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戸籍取得を条件として服務期間と違約金を約定することに関する実務の考察

中国ビジネスレポート 法務
董 紅軍

董 紅軍

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2023年12月27日

上海、北京など一線都市の戸籍は住宅購入や教育などの政策と密接に関係しており、多くの使用者が優秀な人材を惹きつけるため、募集の際に戸籍定員枠の提供を承諾し又は戸籍取得への協力に同意している。労働者が戸籍を取得した後で離職することを防ぐため、使用者は通常、労働者と戸籍取得服務期間の協議書を締結し、労働者が戸籍を取得した後に使用者において一定期間は就業しなければならないことを約定し、かつ相応の違約金を設定することになる。

既存の法政策の枠組みの下で、使用者は戸籍取得を条件として労働者と服務期間及び違約金を約定することができるのか、またその約定は司法機関から支持されるのかについて、本文では上海、北京地区を例として、立法や司法実践等の方面から前述の問題について分析する。

(一)立法政策上の基準

1.全国共通規定

服務期間及び違約金について、「中華人民共和国労働契約法」(「労働契約法」)は次のように定めている。

第二十二条

使用者が労働者のために個別の研修費用を提供し、労働者に専門性の高い技術研修を受けさせた場合、その労働者と協議書を締結し、服務期間を約定することができる。労働者が服務期間の約定に違反した場合、約定に基づき使用者に対し違約金を支払わなければならない。

第二十三条

使用者は労働者と労働契約の中で使用者の商業秘密の保守及び知的財産権に関わる秘密保持事項を約定することができる。秘密保持義務を負う労働者に対し、使用者は労働契約又は秘密保持契約の中で競業制限に関する条項を約定することができ、また労働契約を解除し又は終了させた後、競業制限期間において月毎に労働者に経済補償を与える旨を約定することができる。労働者は競業制限に関する約定に違反した場合、約定に基づき使用者に違約金を支払わなければならない。

第二十五条

本法の第二十二条、第二十三条に定める状況のほか、使用者は、労働者と労働者が違約金を負うことを約定してはならない。

以上からわかるように、国家レベルでは、使用者は労働者と研修服務期間及び競業制限についてだけ違約金を約定することができる。服務期間については、「労働契約法」では、使用者が労働者に個別研修を提供した場合にのみ、双方は服務期間を約定することができると定めており、その他の状況下では服務期間を約定することができるのかどうか又は服務期間の約定が有効かどうかなどについては、明確に定められているわけではない。

2.上海地区

「労働紛争案件審理の若干事項に関する上海市高級人民法院による解答」(以下「解答」という。滬高法民一(2006)17号)第7条では、「当事者が書面契約を通じて、登用する人材のために上海市戸籍の手続きを行うことを特別な待遇とすることを明確にし、かつそれに基づいて服務期間と違約責任を設定する場合、労働紛争処理機構はそれを認めることができる。服務期間と違約金の額は合理的に確定されなければならず、審理中、設置された服務期間と違約金の額が合理的ではないことを発見した場合、当事者の具体的な違約原因と違約の度合いに基づいて適宜調整することができる」と定めている。

上記「解答」によると、上海地区では、使用者が登用する人材のために上海市戸籍の手続きを行うことを特別待遇とする場合、服務期間と違約責任(違約金)を設置することができることがわかる。ただし注意すべきこととして、この「解答」は上海市高級人民法院が2006年に発表した地方の司法意見であり、それは「労働契約法」の施行日よりも早く、実務上、この「解答」第七条の規定がまだ有効であるかどうかについては、大きな疑問点が存在する。

3.北京地区

「北京市高級人民法院、北京市労働紛争仲裁委員会による労働紛争案件の法律適用問題検討会会議紀要」(「会議紀要」、2009年8月17日発布)第33条では、「使用者はその採用した労働者のために本市戸籍の手続きを行い、双方がそれをもとに服務期間と違約金を約定し、使用者が双方の約定に依拠して労働者に違約金を支払うよう求める場合、支持してはならない。労働者が信義誠実の原則に違反し、使用者に損失を与えたことが確かである場合は、労働者は賠償しなければならない」と定めている。

