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残業代認識事例の解析

中国ビジネスレポート 労務・人材
王 倩

王 倩

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2012年12月5日

Q:出勤記録は残業の証拠になりますか。

事例一
彭さんはある会社の書類管理員であり、出勤の記録を担当していた。2011年に会社を退職した後、彭さんは残業代を請求し、労働紛争仲裁委員会に仲裁の申し立をした。その証拠として、彭さんは出勤状況記録表および出勤統計表を提出した。それらの書類によれば、在職期間中彭さんは合計3509時間の残業をした。平均月給5000元に基づき、19万元余りの残業代の他、補償金4.9万元が請求された。出勤記録の真実性を否定する証拠を提供できないうえ、会社の就業規則にも残業申請についての規定が設けられていないため、裁判官の調停で、会社が残業代、経済補償金など10万元を一回で支払うとの和解案にいたった。

『最高人民法院による労働紛争案件審査の法律適用についての問題解釈』第十三条には、「使用者による解雇、除名、辞退、労働契約解除、労働報酬の引き下げ、労働者の勤務年数の計算などに起因する労働紛争は使用者に証拠提示義務がある。」と規定されている。

上述の事項を除き、当事者は自分の主張に関する証拠を提出しなければならない。よって、労働者が残業したと主張した際、残業を裏付ける証拠を提出するか、あるいは使用者が残業の証拠を保有しているが提出を拒否したことを証明出来るものを提出する必要がある。事例一のように、彭さんは出勤記録を通じ、残業の事実を証明した。会社がそれを否定する場合、関連の証拠を提出できない限り、それによって生じる不利益を会社側が負担することとなる。

また、出勤記録で残業を証明する場合、仲裁または裁判所は使用者の就業規則について審査を行う。残業許可制度の存否がキーポイントとなる。『労働法』第四十一条の規定では、使用者が労働者の勤務時間を延長させる場合、二重の協議プロセスを経て、組合および労働者本人の同意を得てからはじめて残業が可能となる。残業に手続き的制限があることから、残業は労使双方の合意であるといえる。企業が労働させ、労働者が同意する、もしくは労働者が申請を出し、企業が同意するかの二通りである。ここから分かるように、残業許可制度が確立されていると見て取れる。もし、就業規則または労働契約に残業するための審査許可が必要だと約定した場合、労働者が残業を主張したが、出勤記録以外、残業が許可されたとの事実を証明できないなら、労働者側の主張が認められないのが一般的である。

実際、出勤記録の他、同僚の証言、仕事記録、メールなど証拠として利用することもできる。しかし、残業許可制度がある場合、上記の証拠だけで残業事実を主張することは、とても難しい。使用者は残業許可制度の確立によって、労働者に対して不必要な残業や、退勤後の仕事以外の原因で社内に意味も無く留まることを注意し、控えさせる。

当番か残業か

事例二
2011年国慶節連休中に、ある会社従業員に休日当番をさせ、一日あたり100元の当番手当を支払った。ちゃんと休めなかったのに、基準給与三倍分の法定残業代を支払ってくれないことに従業員達は納得できなかった。

会社のやり方が合法であるかどうかを判断するためには、当番と残業の区別をつけなければならない。当番に関する国の規定がないものの、実務上、安全、消防、休日などの需要から、臨時的にあるいは社内規則に基づき労働者の本職と関係ない仕事か、あるいは労働者の本職と関係しているが、仕事中休憩を取ることができる非生産的な門番、電話当番など事務的な仕事がそれに該当する。

事例二に、休日当番の従業員が会社の警備員、門番である場合、本職と関連するので、会社は法律に従って残業代を支払わなければならない。そうでなければ、当番手当を払うだけで済ませる。また、当番の仕事内容が比較的に簡単であり、当番手当に関する法的制限がないため、相場は残業代基準より低い。

給料表に明細がない場合、残業代を認識できるのか

事例三
ある運送会社は手間を省こうと、毎月従業員達にサインしてもらう賃金表には総額しか記載されていなかった。勤務時間が長すぎるのを理由に、ある従業員が辞表を出した。その後、当該従業員は休日休暇の残業代、夜勤手当などの支払いを請求し、仲裁を提起した。これに対し、会社はこのように解釈した。法定勤務日の基本給は最低賃金であり、毎月の賃金からこの部分を引いて残った額は残業代、夜勤手当にあたる。これは面接のときに会社の責任者が口頭で説明した。また、会社は従業員に署名された給料表と給料明細書を提供した。総額が一致したものの、明細書に従業員の署名が欠けている。

運送会社と従業員が締結した労働契約の中に、基本給が当市最低賃金との約定がない、残業代の計算基準に関し、会社の言い分が合法的と解釈できなかったため、裁判所は会社が提出した明細書を証拠として採用しなかった。その結果、運送会社が当該従業員に休日休暇の残業代、夜勤手当など合計で4200元を支払うとの判決が下った。

『労働紛争調停仲裁法』の規定によれば、給料の支払に関する書類および状況は使用者がその挙証責任を負担する。しかし、明細書に従業員のサインがないため、残業代の支払事実を証明できないことになった。この場合、賃金総額を基本給とし、労働部の『賃金支給暫定規定』にのっとり、残業代を算定する。

(一)使用者が労働者を法定時間外に労働させた場合、労働契約に所定する労働者本人時給の150%の率で計算した割増賃金を支払わなければならない。
(二)使用者が労働者を休日労働させ、代休を与えられない場合、労働契約に所定する当該労働者日給または時給の200%の率で計算した割増賃金を支払わなければならない。
(三)使用者が労働者を法定休暇日に労働させた場合、労働契約に所定する労働者の時給または日給の300%の率で計算した割増賃金を支払わなければならない。

従い、給料を支払う際、必ず労働者本人にサインしてもらわなければならない。また、労働部『賃金支給暫定規定』の関連問題の補充規定第二条によれば、法定休暇日は有給休暇であり、ここに言う300%は別途支給であり、法定休暇日の労働報酬は通常労働時間の賃金の計算額の4倍になる。

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