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ログイン2024年2月19日
はじめに
中国化粧品業界の急速な発展と熾烈な市場競争の下で、企業は競争力と知名度を向上させるため、化粧品の広告宣伝とプロモーションにますます注目し、そのなかで、多くの企業がコンプライアンス違反の化粧品広告で処罰を受けている。本稿の目的は、化粧品業界の広告を取り巻き、法律規定および実務上の代表的な化粧品広告のコンプライアンスリスクについて整理し、化粧品企業および従事者が法執行の形勢および動向をよりよく理解できるように、企業が内部審査を行う際のコンプライアンス上のポイントをまとめることである。
本文
Q1: 化粧品広告はどのような法規制を受けているのか?
A1: 化粧品広告には、多くの規制を遵守する必要があり、以下を含むがこれらに限らない。
(1)「広告法」、「不正競争防止法」、「広告管理条例」、「インターネット広告管理弁法」、「ラジオ・テレビ広告放送管理弁法」などの広告宣伝分野の基本規範
(2)「化粧品監督管理条例」、「化粧品の効能表示に関する評価規範」、「化粧品分類規則と分類目録」などの化粧品業界の基本法律法規における広告規制要件
(3)「化粧品ネットワーク経営監督管理弁法」などの化粧品のネット販売に関連する規範
Q2: 化粧品広告の代表的なコンプライアンスリスクは何か?
A2: Q1で述べた規制は化粧品広告に対して、一連のコンプライアンス要件を打ち出し、そのコンプライアンスポイントの一部を以下の通り列挙する。
(1)絶対的用語の使用
「広告法」第9条第3項により、広告において「国家級」、「最高級」、「最良」などの用語を使用してはならず、当該規定は、実務上の絶対的用語の違法使用の法執行の根拠となるものであり、市場監督管理総局が公布した「広告絶対的用語に関する法執行ガイドライン」が、絶対的用語の使用に関するさらなるガイダンスを提供している。
絶対的用語の判断については、過去の事例から、一般的に以下の用語が絶対的用語と判断される:最前線、唯一の専門、最先端技術、最大規模、最強実力、国家級重点、第一ブランド、最大の生産規模、最も人気、最も効果的、最も安全、トップモデルなど。例外として、絶対的用語は、商品事業者が販売する商品を指し示すものではない場合、または商品事業者が販売する商品を指し示すものではあるが、消費者に誤解を与えたり、または他の事業者を低く評価したりする客観的な結果をもたらさない場合には、絶対的用語と判断されない。
(2)疾病の治療または医療用語の使用に関する違法な広告表示
「広告法」第17条は、医療、医薬品、医療機器の広告を除き、疾病の治療機能に関わる広告をすべて禁止し、医療用語またはプロモーションの商品を医薬品や医療機器と混同させやすい用語を使用してはならないと定めている。また、「化粧品監督管理条例」第43条では、化粧品広告について、明示的または暗示的に医療効果があることを記載したり、虚偽または誤解を招く内容を記載したり、消費者を欺いたり誤解を与えたりしてはならないと定めている。
実務上、以下の用語は医療用語として認識されることが多い。
●医療用語:薬用化粧品、処方箋、薬方、薬用、薬品、漢方、医療、治療、注射、治療、妊娠線、各種皮膚病名、各種疾病名など。
●明示的または暗示的に医療効果と効能がある用語:抗菌、抑菌(細菌の発生・生育・増殖などを抑制すること、抗菌と似た意味)、除菌、滅菌(細菌を消滅すること)、防菌(細菌の発生・生育・増殖などを防止すること)、消炎、抗炎症、活血(血行を良くすること)、解毒、抗アレルギー、アレルギー防止、アレルギー過敏を解消する、多種なシミを消す、シミなし、傷跡除去、毛髪再生、抜け毛防止、ダイエット、脂肪溶解、脂肪吸引、痩身、顔痩せ、脚瘦せなど。
(3)虚偽宣伝
虚偽宣伝とは、虚偽または誤解を招くような内容で消費者を欺いたり誤解を与えたりすることをいい、化粧品広告において、以下のような違反行為が多い。
●特別な効能表示を伴う一般化粧品の広告
一般化粧品は、特別な効能を広告宣伝してはならない。「美白」、「シミ取り」、「日焼け防止」、「抜け毛防止」などの特別効能を伴う化粧品を表示する際には、国家食品薬品監督管理局が発行した特別用途化粧品批准号を備えなければならない。
●原料と表示が一致しない
通常、効能の低い原料を配合した化粧品に、それに見合う効能がない「概念的な添加」行為と、商品名で特定の原料が配合されていることを仄めかすが、実際には添加されていない行為の2つの状況がある。
●架空の賞または特許情報
通常、「●●賞」、「●●栄誉称号」、「●●特許」などを獲得したと化粧品であると宣伝するが、関係賞、称号、特許に実際に調べられる情報がない、または製品にそのような賞、称号、特許がそもそもない。
(4)競合他社を低く評価する
「広告法」第13条は、広告はその他の生産事業者の商品またはサービスを低く評価してはならないと定めている。「不正競争防止法」第11条は、事業者は虚偽の情報または誤解を招く情報を捏造・流布し、競合他社の商業上の信用や製品の評判を損害してはならないと定めている。化粧品広告において、企業は自社製品の優位性を強調するために、自社製品を類似製品と比較したり、またはその他の生産事業者の製品を一つまたは複数選択してそれらと比較したりすることがよくある。この場合、一旦事業者が証明されていない事実を一方的かつ歪曲して外部に流布し、一般者または消費者に誤解をもたらし、競合他社の信用を損害した場合、不正競争に該当する可能性がある。
Q3: 化粧品の効能表示に注意を払わなければならない点は何か?