当該「会議紀要」によると、北京地区では、戸籍取得についての双方の服務期間と違約金の設置条項を無効と認定する傾向にあるが、信義誠実の原則に基づき、もしも労働者が使用者に損失を与えた場合は、これを賠償しなければならないとしていることがわかる。

(二)司法実践

上海及び北京地区の直近5の司法判例を検索してみると、戸籍取得を条件として労働者と服務期間及び違約金を約定する条項の効力の問題について、おおむね以下の見方が存在する。①約定を無効と認定し、違約金は支持しないが、信義誠実の原則に基づき、損失賠償は支持する。②約定を無効と認定し、違約金も賠償も支持しない。③約定を有効と認定し、違約金を支持する。そのうち、①の見方が最も主流であり、以下具体的に分析する。

1.上海地区

①約定を無効と認定し、違約金は支持しないが、信義誠実の原則に基づき、損失賠償は支持する(主流の見方)。

■(2021012227

従業員Lと使用者S社は、従業員Lの戸籍取得申告が成功した場合、材料提出日(2019年7月22日)から3年間は従業員はS社との労働関係を自ら解除しないものとし、もしも契約に違反した場合は、S社に対し人民元30,000元を違約金として支払う必要があると約定した。その後、従業員Lは戸籍取得に成功し、また2019年12月5日に退職した。

本案件において、一審法院【(2020)滬0115民初48066号】は、約定が有効であるかどうか、従業員が賠償をするかどうかについて、同法院の認識を更に詳細に以下のとおり解説している。

1)従業員LはS社の損失を賠償するべきかどうかについて。同院の認識としては、従業員LはS社が自己のために戸籍取得手続きを行い、上海市戸籍を取得したことで利益を得ており、S社は従業員Lのために戸籍取得手続きを行うことで諸々のコストを予定外に支出している。また、従業員Lが上海戸籍を取得した後、「戸籍取得協議書」の約定に違反してすぐさま退職する行為は、S社の後続の人材募集と人事管理にも悪影響をもたらしており、よって、従業員Lは相応の損失を賠償しなければならない。本案件での現存の証拠と双方当事者の陳述を総合し、さらに当事者の違約事実、損害結果などの各種要素を踏まえ、同院は従業員LS社に損失金額12,000元を賠償するよう適宜判断した。

2)従業員Lは被告であるS社に対し違約金を支払わなければならないかどうかについて。同院の認識では、双方は労働契約の関係にある。使用者は労働者が服務期間の約定又は競業制限の約定に違反した場合にのみ労働者に対し違約金を主張できるため、従業員Lは明らかに違約してはいるが、違約金を適用する法定状況には該当せず、従業員Lは違約金を支払うべきではない。

二審法院は、労働契約及びそれに付随する協議書の締結と履行について、使用者と労働者の双方は信義誠実の原則を堅持しなければならず、一審法院の判決は不当とは言えないと判断している。

■(2018民申2598

2016年5月23日、従業員ZはM社に申請書と承諾書を提出し、M社に上海での戸籍取得手続きの協力を要請し、かつM社と5年間の「労働契約」を締結し、その承諾書と労働契約の期間内において、本人が「就業協定書」、「労働契約書」の解除を自ら要請し、又は本人が会社の規則制度に違反して会社から除名された場合、「期間が満了していない年数×1年あたり2万元」の基準で違約金を支払い、1年未満は1年として計算することを書面で承諾した。その後、従業員Zは戸籍取得に成功し、かつ2017年10月20日に退職した。

本案件件において、再審法院は二審法院の判断を支持し、従業員Zの行為は承諾を守らず、誠実さに欠ける典型的な行為であり、現代社会で普遍的に守られている信義誠実の原則に違反するものであり、たとえ従業員Zが承諾した5年の服務期間が法律規定に違反して無効であると確認されたとしても、従業員Zは自らの過ちによりもたらされたM社の損失は賠償すべきであり、その負担すべき具体的な賠償金額については、従業員Zが「承諾書」の中で自ら定めた基準を踏まえて適宜確定することができるものと認定した。

