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医薬品の適応外使用プロモーションに関するコンプライアンス分析とアドバイス

中国ビジネスレポート 法務
邱靖

邱靖

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2024年1月12日

はじめに

医薬品の適応外使用(Off-label use、オフラベルユースともいう )とプロモーションは、医療分野において、非常に注目されている問題である。医師や製薬会社など多くの面に関わり、医療・製薬業界におけるコンプライアンスの課題となっている。

本文

Q1: 医薬品の適応外使用とは何か?

A1: 医薬品の適応外使用とは、医師が臨床において、所在地の管轄当局によって承認されていない疾患または症状に対して、ある医薬品を使用することを指す。特定の適応症が国外で承認され、中国国内で承認されていないが、中国国内でその医薬品を当該適応症に使用することは、適応外使用に該当することに注意を払わなければならない。

このような行為は医療の現場では珍しいことではなく、医師はより良い有効性を見出すために様々な治療法を試すことがある。医薬品の適応外使用のリスクは、医薬品が厳密な承認プロセスを経ずに使用されることで、患者に不確実性や潜在的なリスクをもたらす可能性がある点にある。

Q2: どのような製品に適応外使用プロモーションとなりやすいのか?

A2: 特定の疾患治療分野では、患者の状態が複雑で多様であるため、医師はさまざまな治療法を試す必要があることが多く、腫瘍や神経科など、適応外使用に該当する可能性がある。

また、医療美容の分野では、よく見られる医療用の注射毒性医薬品などの製品は、適応症が限定的で、実際の適用では適応外使用となるケースも少なくない。

多くの適応外使用の医薬品がある細分業界の製薬企業にとっては、実際の運用において存在する可能性がある医薬品の適応外使用プロモーションを特に注意を払わなければならない。

Q3: 医師は医薬品を適応外使用することができるのか?

A3: 医師は、特定の条件を満たせば、医薬品を適応外使用することができる。

原則として、医師は医薬品の説明文書に従って医薬品を使用しなければならないが、臨床において、一部の治療ガイドラインでは承認された適応症以外の医薬品の使用方法、および医者による医薬品の使用方法や用量などについて専門的な判断を持っていることが打ち出されている。2021年に公布された「医師法」第29条では、医師による医薬品の適応外使用に関する表現が新たに追加され、医者が特別な状況下での医薬品の適応外使用に法的な支援と保護が提供されている。即ち、有効な治療方法がない、またはより良い治療法がないなどの特別な状況下で、医師は、患者の明確なインフォームド・コンセントを得た上で、医薬品の説明文書に明記されていないが、エビデンスに基づく医薬品の使用方法で治療を行うことができる。

もちろん、一部の適応外使用の医薬品の有効性や安全性は十分に検証されず、未知のリスクがあり、紛争を引き起こす可能性がある。そのため、医薬品の適応外使用は、科学的根拠に基づく必要がある。

Q4: 製薬会社は適応外使用プロモーションを行うことができるのか。

A4:できません。

「広告法」の規定により、医薬品の広告内容は、国務院の医薬品監督管理部門が承認した説明文書と矛盾してはならない。したがって、製薬企業は薬品の適応症の範囲を勝手に拡大してはならず、規定に違反するプロモーション行為は行政処分を受ける可能性がある。行政法的責任には、広告の掲載停止、影響の消除、高額の罰金、さらには営業許可の取り消しなどを含む。

医薬品の広告については、製薬会社は厳格な規定を遵守し、広告審査機関の審査承認を受けた後にのみ広告を掲載することができる。

Q5: 製薬企業と医療従事者との学術交流の場において、承認された適応症を超える内容について議論することは可能なのか?

A5: コンプライアンス上のリスクを回避するため、学術交流の場における適応外使用プロモーションを控えることを推奨する。しかし、一部の学術交流の場では、他国で承認された適応症の紹介、または国際的な臨床治療経験の交流など、適応外使用プロモーションが必要な場合があることは理解している。中国医薬業界の規範を参照すると、中国外商投資企業協会の医薬品研究・製造と開発業界委員会(RDPAC)の「業界行動基準」では、中国の医薬品主管部門の許可を得る前に医薬品のプロモーション活動を行ってはならないと明確にされているが、当該規定は科学界や一般公衆が科学的・医学的発展について情報を得る権利を制限するものではなく、企業は医薬品の科学的情報について十分かつ適切に交流することができる。

適応外使用に関する科学的情報の交流が確実に必要な場合、製薬企業は、適応外使用に関するプロモーション資料の応用シナリオと承認プロセスを厳格に管理することを推奨する。例えば、ハイスペックな専門学術会議でのみ許可し、自社主催の会議や部門会議などの企業が主導する会議での適応外使用プロモーションを避けること、関連内容は企業の医学部や法務部など関連部門の承認を得なければならないこと、学術交流の情報が科学的事実に基づいていることを保証するために、現場での交流は医学専門家によって、または医学専門家の監督の下で行わなければならない。

ただし、注意しなければならないのは、医薬情報担当者と医療従事者との日常交流に関しては、法律法規や業界規範で禁止されている適応外使用プロモーション行為に該当すると考えられる。医薬情報担当者のプロモーション内容は、製薬会社の製品、科学的交流または医学教育に重点を置くべきであり、適応外使用プロモーションの内容を含まれてはならない。製薬会社は、厳格な社内コンプライアンス制度を確立し、医薬情報担当者に対してコンプライアンス研修を実施しなければならない。真実・客観的・正確な情報伝達に注意を払い、医薬品の効果を誇張したり、適応症の範囲を拡大したりすることを避けなければならない。

終わりに

結論として、医薬品の適応外使用は、すべての関係者の共通の関心が必要な問題である。製薬企業のプロモーションと実践においては、患者の権益と医療の安全を保証するために、法規と倫理準則を厳格に厳守しなければならない。規制と規範を強化することは、医療および製薬業界の誠実性と患者からの信頼を維持するために極めて重要である。

(作者:北京市中倫(上海)法律事務所 邱靖弁護士)

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