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ログイン2012年10月30日
内需縮小の一途を辿る日本。中国を中心とした新興国の著しい成長を目の前に、多くの日本企業が外需獲得を叫ぶようになった。永続的な成長が求められる上場企業は、必ずと言って良いほど「アジア戦略」をIRでうたう。しかし、全ての企業に綿密なマーケット調査から成るアジア戦略があるようには思えない。
既に、中国に多くの拠点を持っており、酸いも甘いもある程度経験しているような大手消費財メーカーなどは、比較的確りとしたマーケット調査を行うようになった。弊社のケースで言えば、クライアントとなる大手企業の調査予算は、前年比で約3.4倍にもなっている。予算は確実に国内から海外へ移行している。
一方で、そうでない企業もまだまだ多い。確りとしたマーケット調査を行わずして進出するパターンだ。特に非製造業にはその傾向が強い。これから期待が高まるサービス産業は要注意だ。上場企業であっても、事前の準備は社内の若手数名の中国準備室が纏めたお粗末なレポートと数回の視察を経て得た社長や役員の直感だけで進出という大きな判断を行っている。
色々な社長様とお話をしていると、「今の時代、中国へ進出しないことこそがリスクだ!!とにかく出る!!」と意気込む方が少なくない。今後の内需を思えば、外需に頼らざるを得ないのは理解できる。また、IR上も外需獲得は重要なキーワードだ。しかし、新興国市場はそんなに甘い市場ではない。特に中国は、世界一の成長市場であり、世界中の企業が狙っている。当然ながら、市場が魅力的であれば、それだけ競合も多い。中国へ「進出しないこと」はリスクではなく、とにかく出てしまうことこそがリスクなのだ。調査予算など、数百万円の世界であるが、一度法人を出せば、直ぐに億の投資になってしまう。
また、信じられないが、「なんとかなるでしょ?」的な発言が多いことだ。私は必ず「いいえ、なんとかなりませんよ。」と答える。ムッとされるのだが、事実、どの業界においても、日本企業が中国で胸を張れるシェアを獲得できているケースは少ない。中途半端なマーケット調査でなんとかならないのが新興国市場であり、中国市場である。
次に怖いのは、「Made inJapan」は売れるという思い込みだ。確かにアドバンテージは存在するが、必ずしもそれだけでは売れない。このアドバンテージが使えるのは、業界、業種、またカテゴリーによって異なる。その見極めが重要だ。
また、「日本と同じビジネスモデルの輸出」にも気を付ける必要がある。中にはビジネスモデルの若干の現地化で上手くいくケースもあるが、非製造業の場合、多くはビジネスモデルを大きく変える必要が出てくる。変える必要があるのか否か。変えるとすればどこをどう変えるのか。その見極めが重要となる。
そして最後は、人脈への過度な期待だ。日中間のビジネスで本物の人脈を持っている人物などほんの一握りである。また、人脈とは、戦略が有って初めてその効果を発揮するものであり、戦略無くして人脈の効果は得られない。
結論として言えることは、これら全ての間違った思い込みは、事前のマーケット調査で解決できるということだ。市場が分れば戦略が立つ、戦略が立てば人脈が活きる。中国内需獲得のスタートラインとは、綿密なマーケット調査なのである。
(2010年7月執筆)
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