■その他

(2022)滬01民終10327号、(2022)滬0115民初17588号、(2021)滬0115民初106396号、(2021)滬0115民初106397号、(2021)滬0115民初106398号、(2019)滬0115民初35927号、(2019)滬0116民初6092号などの判例も上記の見方を支持するものである。

②約定を無効と認定し、違約金は支持せず、いかなる賠償も支持しない(少数だが存在する見方)

■(20200112民初14721

本案件において、法院の認識では、D社は本件が契約紛争に属すると堅持しており、同社は「就業協議書(2018)XXXXの補充協議」の約定に依拠して従業員Wに対し違約金を主張している。当該協議書では、D社が従業員Wのために上海市戸籍の申請手続きを行うことに同意し、従業員WはD社で必ず3年間勤務しなければならないことが約定されている。この協議書は名目上は就業協議書の補充協議とされているが、実際は使用者と労働者が締結した双方の労働契約期間、労働権利義務に関する約定であり、労働契約の範疇に該当し、「中華人民共和国労働契約法」の規定が適用されなければならない。「中華人民共和国労働契約法」の規定によると、服務期間の約定違反及び競業制限約定に違反した場合を除き、使用者は労働者と労働者が違約金を負担することを約定してはならない。そのため、双方が締結した補充協議書は法律の強制的な規定に違反し、無効である。よって、D社が従業員Wに対し違約金として30,000元を支払うよう求める訴訟請求について、同院は支持しない。

■その他

(2019)滬0117民初19953号、(2018)滬0112民初22681号などの判例も上記の見方を支持するものである。

③約定を有効と認定し、違約金を支持する(ほぼ存在しない見方)

上海での直近5年間の判例の中で、この見方を支持する判例は極めて少ない。例えば、(2018)滬0106民初42555号案件において、法院は、上海市戸籍の中に含まれる目に見えない価値は客観的に存在すると認識している。そのような状況の下で、従業員Zが上海市戸籍の手続きを行うためS社に承諾書を提出し、服務期間及び違約金を承諾し、S社はこれを認め、受け入れており、その約定は双方の真実の意思であり、その内容は法律法規の強制的な規定に違反せず、かつ服務期間の期限及び違約金の基準も明らかに不当な箇所もなく、有効であるものと判断している。そのような中で、従業員Zは約定した服務期間が満了しないまま自ら退職し、双方の約定に違反しており、相応の違約責任を負わなければならない。よって、S社が従業員Zに違約金を支払うよう求める訴訟請求は法的根拠があり、同院はこれを支持するとしている。

2.北京地区

①約定は無効であると認定し、違約金は支持しないが、信義誠実の原則に基づき、損失賠償を支持する(主流の見方)。

■(2022)京03民終142号例

2016年6月21日、従業員Zは使用者A社と協議書を締結し、A社が従業員Zのために戸籍取得の手続きを完了させた日から、従業員Zは必ずA社で5年以上就労しなければならず、もしも従業員Zが満5年就労という約定に違反した場合、従業員ZはA社に対し10万元の違約金を賠償しなければならないと約定した。2017年8月22日、A社は従業員Zのための北京市戸籍取得手続きを終えた。2021年3月16日、従業員Zは正式に退職(自主退職)した。

二審法院の判断としては、A社と従業員Zが約定した服務期間の性質は明らかに「労働契約法」第22条、第23条で定める状況に該当せず、A社と従業員Zが「協議書」中で約定した10万元の違約金は、法律の強制的な規定に違反することから無効となるが、労働者が信義誠実の原則に違反し、使用者に損失を与えたのが確かであるならば、労働者はこれを賠償しなければならない。

■その他

(2021)京02民終16325号、(2021)京03民終14432号、(2021)京01民終9631号、(2021)京02民終10867号などの判例も上記の見方を支持するものである。

②約定は無効であると認定し、違約金は支持せず、いかなる賠償も支持しない(ほぼ存在しない見方)

