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【濱の金融マンの海外取引実務コラム】第5回 インコタームズ (Incoterms2020)について

国際ビジネスレポート 外為・貿易実務
甲良 親弘

甲良 親弘

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2020年10月28日

Q 国際的な売買契約を締結する際に、インコタームズというものが使用されているとのことですが、このインコタームズとはどのようなものですか?

インコタームズとは、国際商業会議所(International Chamber of Commerce)が定める、売買契約に使用される取引条件を定めた国際的な規則です。本年2020年の1月1日より、従前のIncoterms2010に代わり、Incoterms2020が発効しています。

Q Incotermsはどの様な条件を規程していますか?

●売主と買主の間で、どちらが何をするか、例えば、どちらが運送手段や保険を手配するか、どちらが船積書類や輸出入ライセンスを入手するか、等 (売主と買主の義務)

●売主がどこでいつ商品を発送するか、言い換えればどの時点で売主から買主にリスクが移転するのか(リスクの移転のタイミング)

●売主ないしは買主のどちらがどのようなコストを負担するか(例 輸送費、梱包費、船積の費用、セキュリティ関係のコスト等) (輸送にかかるコスト負担)

Q Incoterms2020を使用する際のポイントはどのようなものでしょうか?

Incotermsについては、 [使用するIncotermsの規則] [港の名前] Incoterms 2020 のように記載して下さい。すなわちCIF Yokohama Incoterms 2020DAP No123 ABC Street, Los Angeles Incoterms 2020のように、売買条件を示す三文字のアルファベットの略号の後ろに、引き渡し場所を明記することが奨励されています。Incotermsとだけ記載するのではなく、「2020」を入れてどのバージョンを使用しているか明記しておかないと後からトラブルのもとともなりますので留意下さい。

●Cで始まる条件以外については、表示された場所は商品が届けられる場所を示すこと、すなわち、リスクが売主から買主に移転されたことを意味すること

●Dで始まる規則については、表示された場所は届けられる場所でありかつ目的地であること、そして売主はその地点までの輸送を手配する必要があること

●Cで始まる規則については、表示された場所は売主がその場所までの輸送手配及びコストを負担する必要があるが、その場所は届けられる場所ではないこと

Q Incoterms2020の規程する事項でないものは何ですか?

Incotermsは売買契約の存在自体について規定するものではありません。また、売買に供される商品のスペック、支払いのタイミング・場所・方法ないしは決済通貨、契約不履行に対する対応方法、到着の遅延など契約上の義務の履行に対する対応、制裁の影響、課税関連、輸出入規制、不可抗力、知的財産権、契約上の違反が起こった時の解決方法(準拠法や方法)などについて規定するものではありません。これらの内容は、当事者同士による売買契約書の中で規定されるべきものです。

Q Incoterms2020の11の条件、売主・買主の義務およびリスクの移転について教えて下さい。

Incoterms2020のそれぞれの条件の売主・買主の費用負担の義務およびリスクの移転について下記の図に示しました。リスクの移転について費用負担の範囲とは必ずしも一致しないことに留意下さい。

上記中、FAS~CIFの条件については海上および内陸水路運送のための規則であり、それ以外についてはいかなる単数または複数の輸送手段にも適した規則として分類されています。

Q 売買契約を締結する際にどの様なことに注意したらよいですか?

Incotermsは、特定の国の法律でも、また国と国との条約でもありませんから、契約の当事者が採用すると合意した場合には、契約書の中にその旨を明示しておく必要があります。Incoterms2020と数字を入れておくべきことにも留意下さい。
近年、各国で大型の台風や多量の雨等により輸送中の貨物に実際に被害が生じる等、輸送中の輸出入貨物が顕在化しています。港湾エリアには、倉庫やコンテナヤード、コンテナフレートヤード等のリスクの移転ポイントとなる場所が数多く存在しているので、当事者間で適切なIncotermsの選択と合意がなされていないと、ひとたび輸送中に事故が起きた場合、トラブルとなる可能性があります。Incotermsの改定についても必ずしも契約内容に反映されていないことも多々見受けられますので、今一度各契約を見直しておかれることをおすすめします。

Coffee Break 元銀行マンのつぶやき~まずは3条件をマスターしてください!

上記の通り、インコタームズには11の条件がありますが、日本企業の輸出入取引で実務的に使用される頻度の高いのは、FOB、CFR及びCIFの三つです。他の条件が使用されないということでは勿論ありませんが、まずはこの3つの条件について詳しく内容を理解して頂くようお願いします。

以上

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