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ストライキ問題特集No.6:中国初の「ストライキ禁止」条項、広東省で討議中

中国ビジネスレポート 労務・人材
王 穏

王 穏

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2010年12月22日

記事概要

今もなお、中国ビジネスの現場で発生し、日系企業の頭を悩まし続けているのが労働ストライキである。このシリーズでは、日系企業がどのように労働ストに対応していけばよいのか、分析・解説していく。

No.6:中国初の「ストライキ禁止」条項、広東省で討議中

現在、大多数の企業が「中国にストライキ権が存在するのか?」と疑問を感じている。前回取り上げた事例とこれまでの仲裁をテーマとした内容ではいずれも「労働者にはストライキ権があるのかどうか」という問題に絡んでおり、実際仲裁においても「ストライキ権」を認めるか否かが裁定を行う際の重要な要素の一つとなっている。従って、「ストライキ権」は敏感な話題ではあるものの、回避することができない焦点でもある。

同問題について、「広東省企業民主管理条例」(草案)に「ストライキ禁止」について触れている。詳細は次のとおり。

労働者側が法に従い賃金集団協議を申し出ていない、又は賃金集団協議期間にある場合は、労働者は操業停止、サボタージュ又はその他過激な方法によって賃金調整を会社に要求してはならない。

協議、調整期間において、労働者側は以下の行為を行ってはならない。

暴力、脅迫等で会社の設備、道具を破壊すること、生産経営秩序を乱すこと。
公共交通機関の通行を妨害し、会社の出入り口を塞ぐ、封鎖する等の手段を取ること。
関係者の人身の自由を制限、又は侮辱、威嚇、恐喝、暴力をふるうこと。
その他協議、調整に不利となる過激な行為。

会社と労働者にとって同条例は長所、短所の両側面を備えている。

会社側
賃金集団協議制度は将来的には定着すると思われる。一定数に達した労働者(1/5以上)が賃金集団協議を求めた場合、会社は15日以内に書面の回答を出し、また賃金集団協議を行わなければならない。従って、会社としては今後知らぬふりをすることができなくなる。

協議中は、会社は労働者が会社施設に入ることを拒否、妨害してはならず、また労働者が協議に参加したことを理由に労働契約を解除してはならない。

労働者側
協議中はストライキ等の過激な手段で賃金調整を要求してはならない。

上述のように、賃金の調整は集団協議を通じて行わねばならず(つまり、労働組合や労働者代表大会を通じ決まった手続きで実施する)、これまでの事例で多く見られる労働者が好き勝手に会社に対し賃金切上げを要求する方法は違法と見なされる。または、労働者が会社の規則制度に違反し、会社が労働者を処罰した場合は道理にかなった措置となる。従って、集団協議が会社にとって解決の場になるよう臨機応変に対応することが重要である。

集団協議の手続が設置され、また同手続は会社と労働者に対して公平なものであるからには、賃金の調整要求はいずれも同手続きに沿って行う必要がある。また会社、労働者いずれの一方についても過激な行為(労働者のストライキを含む)を禁止しており、その点でも公平といえる。

以上、広東省政府で同条例が通過すれば、中国初の「賃金集団協議制度」及び「ストライキ禁止」が確立した地方立法となり、その他地方の立法及び仲裁裁決に大きな影響を与えると考える。一方、会社としては同立法においてより臨機応変、現実的対応で、ストライキの法的リスクを効果的に抑える必要がある。

現在、同条例は再度広東省立法機関で討議されている。同省人大常委会の関係者によると、同条例は年内に通過する可能性があるという。また、広東省政府は同条例を通じて賃金集団協議制度を立法化したいと考えていることから、関連する内容が条例の30%を占め、合わせて労働者がストライキを行う権利を制限している。

主執筆:王穏
執筆:毛奕、李飛鵬、呂玉崧、齋藤彰

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