北京の直近5年間の判例の中で、この見方を支持する例は少ない。例えば、(2021)京01民終11216号案においては、法院は、使用者が労働者のために戸籍取得手続きを行うこと及び労働者の労働期限は「中華人民共和国労働契約法」第二十二条に規定される労働者に対する専門性の高い技術研修及び第二十三条に規定された秘密保持義務、就業制限に該当しないため、使用者と労働者はこれについて違約金を約定してはならないとしている。案件の中で、使用者Z社は従業員Xと「戸籍取得協議書」を締結し、従業員Xが協議書に違反した場合、Z社に対し一定の服務費用を支払わなければならないと約定しており、その服務費用とは、従業員Xが約定した期限通りに労働契約を履行なかった場合の違約金である。よって、「戸籍取得協議書」は「中華人民共和国労働契約法」第二十五条の強制的規定に違反していることから無効となり、Z社の従業員Xに対し服務費用の支払いを求める訴訟請求は法的根拠がない。

③約定は有効であると認定し、違約金を支持する(少数だが存在する見方)

■(2021)京02民終14844号

従業員Kは2018年7月13日にA社に入社し、双方は期間を2018年7月13日から2023年7月12日までとする有期労働契約を締結した。双方は「補充約定」を締結し、A社が従業員Kのために北京への戸籍取得手続きを行い、かつ北京入居受入状を成功裏に取得した場合、従業員Kは少なくとも5年間(最低服務期間であり、開始日は労働契約と同じ)は勤務しなければならないとし、従業員Kが最低服務期間内にいかなる理由であれ退職した場合、A社に対し違約金500,000元を支払わなければならないと約定していた。その後、従業員Kは2020年11月13日に退職した。

二審法院の認識によれば、双方は契約を締結した際に約定した内容及び相応の法律結果について合理的な予測があったはずであり、かつ契約の締結は自ら選択したものであり、契約が成立した後は、双方は信義誠実の原則に従い、約定通りに相応の義務を履行しなければならない。「中華人民共和国労働契約法」の係る規定に基づき、使用者が労働者のために個別の研修費用を提供し、専門性の高い技術研修を実施する場合、当該労働者と協議書を取り交わし服務期間を約定することができる。使用者が労働者に専門性の高い技術研修と十分に対等な特別待遇を提供する場合、例えば、使用者が住宅、自動車、現金による補助、戸籍取得などの特別な待遇を提供することを通して労働者と服務期間を約定する場合、使用者と労働者との労働関係が不安定なものとなってしまうことがないよう、労働契約法第二十二条の規定を準用することができる。従業員Kが約定に違反して早期退職する行為は信義誠実の原則に違反し、しかも必然的にA社の戸籍指標の流失及び時間、労働力、資金などのコスト損失をもたらし、使用者の内部管理と人員の安定性に悪影響が生じ、相応の経済損失をもたらし、従業員Kはその違約行為についての責任を負わなければならない。協議書で約定された違約金の額、及び双方が約定した勤続年数、従業員Kの実際の勤続年数、離職原因などの情況を総合的に考慮し、一審法院が従業員KにA社への300,000元の支払いを命じたこと、その金額は合理的である。

■その他

(2021)京01民終8021号、(2021)京02民終15121号などの判例も上記の見方を支持するものである。

④その他の状況

上海地区に比べ、北京地区の戸籍取得服務期間に関する案件は更に多様化し、しかも案件数が上海地区を大幅に上回り、使用者ごとに条項の設計においても法院の支持をよりよく得られるよう司法裁判に伴って最適化の工夫がなされている。以下、その例を挙げてみる。

■(2023)京02民終5664号案件:「違約金」ではなく「賠償金」という言い回しを採用することで、法院に認められた。

2019年7月19日、N社は従業員Wと協議書を締結し、従業員Wの服務期間を10年(双方が労働契約を締結した日から計算)とし、服務期間内に従業員Wが個人の都合でN社との労働契約を一方的に解除する場合、従業員Wは賠償金として300,000元を甲に一括して払わなければならず、本条項は従業員WがN社の北京入居戸籍枠を占用した後で発効すると約定した。

法院の認識として、N社と従業員Wとの間で締結した協議書は、双方当事者の真実の意思表示であり、法律、行政法規の強制的な規定に違反しておらず、合法的かつ有効なものであり、双方はいずれも約定に依拠して履行しなければならない。契約を締結した後、N社は従業員Wのために北京市戸籍の手続きを行った。契約に約定した服務期間は10年であったが、従業員Wは3年未満で退職を申し入れ、契約の約定に違反し、信義誠実の原則に違反した。一審法院は全ての証拠と状況を総合し、従業員WがN社に賠償金180,000元を支払うとすることは不当とは言えず、同院はこれを維持するとした。

