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医薬品のネット販売におけるコンプライアンス要点

中国ビジネスレポート 法務
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邱靖

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2025年9月1日

はじめに

電子商取引の急速な発展に伴い、医薬品のネット販売は医薬業界の重要な構成要因となっている。しかし、医薬品は公衆の生命と健康に関わるため、そのネット販売行為は厳しい法規制を受けている。「医薬品ネット販売監督管理弁法」など一連の文書が打ち出され、医薬品ネット販売のコンプライアンス遵守に向けた明確な手引きが示されている。以下に、医薬品ネット販売における主要なコンプライアンス要点について解説する。

本文

Q1: 医薬品のネット販売には、どのような事業者の関与が必要ですか?

A1: 一般的に、中国で消費者向けの医薬品ネット販売を行うには、複数の事業者の協力が必要で、主に、上流の製造業者、販売代理店(必須ではない)、インターネット取引プラットフォームに出店する小売薬局、および医薬品インターネット取引プラットフォームサービスを提供する事業者(例えば、ECプラットフォームの京東(JD.com)、淘宝(Taobao)、デリバリープラットフォームの餓了?(Ele.me)、美団(Meituan)など)が関与し、最終的に消費者に販売される。

Q2: 医薬品のネット販売に従事する各事業者は、どのような資格が必要か?

A2: 医薬品のネット販売に従事する上流の事業者には、医薬品上市許可保有者(MAH)または医薬品経営企業が含まれる。そのうち、医薬品上市許可保有者は、自身が医薬品登録証書を取得した医薬品のみを販売できる。医薬品経営企業は、承認された経営方法と経営範囲に従って経営しなければならない。
プラットフォームに出店する小売薬局は、医薬品の小売資格、すなわち経営方法が「小売」の「薬品経営許可証」を取得しなければならない。
医薬品インターネット取引の第三者プラットフォームについては、プラットフォーム所在地の省級薬品監督管理部門への届出が必要であり、相応な電気通信事業許可または届出なども取得しなければならない。

Q3: 処方箋医薬品はネット販売できるか?特別な要件は何かあるか?

A3: 法律でネット販売が禁止されている処方箋医薬品を除き、処方箋医薬品はインターネットを通じての販売が可能である。
法律でネット販売が禁止されている医薬品には、ワクチン、血液製剤、麻酔薬、向精神薬、医療用毒性医薬品、放射性医薬品、医薬品類易制毒化学品など、国家が特別管理を行う医薬品が含まれる。また、「医薬品ネット販売禁止リスト」においても、インターネットを通じて販売できない医薬品のカテゴリーがさらに明確化されている。
処方箋医薬品のネット販売には、厳格な特別要件がある。医薬品ネット販売事業者は、処方箋医薬品を販売する際、必ず医師の処方箋に基づいて販売し、処方箋の出所が真実かつ信頼できるものであることを確保し、実名制を実施しなければならない。実務上、中国の主要な医薬品ネット販売プラットフォームは、通常、インターネット病院と連携され、インターネット病院が処方箋を発行することができる。
さらに、インターネットを通じて医薬品を小売する場合、「医薬品の購入者に医薬品を景品として提供する」「商品の購入者に医薬品を景品として提供する」などの方法で個人に処方箋医薬品や甲類非処方箋医薬品を贈与してはならないという規定も遵守する必要がある。

Q4: 処方箋医薬品をインターネット取引プラットフォーム上で表示する際に、特別な要件はあるか?

A4: 情報表示において、処方箋医薬品と非処方箋医薬品は区別して表示し、かつ明確に標示する必要があり、各医薬品の表示ページにおいては、「処方箋医薬品は、処方箋に基づき、薬剤師の指導の下で購入と使用しなければならない」などのリスク警告情報を目立つように表示し、販売前には消費者に十分に告知し、その同意を得なければならない。また、処方箋の審査前に、添付文書などの情報を表示したり、購入関連サービスを提供したりすることはできない。処方箋医薬品の販売メインページやトップページでは、その包装やラベルなどの情報を直接公開してはならない。

Q5: インターネット取引プラットフォームは、出店企業に対してどのような管理を行うか?

A5: 法規の要求に基づき、インターネット取引プラットフォームは、出店される医薬品ネット販売事業者に対して管理義務を負い、少なくとも下記のものが含まれる。
● 参入管理:出店を申請される企業の資格と品質安全保証能力を審査し、登録ファイルを作成し、少なくとも6ヶ月に一度、照合・更新する。
● 自主的検査:出店企業の医薬品情報表示、処方箋審査、医薬品販売と配送などの行為に対する管理を強化し、法的義務の履行を督促する。
● 契約管理:出店企業と契約を締結し、双方の医薬品品質安全責任を明確にする。
● 法違反行為への対処:出店企業に違法行為を発見した場合、速やかに制止し、所在地の県級薬品監督管理部門に報告する。資格なく医薬品を販売したり、国家特別管理の医薬品を販売したりするなどの重大な違法行為に対しては、直ちにインターネット取引プラットフォームサービスの提供を停止するとともに、医薬品の関連情報の表示を停止する。

終わりに

医薬品ネット販売のコンプライアンスを遵守した運営は、公衆の医薬品使用の安全を保障し、業界の健全な発展を促進する鍵となる。医薬企業は、「医薬品ネット販売監督管理弁法」などの関連文書の要求を厳格に遵守し、事業者資格、販売範囲、処方箋医薬品の管理から運営の各段階に至るまで、全面的にコンプライアンス義務を履行する必要がある。コンプライアンス意識を絶えず強化し、内部管理制度を完備することによってのみ、医薬品ネット販売という競争の激しい分野で、着実かつ長期的な発展を遂げることができる。

(作者:北京市中倫(上海)法律事務所 邱靖弁護士)

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