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【濱の金融マンの海外取引実務コラム】第10回 保証取引の形態と法的な側面について

国際ビジネスレポート 外為・貿易実務
甲良 親弘(こうら ちかひろ)

甲良 親弘(こうら ちかひろ)

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2021年1月29日

いつも当コラムをお読み頂き有難うございます。前回第9回のコラムで海外事業で使用される保証状取引についてご説明させて頂きましたが、今回は実際にはどのような形態で発行されているのか、また、保証状取引の法的な側面について解説させて頂きます。

Q 保証状を発行する場合、日本の銀行が発行した書面を海外に郵送ないしは海外にて直接事業主体に手交する場合と、プロジェクトや取引の相手方の国において発行される場合があると聞きましたが、形態や違いを教えて下さい。

A 保証状発行の形態については概ね以下の図のようになっております。

Q 海外取引に使用される保証状取引は、日本国内で発行される保証とは異なる側面があると聞きましたが、文面や特徴について教えて下さい。

A 日本国内で保証とは、主たる債務者が債務を履行しない場合に、その債務を主たる債務者に代わって履行する義務を負うことをいい、これを付従性と言います。保証債務の成立・変更・消滅は、主たる債務の成立、変更、消滅に従います。つまり、保証債務は、主たる債務がなければ成立せず、主たる債務より重い債務となることはなく、また主たる債務が消滅すればともに消滅することとなっています。また保証人は、原則として債権者から履行を請求された場合に催告の抗弁権と検索の抗弁権を持っています。

海外取引に使用される保証状にはこのような付従性がなく、通常保証状に記載されている保証状の履行に関する書類が発行銀行に呈示されれば、背景にあるプロジェクトや商取引の内容・決済状況等にかかわらず、保証状の発行銀行は支払い義務を有する内容となっています。通常保証人は催告の抗弁権と検索の抗弁権を主張出来ません。
海外で発行される保証状は、準拠法をプロジェクトや輸入者側の所在国とすることも多いのですが、国際商業会議所が統一規則として制定しているURDGの第5条a.には、以下の記載があります。

保証はその性質上、原因関係及び発行依頼から独立しており、保証人は決してそのような関係にかかわったり、それにより拘束されたりすることはない。保証書中の、原因関係を特定するためのその原因関係への言及は、保証の性質である独立性を変えるものではない。保証書に基づいて支払うことへの保証人の約束は、保証人と受益者の間の関係以外のどのような関係に起因する権利主張または抗弁にも、影響されない。

ある国の法律に準拠する保証状についても、上記と同様の概念の文言が記載されているケースが大半です。発行する側からしてみれば、実際にはプロジェクトや商取引が正当に行なわれているにもかかわらず保証状の履行請求がなされてしますリスクが常にあるということです。

Coffee Break 元銀行員のつぶやき

上記の性質をもつ保証状の発行に関しては、プロジェクトや輸出の進捗とはかかわらずに保証状が履行されてしまうリスクがありますので、取引の相手方の仕振りについては十分に検討しておくことが必要です。一方、日本企業は自らが輸入やプロジェクト主体になる場合に当該保証状を発行するよう依頼するケースは、一部の企業を除いて余り行なわれていないと思います。前払い等を行なう場合や納入期間が長くなる場合等は、保証状を入手する等保全策を検討するべきではないでしょうか。

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