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新「中華人民共和国薬品管理法実施条例」についての実務解説

中国ビジネスレポート 法務
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邱靖

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2026年3月2日

はじめに

「中華人民共和国薬品管理法実施条例」(以下「実施条例」という)は2026年1月16日に公布され、2026年5月15日に正式施行される。これは中国の薬品規制体制が「ライフサイクルマネジメント」と「リスクを軸とした規制」へさらに深化したことを象徴している。旧法と比較して、今回の改正では、上市許可保有者の責任、委託生産管理、上市後のリスク管理、および違法行為に対する責任追及の面において、より詳細かつ厳格な制度的措置が講じられている。以下では、企業実務において特に注目されている問題点について整理し解説する。

本文

Q1:今回の「実施条例」改正の核心的な内容は何か?

A1:今回の改正は単なる技術的改正ではなく、2019年の「薬品管理法」が新たな制度枠組みを確立した後の補完的詳細化である。制度面から見ると、主に四つの面に表れている。

① 医薬品の研究開発と登録制度の整備
臨床価値を軸とした医薬品の研究開発と革新を支援し、新薬の研究と創製を奨励し、新薬の臨床普及と使用を支援する。医薬品の非臨床安全性評価研究機関の資格認定手続きを明確にし、医薬品の臨床試験の管理要件を細分化した。医薬品上市登録の迅速化手続きを設け、医薬品再登録手続きを明確にし、処方せん医薬品と一般用医薬品の転換メカニズムを定めた。条件を満たす小児用薬や希少疾患用薬には市場販売独占期間を付与し、新型化学成分を含む医薬品などにはデータ保護を実施される。医薬品上市許可保有者の責任を細分化する。

② 医薬品生産管理の強化
医薬品委託生産管理を厳格化し、委託生産時の医薬品上市許可保有者の責任を締固め、分段委託生産が認められる場合を明確にする。漢方生薬(中国語:中薬飲片)や漢方配合顆粒剤の生産と販売の管理要件を明確にする。

③ 医薬品経営と使用の規範化
医薬品ネット販売管理制度を整備し、ネット取引第三者プラットフォーム提供者の責任を明確にする。医療機関の薬事管理を強化し、使用段階における医薬品の品質を保障する。医療機関調剤製剤の審査承認プロセスを明確にし、医療機関製剤の調剤使用条件とプロセスを定め、小児用医療機関製剤の調製を支援し、小児患者の薬剤ニーズを満たす。

④ 医薬品安全監督の厳格化
医薬品安全監督の検査措置を明確にする。医薬品品質抜き取り検査プロセスを細分化し、当事者が検査結果に異議を唱える場合、再検査を申請できることを定めている。違法行為に対して厳格な法的責任を設定する。

Q2:「実施条例」は上市許可保有者(MAH)の責任をどのようにさらに強化したか?

A2:「実施条例」は、上市許可保有者が医薬品のライフサイクルにおける核心的責任をさらに詳細化し、明確にした。条例は、上市許可保有者が医薬品の研究開発、生産、経営、使用などの全過程において品質管理責任を負い、全過程をカバーする品質保証体系を確立・整備しなければならないことを明確にしている。

特に注目しなければならないことは、医薬品が委託生産方式を採用した場合でも、上市許可保有者が医薬品の品質安全の第一責任者である点である。条例は、上市許可保有者が委託生産企業の生産活動を継続的に監督し、監査・監督を実施するとともに、その品質管理体系を定期的に評価し、薬品生産品質管理規範(GMP)の要件に適合していることを確保しなければならないことを強調している。品質管理の欠如により重大な結果が生じた場合、上市許可保有者は「委託生産を行った」ことを理由に責任を軽減または免除することはできない。

当該規定は、企業が上市許可保有者制度を採用して事業展開を行う際には、形式的な制度遵守にとどまらず、同等の品質管理能力を同時に構築しなければならないことを意味している。

Q3:医薬品のネット販売に関する規制は「実施条例」で新たに規定されているか?

A3:はい。「実施条例」は「薬品ネット販売監督管理弁法」などの規則と連携し、ネット経由での医薬品販売の基本ルールを明確にしている。医薬品のネット販売に従事する者は、相応の資格を有する医薬品上市許可保有者または医薬品のネット販売企業でなければならない。第三者プラットフォーム提供者は、オンライン開店申請を行う医薬品ネット販売企業の資格を法に基づいて審査し、管理責任を負わなければならない。処方薬のネット販売については、厳格に処方箋に基づく販売を実施し、処方箋の出所が真実かつ信頼できることを確保するとともに、専用の表示と販売プロセス規定を遵守しなければならない。

Q4:「実施条例」は医療機関調剤製剤の管理についてどのような新変化があるか?

A4:「実施条例」は医療機関調剤製剤の管理を規範化し、最適化している。医療機関調剤製剤の範囲を明確にし、当該機関の臨床ニーズに応えつつ市場で供給されていない品種であること、かつ医療機関製剤許可証を取得しなければならないことを強調している。また、条例は、医療機関製剤の適法な調剤使用を奨励し、臨床緊急医薬品のアクセシビリティを促進する。さらに、伝統的製法による漢方製剤については、届出管理においてより明確な経路を提供している。

Q5:「実施条例」は医薬品上市後管理にどのような新たな規制要件を提起しているか?

A5:上市後管理は今回の改正の重点分野の一つである。「実施条例」は、上市許可保有者が上市後研究を実施し、医薬品の安全性・有効性・品質管理可能性を継続的に評価するとともに、法に基づいて副作用のモニタリングと報告義務を履行しなければならないことを明確にしている。

条例はまた、医薬品の再評価およびリコール制度を強化した。医薬品の安全上の懸念が発見された場合、上市許可保持者は販売停止やリコールなどのリスク管理措置を速やかに講じなければならない。報告やリコール義務を法的に履行しなかった場合、行政処罰や刑事責任に問われる可能性がある。

Q6:「実施条例」は違法責任と処罰の面でどのような変化があるか?

A6:「実施条例」は「薬品管理法」の高額罰金制度と連携し、違法行為の状況と責任負担の方法をさらに詳細に定めた。虚偽資料の提供、データの偽造、規定に基づかない品質管理の実施、副作用報告義務の不履行などの行為については、いずれも高額な行政罰金の対象となる可能性がある。

また、条例は、罰金や業界への参入禁止などの措置を含めた直接責任者に対する責任追及を強調している。情状が深刻で犯罪が成立する場合、刑事責任が法的に問われる可能性もある。

現在の規制環境において、違法コストが著しく上がっている。企業は単に経済的処罰リスクに直面するだけでなく、ブランド評判の毀損、事業停止、さらには経営層の個人責任といった総合的なリスクを負う可能性がある。

終わりに

「薬品管理法実施条例」は単なる制度更新ではなく、既存の法的枠組みにおけるライフサイクルマネジメント制度の体系的に詳細化したものである。その核心は、企業の主体的責任を明確にし、リスクガバナンスメカニズムを強化し、違法コストを引き上げることにある。

実務面では、医薬品企業は上市許可保有者の責任の履行、委託生産監督メカニズム、ネット販売コンプライアンス体制、および上市後リスク管理体制の構築に重点的に注力しなければならない。制度の整備とプロセスの最適化を通じて、コンプライアンス管理を日常業務に組み込むことで、厳格な規制環境における持続的発展を実現できる。

(作者:北京市中倫(上海)法律事務所 邱靖弁護士)

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