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三品一械広告のコンプライアンス上のポイントと実務適用シナリオ

中国ビジネスレポート 法務
邱靖

邱靖

無料

2023年12月1日

はじめに

広告の分野において、医薬品、医療機器、保健機能食品、特殊医学用途調整食品(以下合わせて「三品一械」という)の広告は、その国民生活や国家経済における特殊性と重要性から、常に国家による厳しい規制の対象となっている。三品一械広告の強力な規制の下で、本稿では関連する法律法規および実務的な規制動向を中心に、三品一械広告のコンプライアンス上のポイントを簡潔に紹介し、医療企業や従事者が法執行環境をより良く理解し、広告プロモーション行為が適法かつ法律を遵守したものであるよう支援することを目的とする。

本文

Q1: 三品一械は、広告を掲載すること可能がなのか?

A1: 三品一械広告を掲載するには、広告監督管理部門(即ち市場監督管理局)による広告内容の事前審査を経らなければならない。ただし、一部の特定の製品については、広告掲載が禁止または制限される場合があり、具体的には以下の3種類に分けられる。

 

規制レベル

三品一械の種類

1

広告掲載が禁止される

● 麻酔薬、向精神薬、医療用有毒医薬品、放射性医薬品、医薬品類前駆体化学物質、および薬物リハビリテーション用の医薬品·医療器械

● 軍隊特需の医薬品、軍隊医療機関で調製される製剤

● 医療機関で調製される製剤

● 法律により生産、販売または使用が停止または禁止されている医薬品、医療器械、保健機能食品、特殊医学用途調整食品

● 法律、行政法規により広告掲載が禁止されている場合

2

広告掲載が制限される

国務院の衛生行政部門と国務院の薬品監督管理部門が共同で指定する医学·薬学専門の出版物でのみ広告を掲載することができる

● 上記第1項以外の処方薬

● 上記第1項以外の特殊医学用途調整食品における特定栄養調整食品の広告

マスメディアまたは公共の場で広告を掲載してはならない

● 特殊医学用途乳児調整食品

未成年者を対象としたウェブサイト、ウェブページ、インターネットアプリケーション、Wechat公式アカウントなどのインターネットメディアで広告を掲載してはならない

● すべての三品一械

3

広告掲載が可能である

● 上記第1項、第2項以外の三品一械製品、例えばOTC、保健機能食品、一般医療器械など

Q2: 三品一械広告のコンプライアンス上のポイントは?

A2: 「広告法」、「医薬品、医療器械、保健機能食品、特殊医学用途調整食品の広告審査管理暫定弁法」(以下「三品一械暫定弁法」という)、「インターネット広告管理弁法」など関連規定では、三品一械広告について、一般的な製品広告よりも高い要求を打ち出され、一部のコンプライアンス上のポイントを以下の通り挙げる。

(1)医薬品、医療器械の広告における効能効果と安全性についての宣伝

医薬品や医療器械の研究開発段階では、効能効果、有効率、さらには他製品との比較は重要な研究手段である。医薬品や医療機器製品は、多くの場合、様々な指標を通じて製品の有効性や安全性を測定する必要があり、比較研究(例えば、医薬品の研究開発において、よく見られる「ガチンコ試験〔「ガチンコ」のことを「head-to-head」と言い、試験医薬品(新薬)と既存の医薬品とを用い「1:1」で「優劣」(relative merits; merits and demerits; superiority or inferiority)を決める臨床比較試験のことを意味する。〕」のために類似製品が選択されることがある。しかし、「広告法」の関連規定により、医薬品や医療機器の広告には、効能効果や安全性の断言または保証を含めてはならず、治癒率や有効率について説明したり、他の製品の効能効果や安全性との比較の内容も含めてはならない。したがって、その内容が科学的研究によって得られたデータであっても、医薬品や医療機器の広告において宣伝してはならない。

(2)誘導的な販促用語

オンライン・オフラインを問わず、さまざまなショッピング・キャンペーンが行われるようになり、宣伝用語は目を引くようになっている。しかし、一般商品と異なり、三品一械製品は特別な適用条件があり、過度または不適切な使用は消費者の健康を損なう恐れがある。そのため、三品一械広告は過度に宣伝し、消費者の過度な購入を唆してはならない。「三品一械暫定弁法」の規定により、三品一械広告には、「売れ行きが良い、買いあさる、試用」、「家庭必需、無料治療、無料プレゼント」などの誘導的内容、「評定、ランキング、推薦、指定、選択、受賞」などの総合的な評価内容、「無効なら返金、保険会社による保証」などの保証的内容を含めてはならず、消費者に恣意的、過度な三品一械製品の使用を唆してはならない。この点は、三品一械企業が特にオンラインでの販促活動を行う際に注意を払う必要がある。

(3)非医薬品・非医療機器製品の医療効能効果についての宣伝

「広告法」の規定により、医療、医薬品、医療機器の広告のほか、疾病の治療機能を伴う他のあらゆる広告は禁止され、医療用語または販促中の商品が医薬品、医療機器と混同されやすい用語を使用してはならない。保健機能食品は食品の範疇に属し、疾病の治療機能に関わることや医療用語の使用をしてはならない。過去には、「乳幼児のよく見られる腸疾患(便秘や下痢など)を双方向に調整し予防する」など、病気の予防や治療機能に関わる内容を含むプロバイオティクス製品(保健機能食品に属する)の広告が処罰を受けた事例がある。

(4)特殊医学用途調整食品の広告は医薬品広告として管理される

特殊医学用途調整食品は、特定の患者向けに提供されるものであり、医師または臨床栄養士の指導の下に使用されるべきものであることから、「食品安全法」では、特殊医学用途調整食品の広告は、「広告法」およびその他の法律、行政法規の医薬品広告管理に係る規定を適用されると特別に定められている。

Q3: 三品一械にはどのような新興の宣伝方法があるのか?

