こんにちわ、ゲストさん

ログイン

債権回収会社は外資企業の債権回収を有効にサポートできるのか?

中国ビジネスレポート 各業界事情
王 穏

王 穏

無料

2016年9月26日

最近、多くの外資企業が中国企業との取引で代金又はサービス費用の回収が困難となることが問題視されている。電話、メール等の手段ではもはや債務者との連絡を確保することはできず、債権者の多くが債務者のところまで回収に行かざるを得ないケースがある。しかしながら、債権者がわざわざ訪ねたところで、債務者がおとなしく支払ってくれるはずもない。そのため、一部の債権者は債権回収のため、債権回収会社にサポートしてもらう等、思いつく限りの方法を検討する。では、債権回収会社は、本当に外資企業が債権を回収できるよう有効にサポートしてくれるのだろうか。本文では、この方法につき、簡単に分析してみたので、現地法人の参考に供したい。

【実例】
外資企業A社と中国会社B社は2013年に取引を行った。A社が生産設備一式をB社に販売し、B社は分割でA社に代金を支払うというものである。B社が一回目の代金を支払った後、A社は、契約の約定に従い、生産設備をB社に発送した。しかし、B社は検収完了後も契約の約定に従い残金を支払わなかった。A社は、何度も催促したが、B社は、いろいろな理由をつけて支払い義務を履行しなかった。代金を滞納して2年後、A社はやむを得えず、債権回収会社を通じて代金を回収できないかと考え、債権回収会社であるC社と委託契約を締結、C社は、B社関連の証憑を持って行った。C社は、B社と何度か交渉した後、秘密裏に合意した。B社はC社に50%だけを支払い、またC社は、その回収金から委託費を無断で控除し、A社には残りの20%しか返還しなかった。最終的に、A社は不服ながらもその結果を受け入れるしかなかった。

【実務分析】
■ 債権回収会社の合法性に関する分析
上海市工商行政部門は、関連経営範囲を認めておらず、債権回収会社の存在には適法な根拠がないとしている。但し、湖南省長沙市の工商管理システムには最近「信用貸付金催促回収サービス」と「未収金管理外注サービス」の関連内容が増え、このことから、当該市では債権回収会社の設立が可能であることが分かる。つまり、地域により、債権回収会社の合法性の判断に大きな違いがあるため、一概には言えない。

■ 債権回収会社を利用することで生じうるリスク
債権回収会社が債権を回収する過程で、法律に禁じられている手段を用いる可能性がある。債権者と債権回収会社が契約書の中に「武力又はその他法律法規に違反する行為により債権回収してはならない」といった内容を明確に約定していたとしても、債権回収会社が関連規定を遵守することは完全には保証できず、例えば、回収過程において、債務者が負傷してしまった場合、債権者は刑事責任を負わなかったとしても、民事責任を問われることは避けられない可能性がある。

■ 債権回収会社の信用問題
事例のように、債権回収会社が債権者の信頼を裏切り、債務者と秘密裏に合意して債権者に多大なる損失をもたらすケースがあるが、これはやはり、債権回収会社の信用問題である。詐欺を働き、長期的な利益を考えず、企業に対する誠実さに欠けている債権回収会社は少なくない。自身の利益しか求めず、債権者の利益を顧みないことがその原因である。

【法的根拠】
《各種債権回収会社の取締り、非合法な債権回収活動の鎮圧に関する通知》
各クラスの工商行政管理機関は、監督管理を強化し、債権回収業務の経営を申請する企業に対して登記を許可しない。コンサルティングサービス、委任代理等の名義で債権回収業務に従事している企業には、法に基づきその営業許可証を取り上げる。登記登録を行っていない債権回収会社については、発見次第、速やかに取り締る。

【まとめ】
債権会社は、形式上、全国的に禁止されているが、一部地域では確かに存在している。多くの債権回収会社はコンサルティング会社の名義で登録し、実際には債権回収業務に従事していることが現状である。
債権会社会社が密かに活動していることから、行政部門も効果的に管理監督を行うことができていない。そのため、債権回収会社の業務レベルもまちまちとなり、職員も入り乱れ、債権回収の手段も雑多である。実務において、債権回収したものの債権者に返還しない、回収できないため債権者に証明書の偽造を持ち掛け、暴力で債務者に支払いを要求し負傷させる等、債権者が一部の民事責任を負わなければならなくなる状況も少なくない。
総体的に、債権回収会社に債権回収を依頼することは、非常にリスクが高く、債権者の名誉が傷つけられ、損害を被ることになり、債権者保護という立場からは、この方法は推奨できない。最も理性的な方法は、弁護士に依頼し弁護士書状を発行、債務者に送付することである。債務者が弁護士状を放置した場合、契約書の約定に基づき、裁判所又は仲裁機関にて訴訟又は仲裁の方法で解決することができる。

2016年9月18日

ユーザー登録がお済みの方

Username or E-mail:
パスワード:
パスワードを忘れた方はコチラ

ユーザー登録がお済みでない方

有料記事閲覧および中国重要規定データベースのご利用は、ユーザー登録後にお手続きいただけます。
詳細は下の「ユーザー登録のご案内」をクリックして下さい。

ユーザー登録のご案内

最近のレポート

ページトップへ