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ログイン2025年10月10日
はじめに
国家市場監督管理総局は2025年5月、「医療広告監督管理業務ガイドライン」(以下「ガイドライン」という)を公布し、医療広告の監督管理業務を一層規範化し、医療広告市場の秩序を維持することを目的としている。当該「ガイドライン」は市場監督管理部門に明確な法執行基準を提供するとともに、医療機関に対してより明確なコンプライアンスのレッドラインと免責範囲を定めている。本文では、当該「ガイドライン」の核心内容について解説し、関係主体に対してコンプライアンスのアドバイスを提供する。
本文
Q1: 「ガイドライン」が打ち出された主な背景および目的とは何か?
A1: 「ガイドライン」の打ち出しは、現在の医療広告の監督管理が直面する課題への対応を目的としている。医療サービス業界の発展および広告形式の多様化に伴い、2007 年に施行された「医療広告管理弁法」の一部規定は、法執行の実務において新形勢に完全に適合しなくなっている。一方、旧規定は「機械的な」法執行になりやすく、医療機関による合理的なマーケティング宣伝の妨げとなる。また、違法の医療広告に対する定義が曖昧で、虚偽広告に対する取り締まり力が弱まっている。「ガイドライン」の制定は、監督管理の法執行の原則およびルールを細分化し、医療広告の監督管理を強化し、より公平で秩序ある医療広告の市場環境を構築することを目指している。
Q2: 「ガイドライン」は行政処罰において、どのような重要な原則を表しているか?
A2: 「ガイドライン」の核心原則の一つは、過罰相当原則(行政処分は違法行為に見合ったものでなければならないの意味)である。同原則は、市場監督管理部門が医療広告の違法案件を取り調べる際には、違法行為の事実、性質、情状および社会的危害程度を総合的に判断しなければならないことを強調するとともに、処罰の免除、軽減、および処罰を加重する具体的な状況を詳細に規定している。その要点を以下にまとめる。
1.処罰されない場合:例えば、広告内容が医療機関の名称、住所、診療科目などの基本情報に限定され、かつ開業許可(届出)事項と一致している場合、審査を経ずに掲載されても、処罰されない可能性がある。また、医療広告審査証明書類の有効期限が満了した後、医療広告の掲載を停止せず、または再度医療広告を掲載した場合でも、当該医療広告が広告審査証明書類および医療機関の実情と一致している場合、若しくは背景色、フォント、画像のアスペクト比など実質的でない内容のみを調整し、広告内容に誤解を生じさせない場合は、通常は処罰の対象とはならない。
2.処罰を軽減する場合:同一医療連合体の名称、または連合体内の他の医療機関の第一名称・住所・電話番号などの関連情報を宣伝し、かつ実情と一致している場合、医療機関の実景写真や具体的な位置を表示する場合、または届出済みの診療科目などを専門用語で説明する場合などが含まれる。
3.処罰を加重する場合:効能、安全性に関する断言的な保証(特にがん治療、青少年近視の予防管理などの分野において)、または内容ががん治療、青少年近視の予防管理、若しくはその他の重大な難病に関する場合には、法に基づいて処罰を加重する。
Q3: 美容医療広告にはどのような特別なコンプライアンス要件とリスクがあるか?
A3: 過去の法執行の実務から見ると、美容医療広告の違法事例は非常に頻繁に発生され、広範な大衆の身体の健康と財産の安全に重大な脅威をもたらしている。「ガイドライン」第十四条は市場状況を考慮し、対象となる消費者の知情権および関連利益を保障することを目的として、以下に明確な規定をしている。
● 容貌不安を煽ることを厳禁する:「美貌こそ正義」「美で人生を逆転」など容貌不安を煽る内容を含む美容医療広告は「広告法」違反に該当し、同法にづいて処罰される。
● 未成年者を厳格に保護する:未成年者を対象としたマスメディアでの医療広告掲載を絶対禁止とする。さらに、他の媒体を通じた場合でも、未成年者を対象に疾病治療を目的としない美容医療プロジェクトを推奨することも違法行為に該当する。
Q4: 医薬品・医療機器のライブ配信マーケティングにおけるコンプライアンス上の注意点とは?
A4: インターネット時代の発展に伴い、医薬品および医療機器のマーケティングも従来のモデルを徐々に打ち破り、インターネットプラットフォームを通じたオンライン宣伝・マーケティングのモデルが台頭している。「ガイドライン」の関連規定は、ライブ配信マーケティングにおけるリスクポイントについても警戒を促している。
● 絶対的な効能の断言と保証:医療広告において、効能、安全性について断言若しくは保証を行うこと、または治癒率・有効率を説明することは、明確な違法行為であり、「根治」「治癒率 100%」などの表現を主張した場合、「広告法」に基づいて取り締まられる。虚偽、歪曲の科学理論または研究データなどを通じて、ライブ配信中にこのような宣伝を行う場合、直接に虚偽広告と認定され、法に基づいて処罰が加重される可能性がある。
● 代言行為の認定:ライブ配信中の医師、専門家、インフルエンサーまたは「回復患者」による製品の推奨や証明行為は、広告代言と認定される可能性があり、関連する禁止事項を厳格に遵守しなければならず、いかなる虚偽や不正使用も深刻な法的結果を招く。
● データの改ざん:ライブ配信で引用されるいわゆる「研究報告」「臨床データ」などが確固たる法的根拠を有さない場合、誇大広告に該当するだけでなく、科学理論の虚偽または歪曲と認定され、より深刻な虚偽広告、さらには詐欺行為を構成する可能性がある。
Q5: インターネットプラットフォーム企業は医療広告の監督管理において、どのような責任を負わなければならないか?
A5: 「ガイドライン」第十八条は、インターネットプラットフォーム企業の医療広告監督管理責任をさらに詳細に規定され、以下に概括する。
● 検証義務:インターネットプラットフォーム企業は内部管理を強化し、プラットフォーム内の事業者(医療機関など)および医療サービス情報コンテンツの生成を従事されるセルフメディアに対する検証義務を履行しなければならない。
● 連帯責任:プラットフォームが検証義務を履行せず、法的に設立されていない医療機関または個人が掲載した医療広告に対して情報サービスを提供した場合、「広告法」に基づいてプラットフォームを処罰する。情状が深刻な場合は、関連業務の停止処分を受ける可能性もある。これは、プラットフォームが無資格主体による医療広告の掲載を防ぐため、有効な資格審査メカニズムを構築しなければならないことを意味する。
終わりに
「医療広告監督管理業務ガイドライン」の公布は、我が国の医療広告監督管理が精密化、標準化、透明化の新しい段階に入ったことを意味する。同ガイドラインは、医療機関、広告経営・掲載事業者およびインターネットプラットフォームに対し、より高く、より具体的なコンプライアンス要求を出している。医療機関は内部のコンプライアンスプロセスを整備し、コンプライアンス要求を日常運営のあらゆる段階に着実に溶け込ませ、コンプライアンスの最低ラインを守り、持続可能な健康的な発展を実現しなければならない。
(作者:北京市中倫(上海)法律事務所 邱靖弁護士)
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