A3: 新興の広告の形態が次々と出現され、「広告法」が三品一械広告に対する審査要求に基づいて、宣伝方法が広告に該当するか否かを判断することは、合法的なプロモーションの前提となり、以下に、2種類のインターネットやデジタルメディアの発展によって徐々に台頭した三品一械広告の実務応用シナリオの例を挙げる。

(1)テレビ番組におけるインプラント広告

ネット動画やバラエティ番組など、新しい普及形態の台頭により、三品一械広告も新たなプロモーションルートを開いた。テレビ番組におけるインプラント広告という形態を通じて、広告内容をより自然に対象視聴者に伝えることが可能である。しかし、法規に準拠して広告を行わなければ、処罰される可能性がある。実際の事例において、OTC医薬品がネットバラエティ番組の冠スポンサーとなったり、有名な司会者や俳優を使用して商品のライブ推薦をしてもらったり、OTC医薬品のインプラント広告に規定内容を明確に表示しなかったため、処罰された事例もある。

(2)短編動画プラットフォームでの広告掲載

短編動画の流行により、様々な企業が短編動画プラットフォームで自社および製品のプロモーションを行い始めている。国家および各地方の法執行状況から、ネット広告は日増しに広告に係る法執行の重要分野となっている。したがって、三品一械企業はインターネットに掲載される広告にさらに注意を払い、広告審査を適時に行うべきである。さらに、2023年に公布された「インターネット広告管理弁法」は、最近ホットトピックスとなるアルゴリズムによるプッシュ型広告やライブ放送など、新興の広告の形態を規制し、インターネット広告のガバナンスを強化する国の決意を示している。

Q4: 医学普及行為と広告行為をどう区分するのか。

A4: セルフメディアの台頭により、医学の専門知識が健康知識普及動画や記事を通じて消費者に届きやすくなり、社会的責任と人気拡大を目的に、多くの三品一械企業が自社製品の宣伝のほか、自らまたは専門家を招いて医学知識の普及を行っている。医学知識の普及について、「インターネット広告管理弁法」は明確に、健康や養生知識などを紹介する形で、三品一械に係る偽装広告の掲載を禁止し、「アドバトリアル(英:Advertorial、記事体広告)」、「購買意欲を植え付けるノート」も実務上、「偽装広告」に該当する可能性がある。三品一械企業が医学知識の普及内容を掲載する際には、「偽装広告の掲載」とみなされないように、同一ページまたは同時に製品情報を掲載しないことに注意を払う必要がある。

Q5: 三品一械広告の関連規定に違反した場合、どのような法的影響に直面するのか?

A5: 関連規定により、三品一械広告の関連規定に違反して広告を掲載した場合、以下の法的影響に直面する可能性がある。

(1)民事責任

医薬品広告関連法規に違反して広告を掲載し、他人の合法的権益を侵害した場合、法に基づいて民事責任を負うものとする。

(2)行政処分

a)広告掲載の停止命令
b)広告主に対して、
・20万元以上100万元以下の罰金を科す
・事態が重大な場合、営業許可書を取り消されることがある
・広告審査機関による広告審査承認文書の撤回、1年以内にその広告審査申請を受け付けない
c)広告運営者、広告掲載者に対して、
・広告費の没収
・20万元以上100万元以下の罰金を科す
・事態が重大な場合、営業許可書を取り消されることがある
d)個人責任を負う企業の法定代表者に対して、
企業の営業許可書が取り消された場合、取り消された日から3年以内に、その企業の取締役、監査役、上級管理者に就任することができない。

(3)刑事責任

広告主がが国家規定に違反し、広告を利用して商品またはサービスについて虚偽の宣伝を行い、事態が重大な場合、2年以下の有期懲役または拘留、さらにこれに加えて罰金を科される、または罰金のみを科されることがある。

終わりに

本稿は、中国法における三品一械広告に関する規制と実務に照らし、医療企業の広告コンプライアンスに対する参考を提供することを目的としている。新興の広告の形態の出現に伴い、医療企業による三品一械広告は、様々なコンプライアンスの課題に直面し、企業が三品一械広告のコンプライアンスに一層の注意を払い、製品プロモーションのコンプライアンス管理メカニズムを強化し、従業員のコンプライアンス研修に注力し、実務規制動向およびホットトピックスを継続的に注意を払うことを勧める。

(作者:北京市中倫(上海)法律事務所 邱靖弁護士)

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