■(2023)京01民終1739号案件:「違約金」ではなく「補償金」という言い回しを採用し、法院に認められた。

2018年9月17日、従業員LはT社に「申込書」を提出し、そこでは「私は入社後、戸籍を取得した日から少なくとも5年以上はT社に勤務する意向があり、5年の服務期間中に個人の都合で退職を申し入れた場合、私はT社に補償金50万元を支払う意向がある」と約定されていたが、その後、従業員Lは戸籍を取得後に退職した。

一審法院の認識として、労働者と使用者が服務期間を約定することは法律法規の強制的な規定に違反しておらず、合法的かつ有効である。労働者が会社から特別な待遇を受けるために服務期間の承諾を行い、かつ承諾に違反して会社にもたらした損失についての自主的な補償もまた法律で禁止する状況には該当しない。二審法院は一審の意見を支持し、従業員Lによる損害賠償額を最終的に20万元とすることを適宜確認した。

(三)賠償の割合について

以上から、上海と北京の両地では、労働者が賠償責任を負うよう判決が下された事例が一定数存在しており、筆者もまたさらに統計を行い、約定された服務期間及び違約金、使用者の求償額、最終判決金額を以下に整理する。

1.上海地区

案件番号

服務期間

(約定)

違約金など

(約定)

服務期間

(履行済み)

会社側主張

最終判決

(2022)滬01民終10327号

2年

10万

0

10万

10万

(2019)滬0115民初35927号

10年

=30万×[(服務しなければならない年数×12-服務済み月数)/(服務しなければならない年数×12)]

2年

24万

10万

(2021)滬01民終2227号

3年

3万

5个月

3万

1.2万

(2019)滬0116民初6092号

10年

手続き費用20万+違約金30万(比率で換算する)

/

39.6万

15万

(2018)滬民申2598号

5年

満了していない年数×1年あたり2万元

1年

8万

4万

2.北京地区

案件番号

服務期間

(約定)

違約金など

(約定)

服務期間

(履行済み)

会社側主張

最終判決

(2022)京03民終142号案

5年

10万

3.5年

10万

2.5万

(2021)京02民終16325号

6年

満了していない年数×1年あたり2万元

1.5年

9.2万

4万

(2022)京02民終1954号

5年

30万

0.5年

27万

8万

(2021)京01民終9631号

5年

30万(20%逓減)

2年

18万

6万

(2021)京02民終10867号

5年

服務年数が1年以上2年未満の場合、違約金が24万元である

1.5年

24万+30万

24万

上記の集計から、約定した違約金が高ければ高いほど、裁判所が最終的に支持した賠償額も高いことがわかる。多くの裁判所は違約金の効力を認めてはいないが、裁判所は最終的に賠償額を確定する際に、双方が約定した服務期間、従業員が実際に履行した服務年数、双方が約定した違約金をある程度はやはり参考にしている。

(四)実務面からの助言

以上の分析から、筆者の認識では、戸籍取得服務期間協議書は従業員の離職に対し、やはり一定の抑制作用があり、使用者は当該協議書の締結を雇用管理の一つの方法とすることができる。裁判所がこのような協議書をより認めてくれるよう、次のような手法を講じるようにするとよい。

  1. 書面の協議書を締結し又は従業員に書面の承諾書を一方的に差し入れるよう求め、そこで具体的な服務期間や賠償金の額、計算方式などを約定しておく。
  2. 「違約金」の代わりに「具体的な損失を賠償する」又は「賠償金」という言い回しを採用する。
  3. 戸籍取得に協力した後、従業員の早期退職が確実に会社に大きな影響を与えることが予想される場合には、より高い賠償金額を設置しておく。
  4. 戸籍を取得する過程で使用者がこれに支出したコストの証拠をしっかりと保存しておく。

(作者: 里兆法律事務所  董紅軍、張玉娟)

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