで生じる争いと紛争を避けるために、国内の輸入企業との交渉の際にはQRコードの貼付によって生じ得るコストを考慮し、且つそれを契約書に反映させておくようにするとよい。

今後も、筆者は、危険化学品のQRコード管理制度の公布と実施の進捗について引き続き注目していく。

(作者: 里兆法律事務所 董紅軍、鄭旭斌)

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