A3: 化粧品の広告宣伝は、化粧品の登録または届出時に表示された効能に基づいて行わなければならず、一般化粧品と特殊化粧品の効能表示を区別し、相応な科学的根拠に裏付けられたものでなければならない。
(1)一般化粧品と特殊化粧品の正当な効能表示の区別
「化粧品監督管理条例」および「化粧品分類規則と分類目録」により、化粧品は一般化粧品と特殊化粧品に分類される。一般化粧品は届出制で、特殊化粧品は登録制でそれぞれ管理される。一般化粧品と特殊化粧品の正当な効能表示は、下表の通りである。
一般化粧品と特殊化粧品の正当な効能表示 |
|
特殊化粧品 |
● 髪染め、パーマ、シミ取り・美白、日焼け防止、抜け毛防止 ● 新たな効果 |
一般化粧品 |
● ニキビ除去、栄養補給、修復、クレンジング、メーク落とし、保湿、美容化粧品、芳香、消臭、シワ防止、引き締め、鎮静、オイルコントロール、角質除去、爽身(皮膚の爽やかさまたは清涼感があること)、ヘアケア、切れ毛防止、フケ取り、ヘアカラーのケア、除毛、シェービング補助 |
(2)化粧品の効能表示は、科学的根拠に裏付けられなければならない
「化粧品の効能表示に関する評価規範」において、化粧品の効能表示には十分な科学的根拠が必要であり、効能表示の根拠には、文献や研究データ、または化粧品の効能表示に関する評価試験結果などが含まれることが要求され、各種の効果表示に必要な科学的根拠は、以下の通りまとめる。
化粧品が表示される効能 |
必要な科学的根拠 |
シミ取り・美白、日焼け止め、抜け毛防止、ニキビ除去、栄養補給、修復 |
ヒト効能評価試験 |
シワ防止、引き締め、鎮静、オイルコントロール、角質除去、切れ毛防止、フケ取り、マイルド表示(無刺激)、定量的指標表示(時間、統計データなど) |
文献または研究データ+ヒト効能評価試験/消費者使用試験/ラボ試験 |
保湿、ヘアケア、成分の効能表示 |
文献調査/研究データ分析/ヒト効能評価試験/消費者使用試験/ラボ試験 |
特定表示(敏感肌用の表示、弱酸性処方) |
ヒト効能評価試験/消費者使用試験 |
視覚、嗅覚などの感覚により直接識別できるもの(例えば、クレンジング、メイク落とし、美容化粧品、芳香、爽身(皮膚の爽やかさまたは清涼感があること)、髪染め、パーマ、ヘアカラーのケア、除毛、消臭とシェービング補助など)、または簡単な物理的被覆、付着、摩擦などにより効果が生じるもの(例えば、シミ取り・美白のための物理的被覆、物理的角質除去、物理的黒ずみ除去など)、物理的作用のみある効果表示をラベルに明記されているもの。 |
効能表示の根拠は必要ない |
Q4: コンプライアンスリスクを低減するために、企業はどのような観点から化粧品広告に対するチェックを行えばよいのか。
A4: 化粧品広告のコンプライアンスを確保するために、企業は自社のコンプライアンス内部統制をしっかり行い、企業ウェブサイト、オンラインショップ、微信公衆号(WeChat公式アカウント)、微博(Weibo)などのよくある広告媒体やパンフレット、社内研修資料などの広報宣伝資料に注目し、以下の方面からチェックを行うことができる。
(1)化粧品の効能に対するチェック:医療用語が含まれているのか、宣伝内容が製品実際の効能や成分と一致しているのか、受賞や特許がある場合はそれらが本当に存在しているのか(特に特許いついては、特許番号を製品パッケージおよび広告に明記しなければならない)などを特に注意を払う。
(2)化粧品広告に対するチェック:広告において、絶対的用語が含まれているのか、広告の内容が公序良俗に反しているのか、および競合他社の悪口を言うなどがあるのかのチェックを行う。
(3)化粧品のパッケージに対するチェック:パッケージが同種類の有名な商品の装飾と類似しているのか、他人の商標、ロゴ、姓名、名称または類似のデザイン、名称の使用があるのかなどのチェックを行う。
(4)化粧品マーケティングプランに対するチェック:賞品付き販売という違法な行為があるのかに注目する。
Q5: 化粧品広告の規制の現状および今後の動向は?
A5: 化粧品業界は広告違法で取り締まれることが多く、近年、化粧品業界の規制も段々厳しくなっている。法律の面において、「化粧品監督管理条例」、「化粧品の効能表示に関する評価規範」、「化粧品分類規則と分類目録」、「化粧品ネットワーク経営監督管理弁法」などが相次いで打ち出され、法執行の面において、ロレアル、エスティローダー、シャネルなど多くの化粧品大手企業が違法な化粧品広告で監督管理部門から処罰され、そのうち、エスティローダーは虚偽宣伝や製品の効能誇大で200万人民元を超えた高額の罰金を科せられた。化粧品広告に対する専門的な法規制の集中的な打ち出し、および実務上の規制の強度の高まりにより、化粧品に関する法律が整え、標準化、透明化、高品質は化粧品広告規制の将来の発展傾向になることは間違いない。
終わりに
化粧品広告のコンプライアンスは、企業による広告の正確性と真実性の確保や、消費者に誤解を与えたり、消費に関わる紛争を引き起こしたりすることを避け、法的リスクや処罰を避けることに役立ち、企業にとって良いイメージと評判を築き、ブランドロイヤリティと市場競争力を向上させ、社会的責任感を示すのに有益である。化粧品業界がますます発展する今日において、企業の長期的な発展を保障するためには、規制動向を遵守し、広告コンプライアンスを強化することが重要である。
(作者:北京市中倫(上海)法律事務所 邱靖弁護士)
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